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2022-03-07

2022年2月26日 瑪家三兄妹縱走 小百岳笠頂山 - 真笠山 - 白寶山:四日間南部山行之一

真笠山山頂
台湾南部の山々は、魅力のある山が多いが、台北からの絶対距離が遠い。日帰りで登るのは無理だ。今回は四日連続で訪れ、三か所の山の登った。そのうちの初めの目的地が瑪家三兄妹と呼ばれる、笠頂山、真笠山および 白寶山の山々で、尾根伝い縦走ができる。本来メインの霧頭山の前哨としての登山なので、当初は小百岳に選定されている笠頂山だけを考えていた。ところが、台北を朝5時に出発したおかげで、9時半前には屏東縣の登山口近くまで来てしまった。全行程6時間ぐらいで時間が十分にあるので、三山の縦走に変更した。

南側佳義から北へ縦走
標高659mの笠頂山は、高雄と屏東とをまたいで大きく広がる高屏平野の東端に盛り上がる中央山脈の前衛的な山で、この地区の多くの登山者に登られているポピュラーな山である。標高からしても、また西に広がる平野を俯瞰できる地理的な条件も、その人気を支えている。山道の状態は良く、また道脇には数しれぬ当地登山者による簡易あずま屋が造られている。ちょうど、台北近郊の山と同じように、地元民がよく通っているということだ。

高屏平野の北端に盛り上がる山域
1166mと更に標高が高い真笠山は、笠頂山から北東に伸びる枝尾根に聳え、尚且つその近在の真笠山東北峰(標高1200m)が北大武山の中央山脈主稜線から北西へと長く伸びる枝尾根の上に位置する。この長い枝尾根の末端に位置するのが、標高810mの白寶山である。この山の近くにも多くのあずま屋が造られており、訪れる登山者の多さを示している。上記三山を結ぶ縦走は、その土地の名を冠して瑪家三兄妹というわけだ。三兄弟とも呼ばれるが、いずれにしてもそれぞれの個性を持った兄弟姉妹だ。

笠頂山山頂
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未明の台北を出発
228連休の初日にあたる本日は、南に向かう列車は満員で座席がなかなか取れない。そこでメンバー一人の車で行くことにした。高速道路での混雑を避けるため、未明5時に台北を出発、一路高速道路を南下する。今冬の台湾北部は、特に雨が多い。過去2カ月、台北の晴れは数日だけだという。台北も回復基調だが、陽射しあふれる南部へ向かうのは、心が弾む。途中、二度ほど休憩をとり、また一部霧が濃い場所を過ぎたが、9時3分に太陽にあるれる台三高速道路三地門インターチェンジを降りる。

濃霧の高速道路を南下
南部の陽光に聳える霧頭山と井歩山(左)
下山口の近くに車をデポ、前方は白寶山
今回の山行は台北からの四名に加え、高雄から一名が参加する。前方に大きく聳える北大武山を望み台24線道路を進んで、9時28分涼山近くのコンビニで五名は合流する。ちょうど車が二台あるので、一台を先に縦走路の下山地点にデポし、別の車で笠頂山登山口へと向かう。10時半前、佳義小学校脇の有料駐車場(標高79m)に車を停める。駐車場はすでにほぼ満杯だ。支度をして第四登山口から歩き始める。

出店もある登山口
階段道を登る
簡易あずま屋で小休憩
登山口には出店もあり、賑わいを示す。ここには多くのバイクが停めてある。山道は幅も広く、状態がよい。谷を左に登ること十数分で、道は山腹に取りつく急登が始まる。高屏平野の端で急に盛り上がる当山は、かなりの急坂がある。階段やロープ手すりなどが設けられている。11時、帆布テントのあずま屋(標高345m)で小休憩をとる。南部の陽射しは強いが、樹下では風もあり助かる。

明るい緩やかな道を行く
幼い子も登る
少し緩やかな山腹を行き、分岐を左に急坂を登る。この山は、多くの小道があるので、地図での確認は必要だ。11時18分尾根上に上がる。左に折れ相思樹の林を登る。まだ小学校に入っていないように見える幼女も登っている。数分登ると、左側が開け平野が眼下に広がる。遠端は霞んで地平線は見えない。足元には屋根が太陽電池で埋める佳義小学校や佳義集落が固まって、農地と森に囲まれている。
佳義の集落

眼下に高屛平野が広がる
尾根上の簡易あずま屋
笠頂山山頂
山頂の筆者
数人がくつろぐ簡易あずま屋を過ぎ、尾根上の道を登っていく。部分的にけっこう勾配がきついところもある。勾配が緩くなり、11時40分笠頂山山頂に到着する。山頂には三角点があり、周りは樹木に囲まれ展望はない。近くには廃棄された簡易トイレもある。今まで多くの登山者に出会ったが、ここも数名の登山者が登ってきている。当山は、笠の文字を含むが、山は笠のような形状ではない。今は佳義と呼ばれる集落は、もともとカサギザンと呼ばれる原住民部落である。一説によると、笠頂山は日本時代は笠置山と呼ばれたが、それはこのカサギザンが命名の由来で、現在の笠頂山もそれから変転したという。

稜線上に多くのあずま屋が立ち並ぶ
まだ新しい通信タワー施設
山頂で20数分の昼食を含む休憩後、さらに尾根を進む。少し下り、こちらもいくつかの簡易あずま屋を過ぎる。骨組みはスチールパイプなどを使ったものもあるが、帆布で屋根や壁を造っている。机や椅子もある。進むこと数分で、右に舗装路が合流する。そのすぐ左上にまだ新しい通信タワー施設を見て過ぎる。右に下っていく道を分岐し、そのうち舗装が切れる。12時22分、觀自在と刻まれた石のすぐ上に規模の大きいあずま屋が建っている。大勢のひとがくつろいでいる。あずま屋わきにの眼前には、平野の展望が広がる。

