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2015-04-30

2015年4月30日 土城大暖尖 - 天上山 - 崙子山 油桐の道を歩く

大暖尖登山歩道上の桐花
台湾は四月下旬から五月上旬にかけて、白い花の油桐で山肌が飾られる。台湾人口構成種族の一つ客家人集落の近くが多いので、客家人との結びつきで語られることが多い。台北付近にも油桐の花で有名な場所がいくつかある。台北の南、土城の天上山もその一つである。2年前に訪れたあと、久しく訪ねていない。そこで、まだ歩いていない尾根を歩き天上山に登ることにした。具体的には、頂埔から大暖山-火焰山を経て登り、清水石門-山崙子山をへて德霖技術學院へ下った。

西の頂埔からL字型に德霖技術學院まで歩く
幾つかピークを越えていく
頂埔市民活動センター、左奥に大暖尖が見える
今回は、四人パーティである。近いこともあり、9時にMRT永寧駅に集合、そこからバスで出発点の頂埔へ向かう。頂埔は、台湾の有名製造メーカーフォックスコングループのある土城工業区の近くである。目下、MRT板南線の延長工事が行われており、いずれはここまでMRTでやってこられる。バス便も多くあり、メンバーが集合したところでほどなくやって来た705番バスに乗る。10分足らずで頂埔バス停に到着、中央路を渡る。右に公園をみて進む。山に向かって橋を渡り、高速道路下のトンネルを潜る。出たところの前から、石段の新北市大暖尖山登山步道が始まる。

大暖尖山登山歩道の石段
尾根上の小岩場
9時22分、しっかりした石段道を登っていく。数分で妙覺禪寺からの道を合わせる。どこが起点になるのかわからないが、全長は5.6kmで200mごとにキロポストがある。入口から15分ぐらいで道は尾根を外れて左に降りていく。標識は大暖尖となっている。ここから歩道を外れ尾根上の土の道を進む。尾根を忠実に追っていく。小規模の岩場も現れる。ガジュマロの根が岩に巻きついている。右遠方には、第三高速道路が見える。以前の料金所になる巾の広い部分が明瞭だ。尾根にそって一度登ったあとすこし下り、10時左より大暖尖山登山歩道を合わせる。路面には白い桐花がたくさん落ちている。その少し上には休憩用ベンチやその右にはあずま屋がある。地元の人たちが将棋をしたり、寛いだりしている。我々も一休みする。あずま屋の中には鍋やコンロもあり、ここで料理をしたりするようだ。

第三高速道路が下方に見える
苔の生えた岩の上に落ちた桐花
大暖尖山頂
大暖尖から火焔山への尾根を望む、桐花が多く咲いている
スリップ注意の標識
石段の道が続く。落ちた白い花が一面に広がり、桐花のことを五月雪という言い方が納得できる。石段の坂道をしばらく登り10時22分、三角点基石のある大暖尖(標高288m)につく。キロポストは4.1km、登山口から1.5km来たことになる。土城方向は樹木がなく、街が望める。ただ晴れているが透明度が低く、遠くはぼんやりして見えない。下り始めると、前方に火焰山へ尾根が続いているのばわかる。桐花が緑の尾根を白く彩っている。苔が覆う石段はもともと滑りやすいが、桐花が落ち慎重に踏まないと滑る。尾根上のピークを乗り越え、途中のあずま屋を通り過ぎる。10時57分、龍泉路と永寧路とへそれぞれ続く十字路鞍部に着く。登り返し雷公岩への道を左に分ける。キロポストは1.9kmとなっている。石畳は苔がはえて滑りやすい。初めて見る滑りやすいことを表す標識がある。また、石の表面を削って滑りにくくしている。この辺りは通行人が多いので、こうした対応をしているのではないかと思う。手すりも取り付けられた石段を上がりきり11時25分、火焰山(標高373m)に着く。一休みする。

火焔山
お茶を振る舞うあずま屋から天上山を見る
火焰山からは天上山へのルートは、初めてこの山を訪れた時に歩いた道だ。石畳の道を龍泉路の峠部分に降り、道をわたって反対側の石段道を追っていく。上がったすぐのあずま屋は、お茶を登山客にサービスしていることで知られている。ここからは石門内尖山から十八羅漢岩方向へ続く尾根と、自分たちが歩いてきた火焰山から大暖尖への尾根が見える。石門内尖山への道を右にわけ、左に階段を下る。車道を渡り阿砂利土雞食事処の脇の山道を進む。尾根上の道を登って行き、12時24分望月亭の鞍部に着く。ここで食事休憩を取る。

