 |
東阿玉山山頂 |
宜蘭と新北市烏來との間にまたがる山並みに阿玉という名を冠した山が数座ある。その盟主は
阿玉山であるが、その他西、東、下、中などを阿玉の前にもつ、阿玉山の衛星山峰がある。今回の登山はそのなかの東阿玉山である。筆者は、3,4年前にこの山域に多く入り二回訪れた阿玉山をはじめ阿玉山グループの登山をした。
西阿玉山、
下阿玉山は登頂、
中阿玉山はトライしたが及ばすであった。東阿玉山は、訪れる人も少ない不人気山である。最近大礁溪から登る道が歩かれている情報を得て、今回の運びとなった。
 |
同じ道を往復 |
阿玉山は標高1420mだが、東阿玉山は1019mと400mほど低く、また東を冠するように宜蘭の蘭陽平野に近い位置にある。6月も後半に入り、すっかり夏の気候になっている。午前中は青空が広がるが、午後には雷雨が降ることが多い。そのような形態なので、朝早く出発し登頂を目指した。もともと訪れる人が少なく、道は良くない。道筋も草に埋もれているところが多い。更にのっけから稜線までの高度差約600mは、ほぼ途切れることない急登である。風もなく、気温の高い中、かなり苦しい登山を強いられた。往復7㎞ほどの距離だが、休憩を多くとったこともあり、10時間を要した。
 |
@東阿玉山山頂 |
----------------------
 |
高速道路から見る阿玉山(中央)、小礁溪山,烘爐地山 |
今回は、5人が一台のシェアカーで向かう。朝5時に台北を出発する。今日は夏至の翌日である。5時はすっかり明るい。雪山隧道が混む第5高速道路も、この時間帯は車が少ない、まったく混雑なく宜蘭平野を見る。途中の坪林では山がまだ霧の中だったが、蘭陽平野は青空が広がる。前方に中央山脈北端になる太平山山系の山々が広がり、西側には
鴻子山から南に伸びる雪山山脈の山々が連なる。高架高速道路を進むと、次第に
烘爐地山や
小礁溪山、そして阿玉山が見えてくる。
 |
高速道路の向こうに太平山山塊 |
 |
正面に東阿玉山の尾根筋が見える |
 |
登山口にて、後方の尾根を登る |
高速道路を降り、街中を過ぎて大礁溪に沿って山地に入っていく。宜5県道を進み、山が近づいてくる。日安農場の看板を見て、更に両側の草木が迫る道を進む。6時4分、登山口に着いた。台北から一時間であった。車を降りた場所から、右に行けば大礁溪を越えて道が進む。一方、そのまま非舗装路が更に進んでいる。ともに、地図上では稜線へとつながる道が表示されているが、現状ではどうなのだろうか。
 |
沢の右側を登る |
 |
草をかき分けての急登 |
6時20分、我々の登山口は、どこなのか探す。すると、GPS軌跡で示す場所の奥に、マーカーが付けられている。しばらく誰も歩いていないのだろう、登山口は草にふさがれていた。歩き始めると、すぐに沢の中を進み、右側の岸に取りつき登り始める。マーカーはそこそこあるが、自分たちも補っていく。
 |
マーカーリボンを補う |
 |
枝尾根上に上がった |
前に聞いていた通り、道は急坂である。毎日のように降っている午後のにわか雨で、路面の土は水分を含み、気を付けないとすぐ滑る。補助のロープなどは一切ないので、道脇の木々などを適宜つかみよじ登る。斜面を登るので、風は全くない。全身汗が噴き出す。
 |
厄介な倒木 |
 |
草に覆われた急坂 |
7時20分、登山口から150mほど高度を登ったところで、枝尾根上に上がる。少し勾配がゆるかなったと思ったら、またすぐに急登になる。7時35分、少し開けた草地に着く。標高600m、稜線までの半分の高度だ。休憩をとる。これまで暑い中を登ってきたが、急ぎすぎたようだ。軽い熱中症なのだろうか、少しめまいを感じる。体がまだ本格的な夏の暑さに慣れていなこともある。長めに20分ほど休憩をとる。
 |
ここで休憩 |
 |
シダの野原を登る |
