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2016-01-26

2016年1月25日 雪の陽明山 数十年ぶりの台北の雪の山を歩く

金露天宮への雪の道を行く
沖縄よりさらに南に位置する台湾は、平地ではもちろん雪は降らない。標高3000mを超える高山で、冬季に寒波が訪れたときに降るぐらいである。1000mを超える台北の陽明山山系も、普段は雪は降らない。水分が十分にあり、かなり強い寒波がきてはじめて雪をかぶることがある。最近数年は、ほとんどそれもなかった。しかし、日本でも強烈な雪をもたらした一月下旬の寒波は、1000mよりかなり低い標高600mぐらいまでの台北近郊の山々に雪をもたらした。記録によれば数十年ぶりのことだという。

陽明山バスターミナルから金露天宮へ
6㎞弱の軽いハイキング
背後の七星山は雪で白い
雪が降らない台湾では、人々はもちろん雪は大歓迎である。好奇心の対象だ。雪が降ると聞くと、車でアクセスできる台湾中央山脈の合歡山には多くの人が押し掛ける。雪に慣れている人から見ると、なんだと思うようなわずかな雪でも狂喜している。今回の大雪は、まさにそれが都市の近くでも出現したので、ハイカーだけでなく多くの市民が山を訪れた。雪は1月24日日中まで降り、積雪量は多いところで数センチというところだった。筆者にとっては、雪は別に珍しいものではないので、雪見の登山を予定したわけではなかった。もともとの目的地は新北市金山区の南勢湖古道などであるが、台北から陽金公路を金山へ向かうバスが陽明山バス停までしか行かないため、予定を変更し雪の中を歩くということになった。同行のメンバーにとっては、これでよかったようだ。

苗圃步道両脇はまだ結構雪で白い
MRT劍潭駅に8時10分ごろに到着する。今回は1717番バスで向かうので、劍潭駅のバス停で待ち合わせだ。ところが、予定の時間を過ぎてもバスはやって来ない。メンバーの一人Kさんがすでに、予定の便に乗っているようで連絡してくる。このバスは、劍潭駅のバス停には立ち寄らないことが分かった。そこで、中山北路上にある、實踐大學のバス停に向かう。先の便で向かったKさんがまた連絡してきて、バスは陽明山バスターミナル先にはいかないということだ。1717番バスをこれ以上待っても意味がないので、ちょうどやってきた260番バスで陽明山まで行くことにする。Kさんには、先に陽明山ビジターセンターで待つように連絡する。

見慣れた道も雪で新鮮だ



バスは、いつもの仰德大道を登っていく。文化大学近くまでくると、前方に山腹が雪で白い七星山が見えてくる。9時50分過ぎ、陽明山バス停につく。今日は、とりあえず苗圃步道を登っていくことにする。今日は月曜日だが、雪見客がとても多い。バスターミナルから人車分道を経てビジターセンターへ向かう。ここで、Kさんと合流する。ビジターセンターの屋根にはまだ雪が残っている。道の雪はもう溶けているが、雪が載っている小枝も多い。

雪の道を行く



人車分道をさらに進み、右に苗圃步道をとる。石段にはもう雪はほとんど残っていない。進むにつれ、道の左右には雪が残っている。雪山を歩く感じが出てくる。11時3分、左に金露天宮への道が分岐する。以前あった脇の幹に取り付けられた道標はない。昨日の降雪のあと、数名がここを通り過ぎたようで、少し踏跡があるがほとんど白の道で、いままで歩いてきた黒い石段道とは対照的だ。ここからは、まさに雪山を歩く感覚だ。時々陽がさして、枝の雪が落ちる。歩くと雪で垂れた草がもどり、草にのっていた雪が落ち、ズボンを濡らす。倒木に載っている雪も、乗り越すときにズボンに触れぬれる。気温が結構高いのだ。

金露天宮から台北市方向を見る
雪の金露天宮
約30分ほどの雪道歩きを終え、金路天宮に着く。ここも、あまり人が来ないせいで結構雪が残っている。庭の端から見る景色は、平地には雪がないが、立っているところが白いので、雪山に来たかのようだ。庭の奥まで行き、廟の下の部分でコンロを付け、湯を沸かす。みんなで食料を持ち寄って、ここで昼食をとる。雪の中では、やはり温かいものはありがたい。1時間20分ほど、ゆっくりと休みをとる。