望月亭の鞍部
天上山頂上のあずま屋
天上山頂上(標高430m)へ登る。12時52分に到着。今日は、やはりぼんやりして遠くが見えない。手すりに取り付けられた寒暖計は28度を示している。五城山や太極嶺方向には、桐花が緑の地に白く斑点となって見える。新しい大きな送電鉄塔が建てられている。二年前に訪れた時に工事していたものである。少しもどり頂上すぐ下のあずま屋で休憩する。凍結させてもってきたビールを開ける。まだシャーベット状だが、暑いので美味い。

天上山から五城山方向を望む、新しい送電鉄塔が見える
甘露公園
13時14分、下り始める。先に五城山方向に下り、鉄塔脇を過ぎたあと左に甘露寺方向へ道を取る。天上山の山腹を進み、左から直接頂上からの道を合わせ、そのすぐ下でそれぞれ金城路と観音寺ヘ続く十字路鞍部を過ぎる。登り返し尾根上の道を進む。樹木の少ないところから振り返ると天上山がすでに高い。13時38分、甘露公園につく。公園から少し登り返し、尾根上の道を下る。途中、左から土の急坂道が上がってくる。この土の道を下り、分岐を右にとって進む。13時58分甘露寺の下に来る。少し休憩する。

前方に崙子山とその先の板橋の町並み
清水石門山
この先、清水石門山への道がもう一つはっきりしない。車道をつたってもいけるが、先ほどの分岐へ戻り南天母路方向へくだる。下っていくに、これでは少し道が外れてしまうことに気づいた。そのまま産業道におりる。そこの道標では、崙子山方向を示しているので右に産業道路を登っていく。14時33分宇宙大行殿のある鞍部に着く。ここから左に山道を進む。今まで歩いてきた山道と比べると、ここからの道は細く、歩かれている程度は低いようだ。ほどなく清水石門山(標高195m)の基石部分につく。ここは頂上というわけでなく、基石が植わっている場所である。

崙子山の途中から見る景色、左から五城山、天上山、火焔山
忠義路から崙子山への道を行く
送電鉄塔脇を通り過ぎ、石門路へ続く鞍部分岐を過ぎる。昨年12月の藍天隊の道標がある。それだけでなく、地元行政の立てた鉄製の道標もある。こんな道によく立てたものだと思う。一つピークを越し、忠義路に下る。右に忠義路を少し進み右に登っていく土の道を行く。この道をずっと進む。ところがお墓が現れ、終わりになってしまった。そこは火焔山や天上山が望めるので、それはそれで意味があるが、どうやら分岐を通りすぎてしまったようなので戻る。果たして途中に分岐があった。右にとり尾根上の道を登る。15時9分、最後のピーク崙子山(標高147m)に到着する。ここも展望はない。

崙子山頂上
德霖技術學院のバス停
尾根上の道を最終点德霖技術學院にむけて下る。12分ほど下り、分岐に来る。左に進みほどなく学院のキャンパス内に入る。下方のグランドにおり、左に進むと学園をでてバス会社の終點バス駐車場のわきを進む。15時46分、石門路に着いた。近くのコンビニで少し休憩し、それぞれ異なるバスで帰途に着いた。

歩行距離約12km、休憩込みの行動時間6時間半である。今回は、登り下りのアプローチは初めてのルートであった。距離や道の状態について、少し簡単に考えすぎていたようで、予定より1時間半ほど多く時間を費やした。山自体は低いが、やはり馬鹿にしてはいけない。確かに道を間違えても、人里がすぐな山で危険度は低いが、山登りの基本は忘れてはだめだということだ。ルート自体は、下山にとった清水石門山や崙子山の部分はだれでもというわけではないが、その他はよく整備されたルートでクラス2、体力的にも全体でクラス3である。夏は暑いが、それ以外特に4月下旬から5月上旬は桐花もあるので、このころがおすすめだ。

2015-04-27

2015年4月26日 新竹尖石鄉西丘斯山-雪白山 無数の巨木大原生林の中を登る

雪白山(右)と 西丘斯山(2015年2月、低陸山登山道から望む)
新竹県との境界を分かつ標高2444mの雪白山(泰矢生山)は桃園県の最高峰になる。そのすぐとなりに、ゆったりとした山容の雪白山とは対称的な三角ピークが連なる。それが西丘斯山である。今年二月の低陸山登山の時に初めてその山容を望み、いずれは行こうと思っていた山である。考えていたより早く実現した。今回のルートは、谷間の神木エリアを経由して雪白山と西丘斯山との鞍部に登り、西丘斯山を往復。その後雪白山を越えたあと、尾根道を下ってキャンプ場に戻る回遊コースである。