登りはじめて間もなく、草木がないシダ野原を登る。背後の陽光は容赦なく、とても暑い。森に入り、引き続き登る。8時35分、先ほどの休憩からさら200m弱登ったところで、また休憩をとる。体が重い。20分ほどの休憩後、また急登を続ける。草原を過ぎるとき、大礁溪の谷を挟んだ対面の烘爐地山が低くなってきているのが、唯一の慰めだ。9時30分、稜線上にたどり着いた。
 |
烘爐地山の稜線が見える |
 |
稜線へ向けてひたすら登る |
 |
稜線に着いた |
 |
ロープが架かる急坂 |
稜線を左に行けば前阿玉山を経て麓までの稜線が下る。右にとって進む。道は左に少し下り、尾根上の滑りやすい登りにとりかかる。ここは幸いロープが取り付けられている。9時45分、尾根上小ピークの平らな場所で休憩をとる。標高は960mだ。幸い、時々少し風を感じる。
 |
ここで休憩 |
 |
樹間から大礁溪山 |
東阿玉山までの間に、上り下りがある。幸い数十メートルの落差だが、それでもつらい。右側木々の間から大礁溪山が姿を見せる。稜線上には多くの野牡丹が紫の花をつけている。緑の森の中の唯一の別色だ。下って、また登り返す。10時48分、二つ目の鞍部で休憩をとる。朝が早かったので、ここで昼食をとる。
 |
野牡丹の花 |
 |
鞍部で休憩 |
 |
東阿玉山東峰への分岐 |
11時20分、東阿玉山へ向けて歩き始める。残りは落差約100m、距離は1㎞足らずだが、遠くに感じる。最後の登りは、比較的緩やかだ。数分登ってくると、左に東阿玉山東峰への道が分岐する。直進し、尾根上を進む。11時36分、また東阿玉山東峰への分岐を見る。更に数分進み、11時48分山頂に着いた。やっとのことでの登頂だ。
 |
密生したシダの間を進む |
 |
山頂の筆者 |
平たい山頂には基石はない。周囲も樹木で展望などはない。つらい登りであったが、目的地に着いたことは嬉しい。15分ほどの山頂での時間のあと、往路を下り始める。東峰への寄り道も、メンバーが乗り気でなく、そのままパスする。12時33分、往路で休んだ鞍部で休憩をとる。かなりの汗を流したので、それなりに塩をとったつもりだが、不足のようで太腿がつり気味だ。更に塩分を補う。
 |
往路を下る |
 |
稜線上の登り下りは厄介 |
20分ほど休んだ後、尾根を分岐まで戻る。帰りの登り返しは厄介だ。13時30分、分岐に戻りまた休憩をとる。天気予報では14時頃からにわか雨が降るということだが、幸い空模様は雨が降りそうもない。長めの30分の休憩後、尾根から離れて下り始める。当初は、天気が持てば前阿玉山まで足を延ばすことも考えていたが、今は誰も行きたいとは思わない。
 |
前阿玉山への分岐道しるべ |
 |
急坂を下り始める |
急登の登り道は、下りでは大変だ。赤土の現れた場所では、特に神経を使う。ただ、高度が下がるのは速い。14時40分、行きに休んだ小草原に着き休憩する。15時25分、最後の下りにとりかかる。尾根を離れ、岩が表面に多く現れるセクションを下ると、沢音が大きくなる。まもなく沢沿いに降りる。タオルを浸し顔を拭く。実に気持ちが良い。最後に沢を下り、16時18分、登山口に戻りついた。ほっとした。
 |
草原を下る |
 |
遠くに蘭陽平野と海岸線 |
 |
小草地で休憩 |
 |
登山口に着いた |
--------------
 |
大礁溪に架かる橋から上流東阿玉山方向を見る |
山からでて、街のコンビニに立ち寄り一息つき、台北へ帰った。帰路も雪山隧道に入るとき、少しスピードが落ちたが、それでも1時間10分ほどで帰り着いた。今回は、都合2時間半ほどの休憩をしているが、それでも7時間半ほどの歩きである。道の状態が悪い、暑くて行動が遅いなどの要素が、10時間も要した理由だ。累計の昇降はそれぞれ約800mである。
0 件のコメント:
コメントを投稿