雪の石段を下る

ここから、七星山へいくことも考えたが、おそらく雪を被って進む形になるのことや、やはり寒いのだろう、このまま下ることになった。庭のすぐ近くから、左に下る石段を進む。こちらは、石段上にもかなり雪が残っていて滑りやすい。普段でも苔が生えぬれた石段は滑りやす。下るにつれて、石段の雪はなくなる。下から四名の若い女性が登ってきて上部の雪はどうなのか尋ねられる。雪見の遊楽客のような様子なので、足元には注意するよう伝えた。20分ほどの下りで、陽金公路に降り立つ。ここまでくると雪はほとんどない。この後は、新北投の温泉にいくことになったので、すぐ近くにあるバス停に行くがバスは運休とのことだ。

気温は5度



人車分歩道を下っていく。陽明書局への分岐にある道標に寒暖計が取り付けられている。気温は5度を示している。13時40分過ぎ、ビジターセンターに戻る。ここの温度は8度のようだ。さらに下りバスターミナルへ来る。ちょうど新北投を通り過ぎる230番バスがやってきたので、乗り込む。小型バスは満員だ。約25分の乗車で14時30分ごろに新北投駅に到着する。駅前から左に中山路を少し登っていき、公園露天温泉に入浴する。この温泉は、男女は分かれておらず、水着を着て入浴するものだ。日本の温泉とは、ずいぶんと異なるので、入浴を考えるのであれば、水着の準備が必要だ。16時20分過ぎに入浴を終え、帰途についた。

白い陽明山は、とても珍しい。実際、バスで向かう途中みた山は、普段見慣れたものとは違い新鮮であった。今回のような猛烈な寒波による降雪は、いつもあるわけではないので、それ自体は貴重な経験だ。

2016-01-18

2016年1月17日 慢集團@坪林小格頭獅頭山 - 潭腰 雨の翡翠水庫を望む

雨に煙る台北千島湖、左にの半島の向こう側へ歩く
中国の黄山の近くにある人造湖、千島湖はその名の通り大小多くの島が点在し、美しい景観を呈している。台北の水がめ、翡翠水庫(ダム)は、島は少ないが山と湖がマッチし美しい景観で、台湾の千島湖とも呼ばれる。このような景観が見える場所は、北宜公路の南側にある。実は、三年前に一度近くを訪れている。今回は、慢集團の活動に参加し訪れた。場所は、前回の少し台北寄りになる場所だ。

西側の小格頭から南に下り、また十三股へ登り返す
先に下り、登り返す高度プロファイル
台北の水がめ、翡翠水庫(ダム)の北側を歩く
出発点小格頭から雨
天気予報では、確実に雨が降るということだが、それはそれで準備をして出発である。8時10分過ぎに、MRT新店駅に到着する。駅前のターミナルには乗車する緑12番バスに長い行列ができている。8時半、満員でバスは出発。北宜公路を約20数分走り、小格頭に到着する。降りるとすぐに傘をさす。大降りではないものも、雨は途切れなく降る。今回の参加者は40数名だ。道案内は、グループ責任者のWさんだ。9時、ダム方向に産業道路を下りはじめ、数分で山道入口に来る。

茶畑の間を傘をさして進む
獅子頭山頂上
土の道の始まりだ。茶畑の間を進む。晴れていれば、周囲が見えるはずだが、今日はすべて濃霧の中だ。道の状態は良いので、傘をさしたままでも歩いていける。森の中では、樹にあたるところもあるが、少しすぼめればOKだ。9時25分、獅頭山(標高477m)につく。樹木のなかで、晴れていても展望はない。9時55分、右にワニ姿のように見える展望点への分岐にくる。

正面の半島がワニのように見える、鱷魚潭
茶畑に傘の花がさく
数分下ると、展望点にくる。空には雨雲が垂れ込めているが、湖の周囲は見渡せる。翡翠湖の名のとおりの緑の水面に平たくワニのごとく伸びた半島が伸びている。入り組んだ山々の織り成す入り江は、風景に一層の変化を与える。降りてきた道を登り返し、さらに道なりに少し進む。そこからは、さらに広い範囲が望める。左下に、半島が伸びその上には山間茶樓の建物が見える。全員が集まり、昼食の予定の山水園に向かって下り始める。茶畑の間の道は、ところどころとても滑りやすい。一度産業道路を横ぎり、また下る。12時に山水園に到着する。
昼食をしたあと、再出発だ
山腹の道を進む
今回は、昼食時間の長い楽な行程である。カラオケもある場所で、ゆっくりと食事をする。14時過ぎ、長い休憩を終え次の目的地へ歩き始める。ここからは、また山間の山道だ。少し空が明るくなってきて、雨は止んだ。湖にそって、道は山腹を横切っていく。ぬれた草に紫の大菁や黄色の根節蘭がとても鮮やかだ。人数が多いので、歩行速度もゆっくりだ。約1時間10分ほど、緩やかな下り坂をやってきて沢を越す。そこから急な坂が始まり登っていく。茶畑脇のコンクリ階段を登っていく。階段を水が伝って流れていく。数分で登りきり、上部の産業道路にでる。

