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忠勇山と手前の白石湖吊橋 |
五指山は、
陽明山山系や
汐止大尖山から見える、基隆方向へ長く尾根が続く山だ。
大湖からも湖を挟んで対岸に見える。この山は、車で登れる山でもある。山上には台湾国軍墓地があるからだ。車で登れるので、登山対象という意味では、登ろうという気持ちがもう一つ不足する感がある。そんなことで、何度も遠くから眺めているにもかかわらず、登っていなかった。その車で登れることを逆手にとり、登りはバスで標高600m強まで登り、歩いて山を下る山行を計画した。だから今回は山登りではなく、山下りというべきか。
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北側の五指山から南の内湖へ歩く(青マーカー)、黄色マーカーは二月の軌跡 |
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600mから数十mまで下りメインのルート、右側のピークは忠勇山 |
台湾北部は、冬は東北風のもたらす湿気のため雨が多い。今年も、すでに11月半ばを過ぎ、天気が周期的に変わり始め、雨が多くなっている。天気予報では、今日は天気が下り坂、下りがメインで行動を早めに切り上げることができるので、このような下りだけの行程は適している。実際、バスが五指山に着いたとたん、雨粒が落ち始めた。森の中の道は、雨がすこしぐらい降っても濡れないので、雨具を着けるまでにはならなかったが。忠勇山を越えて山道が終わり、内湖が近づいた頃雨が本降りになり、傘をさして下った。
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登り途中のコミュニティバスの車窓から見る |
五指山森林公園まで行く新北市汐止区のコミュニティバスは、汐止駅前を7時半発車である。そのあとの便は10時でかなり遅くなるので、7時半の便に乗るため6時半過ぎに忠孝東路三段から919番バスで出発した。天気は下り坂ということだが、環東の高架橋道路からは、周囲の山々がまだはっきり見える。天気は保つだろうか。約40分の乗車で、7時20分前に汐止駅到着、大同路を渡ってコミュニティバスのバス停で待つ。おおぜい年配登山客が並んでいる。同じバスかと思ったら、そうでなく
新山方面への烘內行きのバスを待っていたようだ。7時半を少し回って八連路のF909番無料コミュニティーバスがやって来た。ほぼ満員になり発車する。途中でかなり乗り降りがある。伯爵山荘のコミュニティに入り、また八連路に戻る。汐止の山には、かなり高いところまで多くの住宅ができているのを認識する。
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バス終点、前方にあずま屋 |
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国軍墓地の入口、左は風櫃嘴へ続く |
乗客は伯爵山荘近辺で大部分が下車し、8時18分に到着した山頂の五指山森林公園終点では、自分も含め二人下車しただけだ。バスがつづら折りの道を登るときには、山々がみえていたが段々曇ってきた感じはあった。バスから降りると、雨がポツポツ降ってきた。すぐに大降りにはならず助かるが、思っていたより天気の変化が早かった。バス亭の周辺は、店が数軒ある。この時間はもちろん営業していない。あずま屋の先は、展望が開けるがあいにくこの天気では、ほとんど見えない。もともと足を伸ばして国軍墓地内にある五指山三角点まで行こうと思っていたが、これでは意味が無いので踵を返して、梅花山に向けて車道をバスでやって来た方向に下り始める。すぐ道の右側に大崙頭山3.6kmの道標があり、山道が始まる。森に中に入ってしまうと、このぐらいの雨では木々の葉に遮られて、雨に濡れない。
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山道の入口 |
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五指山歩道の分岐 |
山道を歩くこと数分で梅花山(標高640m)に着く。周囲は草木、展望は全くない。道がそのまま下りていくが、それは雙溪溝古道へ行く道なので、もどり左の道をとる。ここからは、碧山へむけて尾根道を下る。ところどころ木々がまばらになるが、森の中の小径を進む。そこそこ歩かれている路上には、山茶花の花が落ちている。五指山公路に近づく部分の近くには、数匹の野良犬が群がっている。梅花山から約20分ぐらいで、右側が開けた場所にきた。晴れていればおそらく
七星山なども見えるのだろうが、今日はガスがたれこめている。かろうじて鵝尾山とその奥に小草山の影がわかる。そこから更に3,4分下ると五指山歩道との分岐についた。この五指山歩道はところどころ路面に石が敷いてあり、古道の趣がある。現在の舗装五指山公路が出来る前は、内湖からの主要な道だったのだろう。
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五叉路部分、左から歩いてきた、右の道は公路へ下る |
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碧山頂上近くに咲く台湾山菊の花 |
9時少し過ぎに五叉路にたどり着いた。ここは左には五指山公路へ降りる、右には萬里への草深い道と大崙頭山への尾根道が続く。直進して内湖方面へ歩く。
今年二月には大崙頭山からここへやって来た。この時は行かなかったが、少し道を進んだところで右に入り、碧山(標高517m)の頂上へ往復する。登ること、ほんの2,3分で頂上に着いた。基石があるが、それ以外は表示もなにもない。展望もなし、すぐに折り返す。ここから大崙頭山方面への道があるようだ。道脇の台湾山菊の黄色い花が、薄暗いなか目を引く。内湖への山道にもどり下っていく。雨は小康状態だ。数分歩くと、また十字路に着く。左は五指山公路へ、直進すれば白石湖山方面へ尾根道が続く。二月はこの尾根道を進んだ。今日は右へ五指山歩道を下る。