司馬庫斯キャンプ場から反時計回りに回遊する
2ピークの登山高度プロファイル
朝のキャンプ場から対岸の山を望む
竹林を過ぎていく
昨日は6時間あまりの基那吉山登山であった。比較的楽な行程であったが、今日は10時間が予定される山行である。道の状態も必ずしも良くない。5時前に起床、他のメンバーも次々に起床してくる。キャンプ場の対岸は、馬洋山の山塊だ。白んできた空に峰々が重なっている。お湯を沸かし朝食を済ませる。6時過ぎに出発する。キャンプ場の位置は民宿などのある司馬庫斯の集落より神木側に近い。宿泊したキャンプ場は、最下段のものだがそこから道を下っていく。大石が転がる崖崩れ部分を通り過ぎ、数分で木橋を越える。沢沿いに少し下ると右から別の橋で道が合流する。この道が司馬庫斯からの神木エリアへの遊歩道となっている司馬庫斯古道である。

谷側が開放されているお手洗い

道はとてもよい。竹林を過ぎていく。道脇には竹製のベンチがある。崖側の危険なところは竹製の手すりが設けてある。司馬庫斯古道は、東は鴛鴦湖をへて宜蘭へ続く。もともとは、泰雅族の狩猟や物資輸送などで歩かれていた道だそうだ。神木エリアへの部分は、遊歩道として整備されている。6時36分、右にお手洗いを見る。このお手洗い、谷側は壁がなく雄大な谷や山を見ながら用をたすことができる。緩やかな道は、歩みが進む。その少し先は、崖崩れが現れる。樹木が無いので、泰崗溪の深い谷や対岸の山がよく見える。山は馬洋山など雪山から続く山で、昨日の基那吉山へと連なっていく。右奥に基那吉山の峰が見える。スクーターが道脇に打ち捨てられている。この道なら十分スクーターでやってこれる。6時46分、樹木が取り除かれ果樹園が現れる。谷の奥深く同じく雪山から連なる邊吉岩山が望める。椎茸栽培を過ぎ6時53分、楓香亭あずま屋に着く。少し休憩する。

崖崩れ部分を過ぎる
崖崩れ部分から対岸の馬洋山方向を望む
陽が差し込む道
この辺りから道は方向を変える。泰崗溪の支流の上部を山のひだを縫って進む。7時19分、別のお手洗いの前を過ぎる。お手洗いテラスからは、雄大な景色が広がる。谷の間に陽が差し込んでくる。7時35分、神木エリア入口に着く。輪切りの原木に神木の位置と遊歩道が記してある。沢を挟んで左右に道が進む。橋で沢を越え右の道を進む。歩き始めてほどなく、神木が現れる。周囲は柵が設けられている。次々と現れる神木の先に、ひときわ大きな巨木が両腕を持ち上げているような姿でそびえている。老爺神木と名付けられているこの檜は、台湾の知られている神木では二番目に大きなものだ。樹齢千年をこえる樹木を前にすると、自然に対して畏敬の念を感じる。

神木エリアの入口、前方に左側の道、右に進む
神木エリアはじめの神木
老爺神木
自然の森の中を進む
神木の前でしばし過ごし、8時10分山を登り始める。遊歩道は沢を越えていく方向だが、登山道は老爺神木の後ろから始まる。山道は、それまでの遊歩道に比べるとはるかに自然に近い道である。落ち葉が重なり、標識リボンが無いとはっきりしないところもある。地表は至るところ緑の苔が覆い、自然林の中を登っていく。ピンクのツツジが緑の森に色を添えている。倒れ朽ちかけている巨木を乗り越えまたくぐっていく。自然の営みが進行している。8時54分、沢に下りる。ここでしばし休憩する。

沢を渡り進む
二老爺神木
森の中の急登
沢を渡り枝沢にそって少し登ったあと、右に尾根に取り付く。登りがきつくなり、沢から離れる。登るに連れ巨木が現れる。神木エリアとは違い、柵などはない。ここまで来る遊楽客は少ない。9時19分、二老爺神木と記されいる神木につく。更に20分ほど急登を続ける。道は、少しゆるやかになり山腹を進んでいく。檜の巨木が、道脇に次々と現れる。9時54分、小休憩を取る。鞍部まで、あと標高差100m強である。

