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2012-06-27

2012年6月26日 基隆七堵姜子寮山 - 拔西猴山の尾根道から登る

七堵から見る姜子寮山
台北から基隆への谷と平渓の谷とを分ける分水嶺の山並みは、標高6、700mクラスの山が幾つか並んでいる。台北に一番近い主要なピークは四分尾山(標高641m)、その次が姜子寮山(標高729m)そして五分山(標高757m)となる。もちろんそれ以外にもピークはあるが、山容と標高からこれら三座が親分格だ。今回はこの姜子寮山へ登った。姜子寮山は、行政区画でいうと新北市と基隆市にまたがる。基隆市ではこの山が市内最高峰となる。


姜子寮山は台北 - 基隆の谷と平渓の谷の分水嶺山系の中央に位置する
七堵駅から東側の枝尾根を登り、西の枝尾根を下る
出発及終了点の七堵站東口、気温はすでに30度
姜子寮山は頂上周囲が開けているので、360度の展望がきく。天気さえ良ければ、周囲の平渓の山系や陽明山山塊はもちろんのこと、雪山や大覇山などの中央山脈も見える展望台である。登山道は、車道の泰安路が450mぐらいの高さまで来ており、そこから整備された枕木の登山道が頂上までできている。この姜子寮山山道を登れば、2時間もあれば往復が可能だ。このルートが出来るまでは、ふもとからかなりの距離を登る必要があった。そのルートは、北側からだと七堵から拔西猴山や內西勢坑山などのピークがある尾根道か、泰安瀑布や石門山から旗尾崙のある尾根道を登るかである。この2つのルートは、現在もまだけっこう、登山者に歩かれている。今回は姜子寮山の大きさを体験するため、この二つの尾根ルートを経由して登山した。


泰和路75巷15号の民家、右の道が登山道
出発点の七堵駅は標高2、30mなので、これらのルートはまさに麓から729mの頂上まで自分の足で登るルートとなる。姜子寮山は北側に下ったところで二つの尾根がわかれる。拔西猴山や內西勢坑山の枝尾根は東側、旗尾崙の枝尾根は西側の枝尾根になる。今回は、この東側の尾根を登り、西側の尾根を下って泰安瀑布に降り、そこから舗装路を下って七堵駅に戻った。朝はとてもよい天気だった。ただ、早朝から気温が高く積乱雲が発生し、頂上に着いたときは遠くの山は雲がかかってきて、期待したほど展望が得られらなかった。姜子寮山は、いままで様々な山から眺めてきたが、今回は本尊に登ったわけだ。これらの山のうち近いものは、雲がかかっておらず判別できた。


沢に沿って登る
7時に家を出発。七堵までは電車の便数が多いので、台北駅で待つとすぐにやって来た7時25分発の区間電車に乗る。8時ごろに七堵に到着、東口から出る。天気は快晴、入口脇の電光掲示板はすでに気温30度を示している。線路に沿って泰安路へ歩く。途中の橋から、遠くに姜子寮山が見える。左に曲り泰安路を行くと、泰安公園がある。そのすぐ脇の泰和橋を越え、泰和路を行く。歩いて行くと、集落の外れに左に折れる道幅の狭い舗装路がある。これを行き、長泰産業道路の標識のある角は、右の道をとる。この道をずっと歩いて行くと、突き当りに民家がある。この民家の脇の細い道が、拔西猴山への登山道だ。民家には犬が鎖につながれているが、勢い良く吠えてくる。ここまで駅から30分ぐらいだ。


急斜面の山道
コンクリの道を少し行くと橋があるが、それをこえたところから山道になる。標識リボンもたくさん掛かっているので間違うことはない。ここからは、ずっとこの土の道となる。上に檳榔が植わっているが、この道はその採取に使われているのだろう。山道は小沢に沿って行く。水を引いている黒のホースも道をはっていく。途中小橋を二箇所越える。二つ目の橋を超えると、沢から次第に離れていき、道も急坂になってくる。檳榔の林が現れ、道はこの中を登っていく。檳榔樹の間の登りは十数分で終わり、雑木林の中を登るようになる。補助ロープも現れる、かなり急斜面の登りだ。9時15分、拔西猴山に着いた。民家脇の登山口から約40分の登りである。すでに全身汗だ。基石のある頂上は、標高258mとある。約200数十メートル登ってきた。


