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2013-02-18

2013年2月17日 石碇二格山 - 南邦寮古道 - 深坑老街

筆架山から見る二格山(2013/1撮影)
今年の山桜は去年より開花が早く、散るのも早いようだ。昨年三月中旬に同じく栳寮から二格山へ登ったが、その時は僅かな花を残して、すでに花の時期が終わっていた。今年はそれより四週間も早いが、大部分の木は葉桜となっていた。桜を期待していた部分は残念だったが、晴天のもと二格山からはよい展望ができた。それにもまして良かったのが、南邦寮古道だ。苔むした石段は、濡れて滑りやすい上に長く、同行メンバーも含め苦労したが、この道は自然があふれ様々な様相を見せる。つい最近同じく天南宮から下った、尾寮古道よりも古道の風情がある。

南側の栳寮から北に向けて歩く(クリックで拡大)
下りが主体の山行
今まで歩いた深坑の古道群
今回のルートは、北宜公路の栳寮からスタート、二格路産業道路を歩き第二登山口から二格山を登頂、その後猴山岳步道を阿柔洋產業道路まで行き、天南宮から南邦寮古道を下った。南邦寮古道を歩き終えた後は、天南宮から遠くを迂回して下ってくる阿柔洋產業道路を更に深坑老街まで歩いた。旧暦正月最後の日曜休日、天気もよいので深坑老街は遊楽客で溢れかえっていた。

残り少ない二格路わきの桜の花
朝8時にMRT新店駅前バスターミナルで、同行のKさんとWさん夫婦に出会う。北宜公路を坪林まで行く緑12番バス乗場の表示が目立たないので、少し迷ったようだ。すでに行列ができている。8時15分定刻に出発、バスは満員だ。カーブの多い北宜公路を三十分揺られ8時45分に栳寮に着いた。休日の北宜公路は大型バイクが多い。大きな音をたてて通り過ぎる。バス停の手前の二格公園からは、谷の向こうに皇帝殿山が見える。支度をすまして出発する。栳寮は標高が400数十mあるので、674mの二格山まで標高差は200数十メートル、いくつかある二格山登山道の中では、一番楽な道だ。

第二登山口
天気が良いので、日なたの道を歩き始めると暑いぐらいだ。仏清寺の近くを過ぎると、道の両側に桜が植えてある。新北市政府の「賞櫻路線」の看板がかかっている。桜を期待していたのだが、ほとんど木はすでに葉桜、ところどころに花が咲いているものがあるが、今回も残念ながら桜並木を鑑賞できなかった。今年の桜満開は昨年より二週間ぐらい早かったようだ。実際先月末に筆架山縦走路を歩いている時、二格路産業道路方向を見ると桜がかなり咲いていた。同じく道端に植えてあるツツジは満開だ。第一登山道入口を過ぎ、山裾を回りこむ。駐車場があるが、そこからは筆架山の連山がよく見える。駐車場のすぐ先に第二登山口がある。幸いにして桜が咲いている木が二、三本ある。この登山道は、幅がひろく両側に桜が植えてある。ここまで、栳寮から約40分の歩きだ。

餌を食べる赤腹リス
登山口から数分登ると、第一登山口からの道と合流する。わきには休憩のあずま屋がある。大勢の登山客が休んでいる。木製手摺に落花生が置いてある。近くにはリスが数匹やってきている。登山者の一人は、よくここにやってきて餌を与えているとのこと。一休み後、階段道を登る。道はコンクリで整備された道だ。ただ、階段一段の高さがかなり高いところもあり面食らう。約15分で二格山頂上の展望台に着いた。今日はかなり遠くまで見える。台北市の向こうの観音山や陽明山山系、平渓の奥の山、中嶺山や石碇後山の向こうに烏來の山々が展望できる。翡翠水庫の湖面も少し覗ける。一月初旬に雨の中を歩いた、雲海山や風露嘴も近くに見える。今回で四回目の登頂だが、訪れるたびに識別できるピークが増えている。食事休憩を取る。