崖崩れ部分を急登



崖崩れが現れる。露出した岩に補助ロープが掛けてある。ザレを越えて岩を登る。道脇には谷側に倒れ、中が空洞になっている巨大な倒木がある。10時41分小休止をとったあと更に進む。道がゆるやかになり、10時50分平らな場所にでる。雪白露営地である。露営地といっても全くの自然環境であり、水場も遠いので露営するにはそれなりの荷物を持ってこなければならない。道はここから鞍部への道と鴛鴦湖へ西丘斯山の山腹を進む道とに別れる。後者は司馬庫斯古道である。左に鞍部へ向かって急登を行く。11時すこし過ぎ鞍部に到着する。

巨大な倒木の根の脇を進む
巨木が次々と現れる
雪白営地
根を頼りに西丘斯山頂上へ急登する
小休憩のあと先に右へ西丘斯山の頂上を目指す。初めは緩やかだった道は、数分進むと連続急登になる。霧の中、熊笹の間を進む。笹の葉の露でズボンは濡れる。稜線上には、檜の巨木はない。木の根や笹などを助けに急坂を登っていく。12時西丘斯山山頂(標高2421m)に到着、約45分ほどの登りである。狭い頂上は北側が開けているが、霧で展望はきかない。尾根をたどっていけば、唐穂山へ続くが長い道のりである。食事休憩をとる。

狭い西丘斯山頂上
雪白山へツガの巨木森を登る
12時45分、往路を戻る。急坂は慎重に下る。13時25分、鞍部から雪白山へ登り始める。西丘斯山とは対称的に、こちらはゆるやかな登りである。ツガの巨木が現れる。細長い針状の枯葉が地表に落ちている。登るにつれ霧が濃くなる。14時13分、三角点基石の植わる雪白山頂上(標高2444m)に着く。基石は取り替えられたようで、まだ新しい。山頂から嘎拉賀へ尾根を下る道があるが、これもとても長い。また稜線を低陸山へ縦走できる。14時30分、下山を始める。司馬庫斯まではまだ遠い。

雪白山頂上
倒木の森を過ぎる
急坂を司馬庫斯へ下る
倒木が重なる窪み状地形を過ぎ、そのうちに尾根の形状がはっきりしてくる。概ねゆるやかな稜線道を40分ほど進む。急坂が現れ慎重に下っていく。15時30分小休憩をとる。更に下り、15時39分東泰野寒山への道を右に分ける。左に進みすぐまた分岐を過ぎる。ここを右に行っても東泰野寒山へ通じる。広いカール状の道を下る。落ち葉が重なり滑りやすい。16時、前方に煙が上がっている。標高は約2000m近在で人里までは距離がある。近づいて見ると、巨木が倒れ地表に出た根が黒く焦げている。その向こうに煙が上がっている。幹は縦に裂けている。どうやら雷が落ちて倒れ、火が着いたようだ。裂けた幹も新しく、煙がくすぶっているというのは、最近発生したと思える。このような自然の営みを目撃するのは初めてだ。更に数分下ると、水管材料を使った補助ロープの急坂を下る。その下で16時25分最後の小休憩を取る。

落雷し倒れた大木、まだくすぶっている
落雷で裂けた幹
急坂は更に続く。ザレを下り緩やかな尾根上に道がはっきりしてくる。そろそろ登山口が近い。17時6分、一本橋が現れる。3,4メートルの谷に、太い幹が渡してあり、竹の手すりが設けてある。慎重にわたってさらに進む。17時12分、土の産業道路が現れる。登山口に到着した。左に進み、キャンプ場へ下る。17時25分、11時間20分の山行が終了した。約15kmの道のりである。テントを撤収し、18時過ぎ帰途に着く。台北までは遠い。4時間半を費やし、22時半台北に戻った。

一本橋を渡る






二日の山行は、縦走ではなくそれぞれ独立した登山である。自分の山行は、一歩一歩確実にできることを確認し、易しいものから困難なチャレンジに挑んでいくこと基本としている。いずれは二日以上の縦走なども行うだろうが、経験や年齢の異なるメンバーが一緒に体験をして学習し、自信をつけながら山行を行うことが前提である。今回は、その意味で第一歩を成功裏に踏み出したことになる。