拔西猴山山頂
木々の切れ目から垣間見る七堵とその後ろの山、右のピークは丁火巧山
尾根上のピークと右奥は姜子寮山の尾根
今回の行程全体に言えるが、尾根道での展望はほとんど無い。拔西猴山も周囲はすべて樹木で景観はない。登りの途中に一箇所木々が切れて、基隆八堵方向や基隆嶼が見えただけだ。拔西猴山からの尾根道は、姜子寮山登山道との合流点の前の無名ピーク(標高約600m)まで徐々に高度を上げていく。尾根上ピークの登り降りは、当然ある。拔西猴山から少し下ると、右に泰安瀑布へ降りる道を分岐する。その先少し登り返すと、また木々が少なくなり展望ができる。今度は七堵とその先に五指山山系、その上に丁火巧山が頭を出している。新山の後ろに、五指山の塔とその向こうに硫嘴山も見える。少しの下りが始まる。木々の向こうにこれから登る尾根上のピークと、遠くに旗尾崙の尾根が見える。下りきると、また別の泰安瀑布への道を右に分ける。


西勢水庫
尾根道
登りの途中で竹林が現れる。足を止めて注意すると、トンボや蝶も草の間に飛び交う。登り切ったところの近くで、左側の木々の間に西勢水庫が見える。1926年に完成した台湾で始めての水道用ダムである。このあたりは尾根の幅が広い。道も比較的緩やかな登りが続く。少し下り鞍部で少し休憩する。10時30分、拔西猴山から1時間15分だ。道は手を使わなければならないようなところは無い。ただ、繰り返しの登り下りがあるので、それなりに疲れる。水を飲み少し休んだあと、20分ほどの登りで内西勢抗山に着いた。標高441mなので、拔西猴山から約200m高度を稼いだことになる。周囲は木々に囲まれ、展望は全くないが、腰を下ろして食事ととり、休憩する。


內西勢坑山山頂
姜子寮山步道と尾根道の分岐点
わずかの下りのあと、また登りが始まる。標識は無いが右に山道を分岐する。これは泰安路につながるようだ。更に行くと左にも分岐するが、この道はあまり歩かれていないようで、どこへ通じつるのかもわからない。近くに大きな穴が掘ってある。縦1m、横2m、深さも1m以上有るだろう。何のためか。道が尾根の脇をいくようになり、風が吹いているのがわかる。最後は下りになり、姜子寮山登山道に出る。時刻は11時半、尾根道に3時間を要したことになる。道の脇に腰掛けになる木がある。蝉しぐれのなか腰を下ろして少し休憩する。


枕木の山道
姜子寮山登山道は、合流部分は平坦で土道だが、すぐ枕木が始まる。ところどころ林から出て、覆いのない部分を歩くが、風が吹いているので楽だ。しばらく登ると、上から登山客が下りてきた。今日唯一出会った登山者だ。半ば枕木が切れて土の道を行くが、また登りが始まると枕木の道となる。杉の林を登り、左に休憩できる小さな平坦地を過ぎると、木々がなくなり頂上が近い。12時に頂上に着いた。七堵駅から約4時間の道のりだった。尾根道分岐から最後の20分の登りは、今日最後の登りになるが、結構きつかった。歩きやすい道であることが、幸いだ。


