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先に組合山に登り雲森瀑布に下る回遊型ルート |
台北から第三高速道路を南西に20数キロ下ったところに、新北市三峽區がある。この地区は、その南に山岳地帯を抱えるが、一方台北のベッドタウンとしてここ10数年目覚ましい発展を遂げている。この地区の南は、烏來區との境界である標高1300~1800m台の插天山脈がある。台北から一番近い、「奥深い」山を体験できる場所でもある。筆者は12年前ほどから、時々訪れ主稜線の一部を除き、かなり歩き込んだ。この記事は、台北から日帰り可能なこの山域で、もっとも訪れる人が多い雲森瀑布と、そのすぐ上に聳える組合山(熊空南山)を巡るルートガイドである。台北近郊の山は、6月から9月ぐらいまでは、かなり暑い時が多く、滝を含むルートは、そうした時期に歩くとよい。
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台北中心の南西にある山域 |
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登山対象:
ルート
三峽台北客運一站バスターミナル→(807番バス約45分)→熊空バス停→(2分)→中興橋→(5分)→民家脇登山口→(120分)→組合山→(50分)→阿花瀑布→(10分)→滑滝→(20分)→雲心瀑布→(30分)→登山口駐車場→(中坑產業道路15分)→近道入口→(10分)→熊空バス停→三峽
歩行時間約4時間20分(休憩含まず)距離約7㎞、上昇下降各約610m、コース定数18
組合山(熊空南山)
台灣主要山脈雪山山脈の北部に属する插天山脈の樂佩山-卡保山の主稜線から北へ派生する支脈上にある。三等三角点を有する標高908mの山である。この付近には熊空山(標高972m)があるので、間違いをしにくい組合山と呼ばれることが多いが、地図上では熊空南山の記載が多い。ちなみに熊空という地名は、この地に先住していたタイヤル族の「森の深くにある美しい滝」の意味の言葉から来ている、という説がある。組合山という名称も、ちょっと一風変わってはいるが。
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組合山山頂 |
雲森瀑布上記の熊空地名の由来だったかもしれない中坑溪の滝である。この名称は落差が大きく見ごたえのある、代表的な雲心瀑布を指すこともあるが、その上流と下流にも滝がありその総称でもある。このガイドのルートでは、上流の阿花瀑布やその下の無名滑滝などの滝を見て下っていく。阿花とは、日本語で言えばさしずめ「お花ちゃん」といった意味合いである。雲心瀑布は比較的簡単に行けるので、一般遊楽客も多く訪れる。
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雲心瀑布 |
コース概要:台北の各地点から様々なバスルートが三峽へ往復している(詳細は後述)。現在MRTの延長工事が進行中で、いずれはMRTでの往復も可能だ。三峽の旧市街地区にある三峽一站バスターミナルから、滿月圓行807番バスで熊空へ向かう。市街を抜け、次第に山に入っていく。谷が狭まり深山に来た感じを覚える。
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三峽一站で807番バスに乗車 |
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雄空溪の谷間を行く |
約45~50分ほどの乗車後熊空バス停で下車する。熊空バス停近くには雑貨店があり、トイレも近くにある。バスで登ってきた道は、ここで三方向に分かれる。左は更に山に向かい登っていく道で、
紅河谷古道や熊空山などへ続く。中の道は中坑產業道路、そして右の道は
滿月圓方向へと下る。組合山へは、この右の道を下り、中興橋を渡る。渡ったすぐあとに左に登っていく道を取る。登りきると大きな民家が二軒ある。その二軒目の脇から山道が始まる。
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熊空バス停と対面の雑貨屋 |
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中興橋を渡り、その先左の坂道を登る |
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二軒の民家の奥の家わきから登山道に入る |
初めはコンクリ舗装の(廃棄)農道がしばらく続く。この道は勾配が緩く遠回りの場所には近道があるので、それをとって登る。途中つづれ折れを通り過ぎ、登山口から約40分ほどで、農道を離れ雑木林の尾根上を行く山道となる。尾根は幅が広く、道の両脇はシダが覆う。勾配もきつくなる。
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コンクリ舗装の農道 |
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厄介な倒木 |
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つづら折れの道 |
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山道に入る、右に道標 |
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シダ下草の森の道 |
更に20分ほど登ると杉が道端に現れはじめ、そのうち周囲は杉の人造林に換わる。台湾の林業は、すでに行われなくなって久しい。かなり太い杉の木もそのままだ。この辺りの山道は、本来この造林のための道だったのだろう。杉林はまた雑木林に換わり、最後の坂を登ると、右から滿月圓からの道を合わせる。組合山はそのすぐ先だ。約2時間の登りである。