根節蘭の黄色が鮮やかだ
最後の坂を上り、八掛茶園につく
八掛茶園からの湖を望む
登り切ったすぐわきは、八卦茶園だ。休日の今日は、車でやってくる人も多く、茶園はにぎわっている。道を少し進んだところには、展望台もある。16時過ぎ、全員が茶園に集まり、北宜公路への登り返し始める。標高約250mの八卦茶園から、標高約550mの北宜公路まで、標高差約300m、そこそこの登りだ。登りは、産業道路経由だ。雨でドロドロの土の道に比べれば、まだ楽だ。

登りの途中から湖を見る
小雨は降っているものの、雲が高くなったので遠くまで見える。登るにつれて、茶園脇を行く道からは、広い展望ができる。3年前に訪れた時は、ここを車で下ってきた。左に別の展望点へいける道が分岐するが、今日はそのまま登る。登ること約40分、北宜公路にたどり着く。そのまま台北方向へ向け、公路を進む。16時52分、十三股のバス停に到着する。バス停わきの売店で雨宿りをしながらバスを待つ。17時半過ぎ、少し暗くなってきたなか、バスがやってきた。

十三股バス停に到着
今回は、活動時間は約7時間、ただし昼食も含め休憩が多いので距離は約9㎞弱である。少し登りがあるものと、前半はおおむね下りの道である。帰りに登り300mほどの登り返しがあるだけで、全体としては楽なハイキングだ。暑くなる前の季節であれば、とても気持ちのよい風光明媚なルートである。

2016-01-11

2016年1月10日 高雄旗尾山-靈山縱走 小百岳を歩く

車窓から望む旗尾山から靈山への稜線を望む、右の煙突は旗山製糖工場
前日の台南大凍山に引き続き、慢集團の活動で高雄の旗尾山から靈山への縦走をした。台南白河の關子嶺溫泉で宿泊した後、高雄の美濃へ向かい小百岳に数えられている旗尾山から稜線を靈山へ歩くもので、これも大凍山と同じに台南山岳会の協力よって実行されたものだ。高雄の小百岳は、壽山大崗山があるが、その時この旗尾山も登山対象として考えた。ただ、高雄市内からは場所が遠く、公共交通機関では難しいためあきらめた。今回は、幸いこの活動に参加することで、登ることができた。

南西から北東に向けて縦走
標高は低いが、上り下りが続く
台湾南部の山行、北側が昨日の台南大凍山、南が旗尾山
南部の空に飛行機雲
旗尾山を含む300~400mクラスの山々は、高雄屏東平野の北端を劃す屏風のように並んでいる。標高は低いが、広い平野のへりにあるので目立つ。さらに稜線は岩が露出した場所が多々現れ、台北近郊の皇帝殿や五寮尖のような箇所がある、特徴のある山々だ。今回は、この山々のうち、西南端から登りはじめ、東北方向にいくつかのピークを越えて靈山(人頭山)まで縦走した。その先もさらに縦走できる稜線があるが、今回は時間もなく下山した。個々のピークは大した高度ではないが、大きな上り下りが現れ、さらに岩場もあるので、距離の割には時間がかかる。

製糖工場でサトウキビ輸送に使われていたベルギー製蒸機
登山口で集合写真
稜線上から旗尾山を望む
關子嶺溫泉で宿泊した後、早朝6時に台南山岳会のメンバーが準備してくれた朝食を食べる。食事中に空が白み、青空が広がる。今日も晴天だ。7時前にバスで出発する。第三高速道路を南へ進む。旗山が近づくと、旗山溪の対岸に鋸状のピークが連なって見える。8時に登山口近くの旗山砂糖工場パーク(工場はすでに閉鎖され、公園となっている)に到着する。晴天の日曜日、多くのハイカーが駐車場に車を泊めている。

稜線から高屏平野を望む、遠くに北大武山
稜線上の岩門
支度を済ませ、8時半に出発する。大通りを渡り旗山溪沿いに少し進む。もと製糖工場の輸送トロッコ線路の橋は、今は観光用の人用橋になっている。その橋のたもと近くに、登山口がある。登山道は、道筋ははっきりしているが昨日の大凍山のような広いものではない。一列になって登っていく。登山口から数分で、北旗尾南山の三角点を過ぎる。遠くからみてもギザギザの稜線は、それぞれ大きな落差ではないが、急な上り下りが現れる。