三角点のある姜子寮山山頂
基隆.五分山方向を見る
平渓.四分尾山を見る
汐止.台北方向を見る、陽明山や五指山は雲の中だ

セミの抜け殻
頂上には東西南北、4つの展望台が設けられている。主稜線上を見ると、五分山には雲がかかってきている。反対側の四分尾山方向はまだ大丈夫だ。3月に縦走した耳空龜山や盤石嶺もわかる。汐平公路が山腹を登っている。平渓の谷の向こうには、中央尖、その右には峰頭尖がある。薯榔尖石筍尖もわかる。登ってきた方向を見ると、拔西猴山からの尾根筋はわかるが、その先の七堵などははっきりしない。対面の五指山山系や陽明山山系などは雲の中で見えない。年間この時期は、朝から気温が高いと積乱雲が発生し天候が崩れやすい。今日もあと一時間早く出発していれば、景色ももう少しはっきりしていただろう。山頂中央の三角点の付け根にセミの抜け殻がある。ここで脱皮したのではなく、誰かが置いたのだろうが、周囲の谷間はセミの大合唱が続いている。


説明を追加
天気が下り坂なので、写真を撮り終えた後早々に下ることにする。また、天気の良い時にやってきてゆっくり眺めることにしよう。両側の主稜線へ続く草深い道の入口が、東西側の展望台の脇に開いている。盤石嶺からの道を来れば、主稜線の縦走となる。先ほど登ってきた道を15分下ると、拔西猴山への尾根道分岐を過ぎそのすぐ先に旗尾崙への分岐がある。脇に石造りの立派なベンチが設けられている。旗尾崙への道を取る。基調は下り道だが、ちょっとした登り返しもある。道は、拔西猴山からの尾根道と同程度の土の道だ。右に朝登った尾根筋がチラチラと木々の間から見える。下りの途中に苔むした石に1600mと大きく白字で書いてある。どこからの距離なのだろうか。分岐から35分、1時15分に旗尾崙(標高389m)についた。姜子寮山頂上から340m下ってきたことになる。基石のある頂上は、そこそこの広さがあるが周囲は木々に囲まれ、展望はない。唯一木々の切れ間に拔西猴山が対岸に見える。


旗尾崙山頂
1600mと書かれた道端の石
遠くで雷の音が聞こえる。雨が降ってくるかもしれないので、そこそこに泰安瀑布に向けて下る。台北に戻って知ったのだが、このころ台北は大雨が降っていたようだ。ところどころ結構急な坂もある。下ること15分で、左に福興宮への道を分け、そのすぐ先に今度は石門山と泰安瀑布への分岐になる。ここは右に泰安瀑布へ下る。道は谷に向かって、下りていく。水の流れ道になっている部分もあり、赤土が深くほられている。沢音が聞こえ、そ
のうち小沢が脇を流れる。下ること十数分でひょっこり泰安瀑布の周遊道に出た。石の階段道である。これを下るとあずま屋がある。姜子寮山頂上から1時間40分の下りだった。今日は、汗が全身吹き出、衣類はびしょ濡れだ。ここで少し休憩し、用意してきた別のシャツに着替える。近くに水道があるので、靴や登山杖を洗う。このあとは、舗装を下るだけだ。


泰安瀑布周遊道の脇にある登山口(赤い表示)


泰安路から朝登った尾根を見る
20分ほど休憩したあと、あずま屋から階段を降り泰安路を下る。天気は、雨は降っていないがすっかり曇りになっている。七堵駅まで約4キロの道のりだ。時々車やバイクが通り過ぎるが、交通量は少ない。下っていくと、右に朝登った尾根が長く続いているのがわかる。更に下って行くと集落が現れる。このあたりまで来ると旗尾崙の尾根道や、姜子寮山も見える。ここから見ると結構遠いものだ。昔ながらのレンガ造り民家もある。道脇にバス停の標識があるが、これは七堵区役所までいく社区バスのようだ。泰和橋で朝歩いた道に合流し、線路わきを歩いて3時に七堵駅についた。小雨がちょっとぱらついたが、本降りにはならなかった。


高度プロファイル、綺麗な山形になっている
今回の姜子寮山山行は、麓から頂上を往復するという登りがいのある道を歩いた。距離は14km、時間は6時間45分(含休憩)だ。標高差は約700m、登り下りがあるので上昇高度合計は860mになる。山道は、姜子寮山直下の枕木登山道を除いて、素朴な土の雑木林をゆく道である。草に覆われたり、くぐったりする場所もあるが、それなりに歩かれ、標識リボンも適所にあるので、迷うことはない。

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