二格山から北方向を見る、左に台北市、正面に陽明山山系
深坑の街
台北市方向
南方向を見る:手前の中嶺山と右の石碇後山、その向こうは高腰山拔刀爾山、左のコブは大桶山
東方向を見る:小格頭と背後の雲海山、粗坑崙,北宜公路がすぐ下を走る
猴山岳歩道の下り
休日の二格山は、登山者が多い。到着した時も数名、その後もまた別の登山者も登ってくる。出発しようとした時、ちょうど登ってきた一人が展望台階段のすぐそばに毒蛇を見つけたという。みな見に行くと、小さな蛇がじっとしている。果たして毒蛇なのかどうなのか、喧々諤々議論している。10時半、登ってきた道を下り、分岐から左に折れて階段道を下る。途中まで降りた後、稜線上の土の道を取り下る。前回登ってきた時と比べると、補助ロープが更に多く設けられている。約20分で筆架山との鞍部に到着、天南宮に向かい左に折れて下る。補助ロープのある岩のセクションでは、数名の年配登山客が登りで苦労している。登り切るのを待ち、すれ違う。阿柔洋産業道路に出て右に折れ、11時半に天南宮に着いた。天南宮の建物のわきにあるテーブルと椅子のある休憩場所で休む。天気がよく気温も程よく、とても気持ちが良い。

小沢を越えていく
20分ほど休んだ後、天南宮のすぐそばにある産業道路わきの階段入口から下り始める。二軒ほど民家のわきを下ると、南邦寮古道が始まる。苔の生えた石階段が続く。倒木の表面に白いものが張り付いている。遠目には溶けているようにも見える、変わった形のきのこだ。小沢を超えると、小さな尾根を超えるため登りが少し続く。峠を過ぎるともう一つの谷を下り始める。右側の尾根は筆架山から北に伸びる枝尾根だ。周りは自然があふれている。朝、北宜公路ではバイクが大きな音をたてて走っていたが、ここは鳥の鳴き声だけが静けさを破る別世界だ。苔の石段が現れる。小沢を越えてすぐ、左に苔のびっしり生えた石壁の廃屋がある。けっこう大きな敷地の廃屋だ。道の両脇の草が深い。その中を石段が長く続く。この古道は、他に比べると石段の数が多い。昔、それだけ多く手が入れられ歩かれていたという事だろう。廃屋の規模が大きいということは、それだけ経済力があったので道の整備もできたのだろう。
静かな森の小径
古道わきの廃屋、かなり規模が大きい
竹林の中にマネキン人形
天南宮から下ること50分、竹林が現れた。陽射しが溢れ明るい。竹林の真ん中に、ぽつんと上半身だけのマネキン人形がある。シャツを着ている。何のためにこんな山の中に置いていあるのか。カカシとしては意味が無い。竹林のふちを下って行くと、また暗い森の中の道となる。石段が長く続く。表面は濡れてとても滑りやすい。登山靴は底がゴムなので、当時履かれていた靴より滑りやすいのだ。同行メンバーも滑って転ばないように緊張して下る。廃屋から約40分ほど歩いてくると、屋根が付けられベンチもある土地公の祠が下り坂の左にある。時刻は13時。1時間半ほど休まずに歩いたので、ここでしばし休憩する。一息のコーヒーがうまい。

草深い石段の道を下る

石段の道はまだ続く。草に埋もれた石段が沢に向かって降りていくが、山道は左に横切っていく。これを進むとコンクリの道が現れた。これを下り切ると畑がある。古道の終了点だ。石段の下りでみな緊張していたいので、ほっとする。畑の中を進むとトタン板の塀がある。扉を開けて出ると、そこは阿柔洋産業道路だ。外から見ると、ここから山道が始まるとは気づかない。かろうじて、認識リボンがトタン板塀の上に付いているので、注意すればわかる。時刻は13時半。のこりは車道を深坑老街まで歩くだけだ。

母株の上に生える子株の母子樹
車やバイクが時々通り過ぎるが、晴天のもと、気楽な下りだ。淡南福徳正神という道標が示している右の沢に降りていく小道がある。下ると、沢を越えて道がまた登っていく。淡南福徳正神は対岸にあるようだ。車道にもどり更に下る。母子樹とそれを祀る祠が左側にある。その先はあずま屋が並んで二ヶ所ある。すぐ下は水遊びができる堰になっている。ただ、水はあまり綺麗ではないようだ。ここでしばし休む。親子連れがやってきて、沢に降りていく。深坑老街に近づくにつれ、道端には車の駐車が多くなる。遊楽客が停めているいるようだ。交通量の多い文山路を越え、14時半深坑老街に着く。人が通りにあふれている。メンバー皆で老街の店に入り、臭豆腐でビールを乾杯!実にうまい。

遊楽客で賑わう深坑老街
今回は、出発点の標高が高く下りが多いルートである。距離は約9.8km、休憩込み所要時間は5時間40分であった。登攀高度累計は399mで比較的少ない。古道部分は、それなりに時間がかかっている。桜を見るには時期が少し遅すぎたようで、こちらは残念だったが、同行のKさんもWさんも古道の魅力を見つけたようだ。天気がよく、まだそれほど暑くないこの時期の山行は、とても快適だ。

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