キャップ場へ下る
司馬庫斯は、20年前まで自動車道もなかった。それが幸いしているのだろう、今回は多すぎて途中から注意を払わなくなってしまったほどの巨木が残っている。神木エリアとして、比較的アクセスが簡単な場所でも、台北から約4時間の車、そして約2時間の徒歩が必要である。この状態が続き、巨木がその生命を全うできることを望むものである。もし巨木を見たいのであれば、時間と登山の労力を惜しまないことが必要だ。

2015年4月25日 新竹尖石鄉基那吉山 キナジ山を登る

基那吉山登山口
四年前に一人で登り始めた台湾の山であるが、その後友人との登山が多くなり自分でSNS上のクラブ(Taipei Hiker Club)活動をしている。日帰りの登山は何度もしてきたが、今回はじめてクラブメンバーと一泊二日の登山を試みた。登山客をメインにした自動車サービス利用やキャンプ場にての露営をして、この山行を行った。目的地は、新竹県の山岳地帯、それも一番奥になる尖石郷司馬庫斯である。台北から車で行くと、4時間かかる。当然日帰りでは無理の山が今回の登山対象だ。第一日目は、比較的楽な基那吉山(木名地山、キナジ山)、二日目は桃園県の最高峰となる雪白山(泰矢生山)と西丘斯山を登った。それぞれ、谷を挟んで対峙する形になる。そこでブログでは、別々に記述する。

山行の位置、台北から距離は遠くないが車で四時間かかる
今回は、フォルクスワーゲンの10人乗りの車で目的地に向かう。この自動車は、二日間で台湾ドル1万元とお得なサービスである。運転手(兼オーナー)は登山客の仕事を普段からしているので、勝手がわかっている。今回のメンバー9名は、朝7時MRT古亭駅に集合する。一泊するので、メンバー各自とも荷物が多い。テントは自分で一張を準備、その他は現地キャンプ場で借りることになっている。寝袋などは各自準備である。車の上にラックがあり、そこに荷物を固定、帆布をかぶせて出発である。

鎮西堡部落から基那吉山を往復
単一ピークの往復
新光部落へ到着、台北からここまで3時間だ
第三高速を関西インターチェンジで降り、内湾から新竹県竹60郷道を進む。この道は以前李棟山登山などで二回ほど通っている道である。宇老の峠を過ぎ玉峰溪の谷へ下っていく。途中集落を過ぎ、9時56分に谷底になる秀巒検問所に着く。途中で休憩しているものの台北からすでに約2時間半である。ここからさきは、入山許可が必要になる。乙種入山證なのでその場での申請もできる。第一日の登山対象、基那吉山の登山口になる鎮西堡はまた登り返していく。昨年歩いた霞喀羅古道入口になる養老への道をわけ、更に登っていく。検問所から十数分で、左に司馬庫斯への道をわけ右に新光集落へ登っていく。この周辺は、すべて原住民の土地である。深い谷を挟んで左に司馬庫斯を見ながら山腹の道を進む。今日は土曜日で、民宿に泊まる旅行客の車も多い。神木区への道とは別に、上の方向へ進む。10時52分、車を止めそこから歩き始める。台北から3時間半である。

畑の脇を登山口へ登る
苔に覆われた切りだされた檜
車を止めた場所は、その後判ったが登山道入口からまだかなり下の部分であった。初めに歩き始めた道は、単なる農道で十数分のぼっていくと、終點になってしまった。そこで出発点に戻り、舗装路を登る。つづら折りで方向を換え、その先のヘアピンカーブから別れる道を進む。ちょうどやって来た現地の農民に確認すると、この道で間違いないようだ。畑の脇に、最近草刈りされた細い道を上がっていき、土の産業道路と合流する。左に進み12時13分、木製の大きな手作り道案内板のある登山口に到着する。車を止めた場所から約30分ほどである。基那吉山頂上まで片道4.3kmとある。少し遅い登山開始である。

西纳吉山への分岐(右)
高巻き部分から雪白山方向を望む
早速登山道を進む。道の状態はよい。原住民集落周辺の農地は、もともと森林だったものを切り開いて段々畑にしてある。そこから周囲の見晴らしはとても良いが、自然ではない。登山道は自然の森の中を進む。太い樹木も現れ、中級山登山の雰囲気満点だ。道端に檜が切りだされ角材状態で苔に覆わている。不法伐採などでそのままにされたものなのか。20分ほどで、木製平台が現れる。休憩などの目的のものである。ここで食事休憩を取る。