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石段で古道の趣がある五指山歩道 |
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生コン搬送用の鉄パイプが山道を横切る |
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古ぼけた道標 |
下り坂が急になってくる。雨でぬれた赤土は滑りやすい。分岐から下ってしばらく、ズコンズコンと響いてくる音に気づいていたが、鉄パイプが道を横切っているところに出会った。これで音の理由がわかった。生コンをこの臨時に敷設したパイプで送っているのだ。何の目的か知らないが、結構大掛かりな作業だ。この歩道には、倒れかけ文字も判読が難しい道標がある。台北市建設局との記載もある。いつ頃に建立されたのか。
新店の雞心尖など他の山でも見かけるのと同じ標識だ。途中、左に白石湖山という道が分岐するが、ほとんど歩かれていないようだ。木々の間から右に見える大崙頭山への稜線がだいぶ高くなってきた。また石段が現れる。石の道を下ること十数分、9時52分に碧山路の登山口に着いた。登山口のすぐとなりにあるレストランの飼い犬が、大声で吠え立てうるさい。
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碧山路の登山口 |
碧山路を碧山嚴方向へ歩く。路面は濡れているが、雨は止んでいる。道の左は、畑が斜面に広がる。天気がよければ汐止の街などが見えるのだろうが、霞んでいる。雨が止んでいるだけでも良しとしよう。ここまでくると、観光地なので行楽客ともすれ違う。車やバイクは時々通るだけだ。小2番バスも行き交う。碧山路をゆっくり下ること20分、右に白石湖吊橋への道標がある。これに従い石畳の歩道を同心池へ行く。雑草が多く同心池ももう一つパッとしないが、あずま屋があるので休憩して、軽く食事を取る。
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同心池からのパノラマ、向こうに龍船岩の山並み、右は圓覺尖 |
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同心池の近くに咲く花 |
白石湖吊橋へ向かう。この周辺はよく整備されている。観光地だけのことはある。白石湖吊橋は、今回行程目標の一つだ。二年前に完成したこの吊り橋は、当地の農業観光振興のために造られた。吊り橋は、幅も広く歩いてもあまり振れない。渡ると対岸は碧山嚴だ。山門をくぐり石段を登る。
去年五月に訪れたときは、天気がとても良く山腹にせり出した境内からは、台北市街の景観がはっきり見えた。今日は、天気が悪いので境内には立ち寄らず、右に折れて忠勇山の石段道を登る。前回は注意しなかったが、登りの途中右側の樹木が少く景観を望める場所が二箇所ある。白石湖吊橋が下に、その向こうには大崙頭山からずっと龍船岩へ連なる山々が見える。
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白石湖吊橋を渡ったあと振返る |
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碧山巌の山門 |
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忠勇山への石段道 |
今山行で、登りらしい登りはここだけだが、途中の写真撮りなどもいれ約20分で忠勇山頂上(標高325m)に着いた。頂上の大きな蒋介石像は、先程碧山路を歩いている時も見えていた。台北周辺の他の山でも同じだが、住宅地に近い山は住民の憩いやトレーニングの場所になっている。頂上周辺にはトレーニングのための道具など設置されている。トレーニングに登ってきている人が数名いる。犬をつれて散歩の人もいる。鳥の餌が木の枝に取り付けられ、二羽の鳥がついばんでいる。このあとは内湖に下るだけなので、持ってきた果物を食べ、コーヒーを飲む。雨がまたぱらついてきた。
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忠勇山頂上から見るパノラマ、下に白石湖吊橋、遠くには大崙頭山から連なる山々 |
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忠勇山頂上の餌場の鳥 |
下りもよい石段道だ。石段には50段ずつ赤ペンキで段数が書いているのに気づいた。15分の下りで慈聖宮が現れた。石段道はここで終わりだ。舗装路を下って行くと、慈聖宮の山門がある。この前の道を左に行けば、碧山嚴へ通じる。右にとり下って行くと、大きな境内を擁する金龍禪寺がある。雨がけっこう降ってきたので、傘をさし道を下る。更に10分ほど下ると金龍路に出た。左におれて行くと、金龍寺バス停がある。時刻は12時。数分待つと222番バスがやって来た。これで台北市内へ戻った。
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忠勇山金龍寺登山道の入口 |
今回の行程はとても楽だった。距離8.3kmを3時間(移動時間)で歩いた。標高600数十メートルから数十メートルまで約600mの下りが基調で、登りは累計220mだけだ。期待していたよりも早く雨がふりだしてしまい、景色はあまり眺められなかった。ただ、碧山路や忠勇山より谷あいの景色や、以前歩いた尾根などが展望できたので良かった。今年は精力的に山を登ってきたが、これからは天候が不順なことも多くなるので、春の訪れまでは登山頻度は少なくなるだろう。
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