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杉人造林を進む |
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森の中を登る |
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山頂下の分岐 |
組合山山頂は、木々に囲まれて展望はない。三角点の周りは10人ぐらいであれば座って休める。山頂から少し下り、分岐を見る。右は樂佩山方面へと続く。左にとって少し登り返す。その上は、左に樹木がきれて
加九嶺や熊空山からずっと
白雞山へと続く山並みが見える。
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2014年の組合山山頂 |
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左雲森瀑布、右樂佩山 |
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熊空山 |
道は下って右に曲がり、杉林の中を山腹を巻いていく。そのうち右から下ってくる道を合わせる。先ほどの分岐を右に樂佩山方面へとり、その先の分岐から左に曲がって降りてきても、ここに来る。更に20分ほど下ると、分岐がある。この道は中坑溪の左岸を行く道で、ここで右にとって阿花瀑布へと往復する。阿花瀑布へはほんの2,3分の距離だ。
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所どころの急坂 |
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阿花瀑布への分岐 |
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阿花瀑布の上部 |
数段の小滝が続く阿花瀑布のちょうど中間あたりを道が横切る。この道をそのままずっと行って雲心瀑布から登ってくる道と合流するが、先ほどの分岐へ戻り更に下る。この道であれば、下流の滑滝を通過していく。分岐から下ること数分で、沢に降りる。大きな一枚岩の上は滑りやすいので注意が必要だ。木橋を対岸へ渡り、沢沿いの一枚岩の上を歩いていく。遊楽客はここまで上がってこないので、時間があればゆっくりするとよい。
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滑滝 |
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丸木橋 |
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岩盤上を行く |
道は少しのぼって、分岐に出る。左にとって下る。10分強で雲心瀑布の下に降りる。水量が多い時は、見ごたえのある滝である。ここからは、あまり上下のない道が始まる。すぐにアルミ製橋を渡る。大水で流されたこともあるこの場所の橋は。最近このアルミ製の立派な端になった。
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山道を下る |
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雲心瀑布上部 |
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遊楽客でにぎわう雲心瀑布下 |
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アルミ橋を渡る |
約30分ほどの山腹道を行くと、中坑產業道路にでる。すぐ左下にかなり大きな駐車場がある。自分で車を運転する場合は、ここまで来ることができる。舗装路をしばらく下ると、大きく左にヘアピンカーブで曲がる場所に、近道の入口がある。そのまま中坑產業道路くだってもいけるが、こちらのほうが短く速い。山道を民家脇で車道にでて、左に少し行けば熊空バス停である。
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山腹を縫って道が進む |
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中坑產業道路にでた、左下に駐車場 |
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ここで近道に入る |
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にわか雨の中やってきた807番バス |
アクセス:三峽へは台北MRTの多くの駅から頻繁にバスが出ている。具体的には、永寧駅から916番バス,板橋駅から910番バス、景安駅から908番バス、台北市役所付近から939番など多くある。これ以外にも三峽一站バスターミナルにはいかないが、近くまでのバスも数本あるので、選択肢は多い。2025年にはMRTが三峽まで開通の予定である。
熊空へは、三峽一站バスターミナルで807番バスに乗り換える。平日と休祭日とでは時刻表が異なるので注意が必要だ。また休日の8:30発、午後15時頃に熊空を通過する807番バスは、特に暑い時期はとても混むので早めに並んだほうがよい。
装備:
一般日帰り装備で十分である。夏は暑いので、飲料水は十分に準備したほうがよい。アブなどが多いので、虫よけがあったほうが良い。夏の前半には、午後にわか雨となることが多いので、雨具を忘れずに。
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