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一江橋から望む三汀山 |
台中は、台北と同じように周囲が山で囲まれている盆地である。行政区画でいうと、現在の台中市は、今年4月に登った
台湾第二の高峰雪山や昨年から今年に数度訪れ登った
谷關七雄の中級山クラスの山々なども、すべて台中市区画内、あるいは境界上にある。今回訪れたのは、こうした高い人里遠い山ではなく、市街地から簡単にアクセスできる盆地のへりを構成する山だ。この峰々のうち市街の東側に、いわゆる小百岳に選ばれている山が三座ある。高度からいうと
頭嵙山(標高859m),三汀山(480m)そして南觀音山(318m)となる。今回の訪問では、前者二座を登った。
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第二歩道を登り第一歩道を下る |
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歩行高度 |
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台中市街の東側にある三汀山 |
台中で用事があるので、その機会を利用し今回の登山となった。同じような機会を利用して訪れた高雄の
壽山や
大崗山と同じような山行である。台北を台湾高鉄(新幹線)で早朝に出発し、午前中に三汀山に登頂、午後は市街に戻るというスケジュールだ。三汀山の登山口である、一江橋へは台中市街中心からバスも結構通っており、こうした登山が十分可能である。
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東平路二巷の道標と背後に三汀山 |
台北から台中の宿泊予定のホテルに8時半に到着。ここは台鉄台中駅から遠くなく、バスも含めた交通の便がよい。登山に不要な荷物をホテルに預け、9時に75番バスに乗る。市民の足のバスは終点の一江橋へは、途中かなり様々な場所を回っていくのでそれなりに時間がかかる。9時54分、一江橋に到着する。台中は、悠遊卡などのプリペイドカードを使用すると、10㎞以内は無料だ。カードがない場合は、一律20元となる。橋のすぐ近くにある7/11で昼食を仕入れる。
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歩道の表示、前方に山の清掃についての垂れ幕がある |
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おとなしそうな柴犬 |
10時3分、バスでやってきた東平路を渡り、対面の路地の東平路2巷を進む。角に咬人狗坑主步道という道標がある。ちなみに咬人狗とは人をかむ犬という意味だが、昔はどうか知らないが今は別に獰猛な犬がいるわけではない。空は晴れ、きょうは天気がとても良い。少し暑いが幸い風がある。右奥に今日の目的地三汀山が見える。三分ほど歩くと、道は左に大きく曲がりその先から登り始める。緩い坂を上っていくと、右にまるまる太った柴犬が寝転がっている。おとなしくおよそ人に咬みつくような気配はない。明日20日は、山の清掃活動が予定されているようで、垂れ幕がところどころに掛かっている。
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第一涼亭 |
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第一涼亭から望む下方の池と市街地 |
11時16分、カラオケの音が響く集会場所に来る。ここから右に第一歩道が始まる。とても急なセメント道を登り、道が左に大きく曲がるところで階段が始まる。枕木を使用した土の道だ。10時20分、涼亭のある分岐に来る。涼亭のはしからは、下方に池が見える。ここには立派なトイレもある。右には第一歩道が続く。左からは、先ほど曲がっていったコンクリ道が登ってくる。正面は階段で第二歩道が始まる。
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第二歩道の階段を行く |
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第二歩道を進む |
階段の第二歩道を登る。少し登ったところで、また右へ階段を続いて登る。斜面の木々が伐採され、左に台中の街が望める。緩やかな土の道を行き、10時35分に第二涼亭に着く。右へ行けば第一歩道に続く。ここは左にとって山腹を行く。10時42分、送電鉄塔の下で右から道を合わせる。左に少し行くと、産業道路と合わさる。道路下方には車が二、三台停めてある、おそらく登山者の車だろう。右に進んでいくと、430階梯と記された急な階段道入口がある。この階段を登っていく。本当に430段なのかは、数えなかったので不明だが、10分ほどで登り切ると、10時54分開けた休憩場所に来る。ベンチが三か所ほど設けられている。端のほうには、台北近郊の山がそうであるように、地元登山者たちが利用すると思われる器具設備がある。少し休憩する。
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430階段途中からの展望 |
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階段を登り切ったところの休憩所 |
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石段を頂上へ登る |
数分の休憩後、28度を示す寒暖計が取り付けられている道標を右に曲がり、舗装路を進む。すぐに右側から第一歩道が合流する。道の右側は開けて、遠景が望める。だいぶ高度が上がってきたのがわかる。11時10分、舗装路が終わり階段の山道が始まる。三汀山への最後の登りだ。上からすでに登頂した登山者が下ってきてすれ違う。10時17分、登山道は大きく右に曲がり頂上へあと一息だ。曲がったところから、左に舗装路が下っていく。登山道脇には、台湾の登山用品店歐都納の全民同登小百岳の垂れ幕が、数か所取り付けられている。明日の清掃活動と関係があるのだろう。最後の坂道を登り、11時20分広い山頂に着く。歩き始めて1時間20分だ。
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広い三汀山山頂、右に展望台 |
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展望台からのパノラマ |
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建物が盆地を覆いつくしている |
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山頂の筆者 |
頂上には、展望台がある。地元の登山者たちがくつろいでいる。三汀山は別名望高寮とも呼ばれるように、とてもよい展望がある。眼下の景色は、広い盆地が建物で覆い尽くされている。右(北東)側遠くには、おそらく大雪山山系の
鳶嘴山ではないかと思われる尖ったピークが望める。展望台から下り、稜線を少し進む。ほんの二、三分で三角点があったと思われる頂上(埤頭山)にくる。こちらは、木々に囲まれ展望は全くない。もと来た道を展望台に戻り、少し休憩する。
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埤頭山 |
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並木の第一歩道 |
11時41分、往路を下り始める。分岐を左に階段を下っていく。コンクリ道を少し進み、左に好漢坡(男坂の意味)を下る。コンクリ舗装の道はとても急だ。下りきり、右に進む。その先から美しい並木の続く、幅の広い道が始まる。登りでは普通の郊外の山と同じような特徴のない登山道で、景色がいいだけの山だと思っていたが、この並木道をみてこの山が小百岳に選定されたのがわかるような気がする。12時2分、幅広の並木道が終わり、石段の山道となる。また緩やかになった幅広道を行く。右に第二涼亭への道を分け、12時10分、登りの際に通過した第一涼亭に戻る。食事休憩をとる。
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第一涼亭近くから別の道で下山 |
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地元住民が犬を連れて散歩 |
12時30分、涼亭の下にある別の小屋の脇から始まる別の土の登山道を下り始める。この道は、主要歩道ではないので注意するようにという看板がある。緩やかに下る道は、よく歩かれているので、注意とあるがまったく問題ない。小沢には立派な橋も架かっている。12時41分、登山口に来る。ここは、川岸で登りにとった道とは並行して東平路へ続く。12時50分に一江橋のたもとに来る。バス停で数分待つと41番バスがやってきた。来た時とは別のバスだが、同じく台中市街にいく。13時40分、台中市のホテル近くのバス停で下車した。
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41番バスがやってきた |
とても展望の良い山である。第一歩道の並木道は、とても気持ちのよい道だ。台中駅から直接行けば約6㎞ととても近い。バスなどの公共交通機関も、時間は車で直接行くよりは時間がかかるが、十分便利だ。今回は休みを含んだ行動時間2時間40分、約6.2㎞の距離だ。だれでも簡単に登れる小百岳である。台中を訪れた際、半日で登ることができる。