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2012-06-06

2012年6月5日 南港山樹梅古道 - 大都会わきの素朴な山道

樹梅古道にたくさん咲いている野牡丹の花
台北市の南港山や四獣山の手前にある信義区は、今や台北を代表する商業、高級住宅地である。南港山系の裏側には、四分渓が流れ、集落がある。この集落は、40年ぐらい前に研究院路が開通するまで、表側の三張犁(呉興街の一帯)へは歩いて行かなければならなかった。その生活歩道のうちの一つが、樹梅古道である。南港山系は、市民の憩いの場所として、台北市は親山歩道を整備している。石畳の立派な道が、四獣山や南港山の稜線に整備されている。樹梅古道は、こうした親山歩道ではなく、登山客が訪れるだけの素朴な土の山道のままだ。


台北市信義区のすぐ脇にある樹梅古道
小12バス、バス停以外でも乗降可
台北101ビルから、直線距離にしたらそれこそ3,4kmしか離れていない樹梅古道は、トンボや蝶が飛びかい、春にはその名のもととなっている樹梅の実がなる、素朴な道だ。地方行政の手は、ほとんど入っていないようだ。200年の歴史があるという坑頭土地公の廟から、高度差は200m、距離も1kmの道だが、大都会の喧騒の脇にこんな自然があるのは驚きだ。登りつめると、 拇指山(標高313m)の岩場にひょっこりと出る。眼前には、台北の大都会が広がる。拇指山からは、南港山縦走路を少し行き、山腹を横切っていく後山歩道を歩き、去年4月に中華科技大学へ歩いた縦走路に合流、鞍部から北興宮へ下った。後山歩道も親山歩道とはなっていない、土の道である。親山歩道以外の道は、道標の案内もない。経験のない登山者が不用意に迷いこんでしまうのを防ぐためなのか。地図を見て、自分で判断する必要がある。


坑頭土地公、村人が古道を行く
瑪娃台風の影響で一両日かなりの雨が降ったが、台風も遠ざかり天気も回復してきた。朝7時に家を出たとき101ビルは、まだ雲をかぶっていた。本数は少ないが研究院路を、樹梅古道の登り口、坑頭土地公の前を通って木柵まで行くバスがある。MRT昆陽駅へ行き、そこで7時40分発の小12番バスに乗った。市中ではバス停だけの停車だが、山道になるとどこでも乗り降りができる。中華科技大学を過ぎ、四分溪に沿ってバスは登っていく。数名の乗客は、皆地元の人のようだ。下寮バス停を過ぎ、運転手に坑頭土地公での下車を伝えると、その前で停車してくれた。昆陽駅から約30分の乗車である。


地面は一面シダに覆われている
坑頭土地公は、一度階段を下り四分溪を渡った向う側にある。建て直されているのだろう、さらに前庭には屋根がかけられ、それほど古いようには見えないが、地元南港区役所のつけた説明板には200年の歴史とある。このあたりの開墾もそれぐらいの歴史があるということだろう。樹梅古道は、廟の左側に続く土の細い道である。土地の人が二人やって来た。道の脇にある畑に行く途中のようだ。古道は、畑の脇を曲りすぐ急な登りとなる。水分を含んだ道は、ところどころぬかっている。細いが補助ロープもある。この登りが終わると樹梅の木が現れ始める。シダがびっしりと地面を埋めている。ところどころに、山岳クラブのリボンもかかっている。青いトンボがシダに止まって様子を見ている。


青トンボがシダに止まっている
石の階段、上には観音洞
観音像
15分ほど登ると沢音が聞こえはじめ、道は一旦沢へ下る。降り続いた雨のため、水量が多めの沢をわたって、反対側に取り付き登る。道は急なところは、石を並べて階段とした古道の趣だ。沢から10分ほど登ると、観音像のすえてある洞がある。洞というよりは、オーバーハングした巨岩という方が正しいかもしれないが、上から水が糸状の滝のように流れ落ちている。近づくと、白の大きな観音像の前に小さい一体、その奥の少し上がったところにも一体、仏像が置かれている。この道が生活路として、村人が行き交いしていた頃は、ここで祈りを捧げたのだろう。今も時々は、お参りに来ているようだ。


頂上近くから 四分渓方向を見る
観音洞から尾根に取り付き、登っていく。対岸の山も見え始める。ガスが去来しているが、遠くの山並みは筆架山のようだ。登るにつれて、道脇の木の背丈が低くなる。石段もあるが、中の一つの石は場違いに、四獣山縦走路と同じ物があった。余ったので、ここに使ったのだろうか。周囲がよく見えるようになると、ひっこり拇指山頂上の大きな岩場に出た。9時を少し回ったところ、約50分の登りだった。天気はすっかり良くなり、周囲360度が見渡せる頂上からは、雨上がりの台北市全景がはっきり見える。101ビルの延長線上には、先週登った観音山がある。西方向には、5月初旬に縦走した天上山系の山々、去年9月の大棟山系までも見える。拇指山からここまで見えるのは、はじめてだ。陽射しは強いが風がないので、岩の上で食事ととりながら休憩、一人の展望を満喫する。

拇指山からの台北全景(クリックで拡大)
西方向を見る、遠くに天上山系(左)と大棟山系が見える、手前の街は中和、板橋等
後山歩道の分岐(右の石の切れ目)
頂上から南港山縦走路に降り、右に進む。しばらく進むと少し登り、踊り場に出る。後山歩道はここで分岐する。四分渓側に聖德宮へもここから分岐して下っていける。後山歩道は、ここからだと、登り返しや水平部分もあるが、基調は下りとなる。道幅は狭い部分もあるが、南港山系はこちら側はゆるやかな形状なので、そこそこ広く歩きやすい。ところどころ、石の階段も現れる。すべて林の中の道なので、展望はきかない。稜線へ続く道を二、三箇所分岐すると、大きく下り小屋が現れる。このあたりから道はコンクリの道となる。土地公を過ぎるとすぐに、縦走路と合流した。ここまで、約40分の道のりだ。

後山歩道
後山歩道では一人とすれ違っただけだが、縦走路を行くと多くの登山客とすれ違う。ランニングしている人もいる。すぐ左に虎山への道を分岐し、少し進むと右に福寿公園のあずま屋がある。ここで少し休憩する。台北側が開けており、ここからの展望も悪くない。拇指山とは違う角度から、101ビル、台北市街、観音山や陽明山系が眺められる。手前足元には四獣山が広がる。

鞍部分岐、左へ北興宮へ降りる
10時40分下りはじめ、十字路となる鞍部へ着く。そのまま進めば、中華科技大学、右に取れば麗山橋へ下る。左に北興宮へ0.8kmの道を降りる。ジグザグの石段で高度を下げていく。約半分まで下ると、道の真中にあずま屋がある。下りが緩くなると、この山道の終点だ。左に北興宮が、そのわきの広場は大有バスのバスがたくさん停まっている。ここまで下がると、南港山の稜線が結構高い。今日はかなり早く山を降りてきた、まだ11時を少し回っただけだ。近くのバス停から信義路幹線バスで家へ帰った。

北興宮登山道
今日の行程は、思っていたより早く楽に終わった。歩行距離4.6km、登りは合計320m、休憩も含め約3時間である。南港山系は近くて気楽に登れるが、それなりに自然もあり半日の山登りとしては最適だ。最近の二、三回は短時間の山登りが続いたが、また変化を持たせて別の山登りも予定して行くつもりだ。

高度プロファイル

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