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2012-06-19

2012年6月18日 石碇皇帝殿山北峰 - 西峰縱走


ロープ手すりの岩尾根主稜線
前回の山行は、三峽五寮山であった。この山は台湾北部三大岩尾根の一つであるが、今回もこの三大岩尾根の一山である皇帝殿山へ行った。皇帝殿山の山行は、今回で二度目になる。昨年9月の際は、雨こそ降らなかったが天候が優れず、ガスの中で周囲の山々は見ることができなかったので、再度登り周囲の山々を見ることを考えていた。三峽五寮山との比較の意味も含め、まだ記憶に新しいうちに、今度は昨年9月よりも少し距離を長く、また方向を逆にとって、皇帝殿山北峰から、東峰、天王峰を通り、西峰まで縦走した。梅雨の合間で、快晴ではなかったが、高曇りで山々を眺めることができた。過去すでに登った山々も多く、それぞれを判別できた。


皇帝殿山系は、台北中心から南東側
主稜線を東から西へ歩く
北峰登山道入口の山門
皇帝殿山自身の説明は、昨年9月山行記録を参考にしていただくとして、今回山行の違いは、東峰の北東に位置する北峰から歩いたことと、西峰から石碇への下りを別のルートで下ったことだ。北峰は別名石覇尖という。106号線双青公路から立派な花崗岩石段の登山道が皇帝殿山北峰登山道という名で、北峰へ続く烏嘴尖との鞍部までできている。そこからは、土の素朴な道となる。西峰を降りて、湳窟登山道の石段の道へ着くまでは、途中補助ロープ、鎖、梯子などがしばしば現れる急な、登り下りが続く縦走路である。東峰を下り天王峰の前後は、岩が露出した尾根を歩く、皇帝殿山の有名な部分だ。皇帝殿山の山塊は、北西に湳窟山と北峰の東に烏嘴尖があるが、今回の山行で主稜線の大部分は歩いたことになる。


沢の脇を登る北峰登山道
平渓への1076番バスは、今まで数回乗っているので通勤しているような感覚だ。MRT木柵駅のバス停で、木柵6時50分発の1076番バスに乗る。7時少し前なので、木柵の始発バス停からここまで約10分足らずというところだ。深坑で多くの学生が下車し、双渓口から双青公路をいく。途中小学生が乗り、永定国小バス停で下車する。このバスはさしずめスクールバスの役割をしている。自分はその2つ先、永定煤礦バス停で下車した。少し公路を戻ると、立派な山門の立つ皇帝殿山北峰登山道入口である。お手洗いも山門脇に据え付けられている。


塞がれた登山道、右の石段を登る
少し場違いな感じの山門を7時半過ぎに出発する。並行した二本の階段はすぐ一本になり、登りが始まる。竹林や雑木林の中を登っていく。沢が右側に並行している。途中緩やかな部分もあるが、コンスタントな登りだ。アブラゼミが沢音を消すぐらい大きな音で鳴いている。20分ぐらい登ると、道は沢を離れ、山腹をジグザグに登り始める。更に登ること数分、山道は山崩れで塞がれている。これはかなり前に発生したようで、塞がれている部分のすぐ石の階段が作られている。これを登ると、また石段の山道に合流する。どうやらジグザグになっているもともとの道の近道の形だ。少し下り、平な部分を少し行くと、また登りが始まる。一部落石などが道の上にあるが、おおむね山道の状態はよい。


北峰登山道の終点、稜線上の鞍部
登り始めて40分ぐらいで、右に大きな露出した岩がある。上を見るあげると、ガケの上にピークが見える。これが北峰だろうか。花崗岩の階段がきれて、岩に彫り込んだ急な階段が現れる。水がながれて階段は湿っている。登り切ると、また花崗岩階段が始まる。この上が稜線鞍部で、石段の山道はいきなり終りとなる。8時20分、登山口から約50分の登りである。左に烏嘴尖への道が続く。右へ急な北峰への土の道が登っていく。山月桃の白い小さな花、野牡丹の大きな紫の花が道端に咲いている。この山系の特徴である、露出した岩も道の真ん中に現れる。8時35分、鞍部から約15分で北峰(石覇尖、標高537m)に着いた。登山口から約1時間、高度差は約430mである。


北峰(石霸尖)の頂上
東峰への途中から見る双青公路、奥の山は四分尾山
道脇に咲く山月桃の白い花
北峰頂上は周囲を木々に囲まれているのが、唯一東側の木々の切れから峰頭尖の尖ったピークが望める。そこそこ広いので数名が休憩することはできる。水を飲んだ後、東峰に向かう。下って行くと、右に開けたところから、谷を挟んで四分尾山から耳空龜山への稜線が見える。大石が真ん中にある小ピーク頂上から右に小覇尖への道が分岐する。東峰へは左の道を下る。道脇の木々の切れ目からは、右前方に東峰から下りてくる京王山が見える。谷底は双青公路が走り、永定小学校も見える。下りきると、左に蝙蝠洞へ続く道を分岐する鞍部につく。ここから東峰への登りが始まる。


岩とロープの道
足を止めると、セミの鳴き声に気づく。間隔をおいて一斉にセミが鳴く。蝉しぐれという言葉がまさに適切だ。露出した岩や補助ロープも現れ、皇帝殿山稜線山道の特徴がでてきた。道端の樹木が低くなり、大きな岩が現れた、東峰はすぐそこだ。振り返ると歩いてきた、北峰からの稜線、左側に突き出ている丸い頭の小覇尖がある。遠くには峰頭尖や薯榔尖,姜子寮山などの平渓の山々が見える。昨年の登山で望めなかった景色がそこにある。9時半過ぎに東峰の大岩山頂(標高593m)に着いた。今日の行程の最高点だ。