川側の眺め
岩稜部分を行く
9時10分過ぎ、左に旗山溪とその対岸の街並みが見える。さらにその奥に、この地区特有の泥が雨風に削られちょうど月の表面のように見える、悪地と呼ばれる不毛の丘が望める。手前のピークの向こうには、頂上に白い建物が建つ旗尾山頂上が見えてくる。頂上にある建物は、25分の1サイズの台北市内の中正紀念堂を模した涼亭である。上り下りを過ぎ、9時45分急な岩稜の基部に来る。補助ロープが渡してある。乾いているので、問題なく進めるが、人が多いので時間はかかる。右に高屏平野を挟んで、昨年11月末に登った台湾最南端の3000m峰北大武山が頭に雲をかぶり、その左右に霧頭山と南大武山をしたがえて座っている。

やってきた稜線を振り返る
旗尾山頂上
10時5分、左からの階段道と合流する。ここから、とても急な階段を登っていく。5分ほどで登り切り、アーチの門をくぐるとそこは旗尾山頂上(標高315m)である。遠くから見えていた白い建物の脇には、昭和十四年二月十一日建立と記されて石碑がある。残念ながら、他の場所と同じように、昭和の文字はセメントで埋められている。頂上からの眺めは実に素晴らしい。北大武山の山々だけでなく、その北側にも中央山脈につづく山々が並んでいる。手前は、これから歩く靈山までのギザギザの稜線が続く。多くのハイカーでにぎわう頂上で休憩し、出発前にもらった行動食を食べ休憩する。

旗尾山頂上涼亭から東側(平野側)を望む
西側(川側)を望む
北大武山の雄姿(左のピーク)
痩せ尾根でのすれ違いは大変だ
約30分ほどの休憩後、10時40分次のピークに向け歩き始める。少し緩やかな尾根道を歩いたあと、大きく下る。鞍部で左に道を分けた後、悍將坡という急坂を登り返す。登り返したところは、白く塗られた三角点のある福美山(標高335m)だ。旗尾山から約1時間である。また、大きく下り岩場を過ぎる。反対方向から大人数のパーティがやってくる。こちらも人数があるので、一人しか通れない痩岩尾根は行き違いが大変だ。また下って、大きな岩の脇を登る。無名ピークのところで休憩する。時刻はちょうど12時だ。

大金字面山から北方向(霊山)方向を望む
死亡大峭壁の急坂を登る
上り下りの続く尾根道はまだ終わらない。また大きく急坂を登る。竹林を過ぎ登り切って少し右に行くと、大金字面山(標高346m)だ。狭い頂上からは、進行方向に靈山が見える。ただ、一度大きく下り、また登り返して初めてつくようだ。大きく下り、また登り返す。この坂はとても急で死亡大峭壁と名前が付けられている。補助ロープの急坂だが、名前は少し大げさだ。確かに落ちれば大けがはするだろうが。13時7分、登りきったところが靈山(人頭山、標高389m)で今日の最終ピーク且つ最高点だ。後続のメンバーがやって来るのを待ち、13時30分鞍部に向けて下る。数分で暗部の休憩場所に到着。ここで、お弁当と飲み物が配られる。冷たい飲み物はうれしい。

人頭山頂上からやってきた方向を望む
鞍部で昼食をとる
顔に傷のあるサル
40分ほどの食事休憩後、下山を始める。ここまでは車道が来ている。ただ、かなり急坂なので四駆でないと難しいだろう。10数分下ってくると、靈山雷音禪寺につく。トイレ休憩の間、サルが一匹やってきた。顔に傷がある。仲間喧嘩でもあったのだろうか。メンバーの一人が置いた飲み物の近くへ行ったかと思うと、それを取り上げて持ち去ろうとした。壽山のサルほどではないが、取られないようにやはり気を付けたほうがよいだろう。更に車道を下り、14時50分バスのところに到着する。これで今日の縦走は終了だ。歩行距離約9㎞、所要時間約6時間20分である。人数が多いと、やはり時間を多く要する。

登山口から稜線を望む、一番右が霊山
帰路に立ち寄った月世界公園
全員がそろい、15時過ぎに帰途に就く。途中、午前稜線から遠くに見えた、樹木の生えない月世界の悪土地区を通り、ここにできた公園に立ち寄る。筆者は、30数年前にオートバイ旅行で通り過ぎたことがある。その頃は、公園も何もなく道端から眺めたものだ。16時50分、台北に向けて帰り始める。途中で食事をとり、台北には22時に到着、一泊二日の旅を終えた。

今回の南部山行は、現地で対応してくれた台南山岳会の協力がとても大きい。去年の春に筆者が案内する台北三芝の古道の山行に、台南から参加したのが慢集團との具体的な交流のはじまりだった。その後も、また別の道案内で登った去年秋の磺嘴山にも参加している。その意味では、自分も関係しているので、感慨深い。今後もこうした交流がつづくとよいと思う。