良い道が続く


20分ほどの休憩後、歩き始める。すぐに西那吉山への道を右に分ける。水道用ビニール管が脇を行く道を10分ほど進む。そのまま進む道はこの水道管が水を引いている水源へ続く。登山道はここで右をとり進む。概ねゆるかな道は、急に右に登る。道は細く、これはこの先の崖崩れ部分を高巻くためのものである。崖崩れ部分は樹木がないので対岸の山が見える。明日登る予定の雪白山の山塊であるが、頂上付近は雲がかぶっている。高巻きから登山道に降り進む。13時25分、休憩用のベンチを過ぎる。左の崖が迫り、木製梯子や桟道を通り過ぎる。尾根上の鞍部にくると、13時41分右から泰嵐からの道を合わせる。高度が上がりこちらも雲の中に入ってきたようで、霧が濃くなる。少し休憩する。

木階段の道
右は大覇、馬洋山方面、基那吉山は左
その先もまた木製階段が二ヶ所現れる。道はしっかり整備されている。概ね巾広の尾根かそのすぐ左側を進んでいく。14時13分、養老山からの道と合流する。その少し先で、大霸と記された道が分岐する。これは馬洋山などを経て大覇尖へ続く道だが、距離は遠い。左に進み、ビニールシートの広げられた場所を過ぎる。ここから坂は急になる。ピーク前の登攀である。檜の巨木が霧のなかで幻想的だ。14時20分、休憩をとる。

熊笹の中を登る
熊笹が現れる。北部の中級山は頂上付近に熊笹があることが多い。急坂はさらに続く。14時45分、頂上までのこり僅かと記された赤いプレートが現れる。左に毒龍潭への道が分岐する。坂が緩くなり、15時頂上(標高2570m)に到着する。二等三角点基石の埋められている頂上は、樹木に覆われている。樹木が無くても深い霧なので展望は得られないが。標高2570mは、日本ではアルプスクラスの山で、北アルプスではすでに森林限界の高度である。しかし、南に位置する台湾では更に約1000m上に行かないと森林限界には着かない。登山口から約2時間45分、4.3kmの道のりをカバーした。頂上から、霞喀羅古道から登る奴布加里山への道が分岐する。こちから登ると、そこそこ大変である。

霧の基那吉山山頂
霧の森をくだる
十数分頂上で過ごしたあと、下りは往路を下る。下山後、さらに司馬庫斯へ1時間以上かけて行かなければならない。今日は出発時間が予定より遅く、なおかつ歩き始め地点も低かったこともあり、下りは飛ばす。15時50分、泰嵐への分岐を過ぎる。落ち葉の重なる道は、下りだと滑りやすい。16時15分、ザレ場を過ぎる。登りでは高巻いたが、実際踏跡もあり十分いけそうなので、そのまま進む。16時36分西那吉山分岐を通過、16時47分登山口に戻る。登山口までの下山は1時間半である。更に、登ってきた土の産業道路や舗装路を下る。この高度だと、霧がなく対岸が見える。泰崗溪の谷は雲海で埋まっている。17時8分、車に戻る。今日の登山は休憩込みで約6時間、12.6kmの道のりであった。

ザレ場を行く
下り道から雲海が埋める泰崗溪を挟んで。これから車で向かう対岸の司馬庫斯方向を望む
司馬庫斯への道
宿泊予定の司馬庫斯は、谷を挟んだ対岸だが、一度600m下の泰崗溪谷底に下り、また登り返さなければならない。原住民の言葉ではスマングスと呼ばれるこの集落は、台湾原住民部落の中でももっとも奥に位置し、1979年になって初めて電気がやって来た。車道は、今は観光の目玉になっている神木が発見され、1995年になって初めて開通した。まだ20年前のことである。それまでは、徒歩で数時間かけなければいけない場所であった。

キャンプ場で就寝前のひととき

車にもどり、急いで荷物を上の棚にのせ出発する。新光部落へ戻り、そこから谷底にジグザグ道を下っていく。18時40分、司馬庫斯のキャンプ場を管理する民宿に到着する。鎮西堡から車で1時間以上である。陽はすでにトップリ暮れた。19時、先に予約していた食事場所(兼雑貨店)で食事をする。食事後キャンプ場へ向かう。車のヘッドライトを頼りに、テントを張る。初めてなので試行錯誤をしながら進める。テントを立て終え、キャンプ場のシャワーを浴び、みんなで一息くつろぐ。明日は、朝が早いので11時前に就寝する。空には半月が掛かり、満点の星である。