今日は晴れたり曇ったりの天気だが、今は太陽が出ている。遮るものはないが、大岩の上で食事をしながら、昨年9月にはできなかった周囲の景色を楽しむ。同じくガスがでて展望できなかった山行の山、獅公髻尾山とその派生尾根上の山九芎坑山が、目の前に大きい。目を西に向けると、これから歩く西峰とその前に連なる稜線、遠くには二格山と筆架山山系、その左奥には直潭山が判別できる。南港山系の上に台北101ビルが頭を出している。大岩の西端は岩に階段が刻まれているが、これを右に降りると昨年歩いた京王山と大羅山仙府に行く。20数分休憩したあと、東峰を下りはじめる。

やって来た方向を 東峰から見る、手前は北峰とその左の小覇尖、遠くのピークは平渓の峰頭尖
東峰の南東側にある獅公髻尾山の山塊

これから歩く西峰方向を望む、遠くの山は二格山と筆架山系
大岩の下をくぐる
東峰の下りは結構急だ。途中には岩を補助ロープで下る部分も現れる。下って15分で、はじめの駐車場への分岐が現れる。稜線から駐車場への下り道は4箇所有る、その内の一つだ。西峰までは、途中天王峰も含めてピークが数カ所ある。大岩の下をくぐる部分もある道を登り返すと、周囲が開けた岩のピークについた。天王峰とその左奥に西峰が見える。振り返れば東峰が高く遠くにそびえている。西峰までの尾根道の約半分をきた。下りは、大きな岩をロープを伝って下りる。ステンレスの鎖もあるが、それ自体でかなり重量があるので、この鎖で下るのは結構大変だろう。下りきると、二番目の駐車場への分岐だ。この道は花崗岩の石段道だ。
岩尾根を行く









天王廟への鞍部脇の岩壁

標高562mの天王峰へ登り返し、そこから下ると三番目の駐車場分岐がある。この先から皇帝殿山のハイライト、露出した岩尾根道が始まる。前半は、両側のロープ手すり無しだが、ピークをひとつ超えた先の岩尾根道は道幅も狭いので補助のロープ手すりが設けられている。途中、革靴で登ってきた登山客とすれ違う。山登りの経験はあまりないのだろうか、かなりキツそうだ。岩尾根を終わり、下ると天王廟と仏光寺への分岐がある鞍部に着く。時刻は11時半、東峰から約1時間半の道のりだった。ここで少し休憩する。

ステンレス梯子を登る
今日最後の登りとなる西峰への道を登る。途中三ヶ所ステンレス梯子が現れる。二箇所目はかなりの高度を登る。この道は、コンクリート製のポストを使ったロープ手すりが要所に作られている。登ること15分で西峰(標高579m)についた。頂上は小さな岩で、西方向以外は展望がきく。陽明山山系が見える。さらに遠く左がわにはうっすらと観音山の輪郭がわかる。冬ならば、空気が澄んでもう少しはっきり見えるだろう。今日の行程で出会った二番目の登山客がやって来た。小休憩のあと、下り始める。下りも急な坂で、二ヶ所ステンレス梯子で高度を下げる。12時半、湳窟登山道の分岐についた。昨年は左側の道を登ってきたが、今日は右にとり串穴湖方面へ下る。


西峰から東峰方向を望む、左下の建物は仏光寺
西峰から陽明山系を望む
下り道2つめのあずま屋
下るとすぐにあずま屋があるので、立ち寄り休憩する。シャツを脱ぎ、絞ると汗がしたたる。5時間の歩行でこれだけ汗が出るものだ。ここからの道は、石段と舗装された産業道路なので、軽装に替える。更に10分ほど下ると別のあずま屋がある。なぜかお線香がたくさん中央のテーブル上に置いてある。ここは展望がきく。北から東方向には、四分尾山から平渓への山々が、さらにその東側には遠く北東角九份の山々まで見える。反対側は、筆架山山系があるが、すでに高度が低いので、それほど展望がきかない。木々の間からは高速道路が下方に見える。


山道脇の野牡丹
1時20分に産業道路の登山口に着いた。産業道路を右にとれば、串穴湖を経て双青公路へ続く。左にとり、石碇老街へ下る。歩いて2,3分で右に湳窟山への土の登山道の入口がある。次の機会に来ることも有るだろう。道なりに下っていくと、二、三軒人家を過ぎ、左側に去年登った湳窟登山道の入口を過ぎる。産業道路を下ること約半時間で、西峰登山道入口の山門に着いた。ここから石碇のバス停までは目と鼻の先だ。2時少し前にバス停に到着、待つこと約20分で666番バスにて木柵へ帰った。


産業道路の登山口
去年の皇帝殿山行に比べ、今回は山道の歩行距離が長いこともあり、体力を要求されたルートであった。歩行距離は8.3km、休憩も含め所要時間6時間15分である。稜線道での登り下りもあるので、上昇高度合計は600mぐらいとなる。台風が接近する中、果たして去年の登山ではでできなかった、山からの景色を見れるか懸念した。幸いにして行動中は天気が崩れず、じっくり堪能できた。

五寮尖がピーク一つの登山なのに対し、皇帝殿山はコースのとり方次第では、かなりの上下を繰り返す複数のピーク縦走ができる。この点を考えると、皇帝殿山には、また別の魅力がある。ただ、ハイライト部分の岩尾根だけを取れば、やはり一週間前に登った五寮尖のほうがキツイという結論は変わらない。

岩尾根から高速道路方向を見る

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