觀自在あずま屋
平野の展望
急坂を登る
更に緩い坂道を進むと、また数か所のあずま屋を過ぎる。12時38分、左に真笠山西南峰への道を分け、道は狭い尾根に取りついて急坂を登っていく。急坂を登ること約20分、道は緩やかになり、幅の広い尾根上の森を進む。ところどころ森が切れ、南国の陽光が汗をかかせる。13時10分、テーブルのある場所(標高1050m)で休憩をとる。高度も上がってきて、望む平野の景色も広がる。

山腹道が左に分岐
白寶山(左)へと下る尾根、右奥には台形の井步山
真笠山山頂
13時29分、左に山腹をトラバースする道を分け、真笠山山頂に向け、最後の急坂に取りつく。開けた場所からは、左方向に後で訪れる白寶山への尾根が平野へ向けて下り、その奥には阿猴富士山と称される井步山がその台形の山頂を現す。ヤタケが道端に現れ、13時40分過ぎに山頂に到着する。前に到着している十数名の登山者で、樹木に囲まれた山頂はにぎやかだ。

簡易あずま屋の向こうが東北峰山頂
東北峰からの展望
急坂を下る
10分ほどの休憩後、東北峰へ進む。一旦下り左に山腹をやってきた山腹道との分岐を過ぎて、また登る。主峰より少し高い真笠山東北峰へと登る。鞍部の分岐は、稜線を日湯真山から下ってくる道と合流し、左へ東北峰山頂への道が、簡易あずま屋を過ぎて続く。広く平らな山頂の一端は、樹木が切れて平野を展望できる。14時4分、山頂を後に満開の山桜を見て、分岐を左にとる。道は間もなく急坂で下り、数分で広い土の道に出る。14時16分、数台車が停めてある場所のすぐ右に白寶山への道をとる。

前方登山者の右に白寶山への登り口
明るい稜線道
ヤタケの間を下る
稜線を進む山道は、ちょっと登り返しのあと、基本はずっと下りだ。細い灌木のまばらな森を進む道は、明るい。起伏の少ない場所を過ぎ、14時半前に急坂で高度を下げ始める。階段の急坂はヤタケの間を行く。右側に、隘寮南溪を挟んで井步山から霧頭山へと続く稜線が雲をかぶりそうな姿で近い。明日からあそこを登るのだ。霧頭山は、この角度からは見えない。見えたとしても、その名前のように今は雲霧の中だろう。井步山に左奥にある大母母山も、頭に雲をかぶっている。

谷を挟んで井歩山、その右に霧頭山への稜線が続く
下ってきた峰を振り返る
14時50分、右に幅の広い道を分けると、また勾配が緩くなり簡易あずま屋が次々と現れる。開けたところからは、左に下ってきた峰が尖って高い。その先、右から来る広い道に合流し、15時その先のあずま屋で休憩をとる。ここも骨組みは鉄だが、屋根や風よけ壁は帆布だ。椅子や机もある。10分ほどの休憩後、道を進み緩い坂を登る。数分で白寶山山頂に着く。広く平らな山頂の一角にも簡易あずま屋があり、人がくつろいでいる。

このあずま屋で休憩
広く平らな白寶山山頂
白寶山からの下りで見る真笠山と東北峰
急坂を下る
休みもそこそこに下り始める。約500mの高度差だ。15時37分、平らで少し開けた場所の簡易あずま屋を見ると、坂は勾配がきつくなる。1㎞足らずの水平距離で350mほど下る。好漢坡と呼ばれている由縁だ。日本語で言えば男坂というところだろう。この時間帯でものもぼってくる数名の登山者とすれ違う。もちろん白寶山だけを登るようだが。坂は急だが、階段やロープ手すりは設けてあり、道の状態は良い。16時3分登山口に降りる。ここまでは車でも来れるようだが、我々の車はその先なので引き続き舗装路を行き、数分で分岐近くにとめた車に着く(標高297m)。これで今日の行程は終わりだ。

好漢坡を下りきる
バイクがたくさん停めてある白寶山登山口
台24線を山へと入っていく
5人はすぐに乗車し、佳義の駐車場へ向かう。16時20分過ぎ駐車場へ戻り、二台の車に分乗し今日の宿泊地阿禮部落を目指す。台24線の終点からさらに奥に位置する阿禮はまだ遠い。賑わいを見せる三地門,霧台を通り過ぎさらに高度を上げる。

阿禮部落のゲート
阿禮部落民家のヤギ
17時46分、台24線の終点である阿禮部落入口の鉄ゲートに着く。宿泊予定の民宿に連絡し、出迎えてもらう。今日は桜祭りでゲートはオープンされているが、一般にはここから先は部落民だけが車を運転できることになっている。民宿オーナーとさらに道を進み、部落の一角に車を駐車する(標高1250m)。荷物を携えて、民宿へと集落を通り過ぎて下る。ここは原住民排灣族の部落だ。家の前にはヤギを飼っている。民宿で準備した夕食を取り、21時までには就寝する。

民宿
当初の予定より多く歩くことになったが、途中で明日からの目的地が見えたり、南部でよく知られた縦走路を歩くことができて、結果的に良かった。12.6㎞の距離で、所要時間は5時間40分だ。累計の登坂は1200m、下降990mである。メンバー全員の足並みもそろっていて、けっこう速く歩いた。コース定数は27である。


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