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新しく取り付けられた芋圓尖の標識 |
時間が経つのは早いものである。
2012年11月に訪れた坪林金瓜寮の芋圓尖を再び登った。前回の山行は、芋圓尖から更に縦走するつもりであったが、それまでの草深い道が続くようなので断念し、引き返して親水公園へ下った。藍天隊のようなボランティアによって整理された山道も、直後は多く歩かれるがそのうち訪れる登山者も減り、一方旺盛な草木に道は覆われてしまう。前回はまさにそうした時期に訪問したわけだ。今年になり、また藍天隊がこの山域に入り道を整理したと聞いた。今回の山行は、前に果たせなかった部分をこのチャンスに訪れたものだ。
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南から北へ縦走 |
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芋圓尖からは下り基調の縦走 |
坪林はお茶の栽培で有名である。山の上まで茶畑が造られている場所もある。金瓜寮でも坪林に近い火炎山には茶畑が造られ、その脇をゆくところもある。また、森が切り開かれて草原になっている場所では、藪こぎが必要だ。火炎山の最後の登り部分では、草原の部分で稜線を行く道がわからず、標識リボンが現れる草原道を進んで産業道路に降り、また頂上に登り返した。本来は、火炎山からさらに尾根を進んで仁里坂橋へ下るつもりであった。今月前半は日本に一時帰国、東北の山など涼しい環境で登っていたとのギャップが大きく、暑さに負けて火炎山から産業道路を下り、早めに終了した。
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翡翠水庫ダムの南に位置する山域 |
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坪林國中バス停にF722番バスばやって来た |
坪林へのアクセスは、実はとてもよい。923番バスだけでなく宜蘭羅東行きの9028番バスが途中坪林へ立寄る。今回はMRT大坪林駅から、9028番バスで坪林国中バス停へ向かった。9028番バスは、MRT大坪林駅をでてすぐにあるバス停の先にある大都市バスのバス待合場所から出るので注意が必要だ。我々はそれを知らずにアチラコチラを10分以上探した。結局7時に出るバスになんとか間に合い乗車した。今回は四人のパーティである。
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産業道路を行く、左に九芎根山への道標、前方民家が王宅 |
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草薮を登る、背後の山を越えると桶後溪だ |
第五号高速を進むバスは速い。約30分で坪林国中のバス停に着く。30分ほどの乗車である。ここから出発点の九芎根親水公園へは、新北市の無料コミュニティーバスF722/F723バスが出ている。休日に比べると便数が少ないが、それでも一時間おきなので登山には十分な頻度だ。初発は8時なのでバス停でしばらく待つ。8時にF722バスがやって来て乗車する。乗客は我々以外は土地の人が二、三人である。北宜公路をしばらく進み、北勢溪へ下る。渡南橋を渡り、金瓜寮溪の流れに沿って谷あいを進む。狭い渓谷を抜けると、九芎根親水公園に着く。8時30分過ぎ、待合時間が少なければ、台北から1時間と少しである。
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補助ロープの岩場を行く |
空は晴れ、天気がよい。すでに気温は高めである。前回下ってきた産業道路を登っていく。奥には僅かの民家しか無いが、二、三回車と行き違う。左に九芎根山への登山道道標を見て更に行く。すぐに車道は王宅で終わりになる。8時50分、約15分ほどの車道歩きである。ここから山道が始まる。何の標識も無いが、前回訪れているので問題はない。梯子を登り、山道を行く。ステンレスタンクの脇を行き、畑が切れたあと尾根を登っていく。草薮を通り過ぎる。左に山腹を行く道があるが、おそらく新道だと思う。前回と同じに尾根上の道をたどる。9時20分、新旧道の分岐に着く。古い藍天隊の道標がある。ここから尾根に向けての道は、それまでより状態が良い。今は新道を行く登山者の方が多いようだ。しばし休憩する。親水公園から歩き始めて約45分である。
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草が刈られてきれいな芋圓尖山頂 |
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山頂の傍らに立てられた警告板 |
登りが続く。岩の急坂には補助ロープも架けられている。風もあまりなく、汗が吹き出す。9時40分、尾根上の分岐に着く。左は九芎根山へ続く。この分岐には新しい藍天隊の標識が取り付けられている。今年五月のものである。右にとり尾根を芋圓尖へ向かう。鞍部へ下る。ここにも新しい藍天隊の標識がある。もともとは、ここから山腹を王宅へ向かう近道があったが、前回歩いた時は崩れていたものである。標識にはその方向が無いので、道は以前と崩れたままなのだろう。ゆるい尾根道を進む。前回は棘の草薮に苦労したが、今回は綺麗に整理され歩きやすい。最後に急な坂を登り、10時に三角点基石のある芋圓尖頂上(標高641m)に到着する。前回草に埋もれていた頂上は、綺麗に草が刈られ頂上から火炎山以外に更に二ヶ所への道も綺麗に整理されている。藍天隊の活動に思わず感謝の気持ちがわく。乾溝山方向への道の脇には、新しい警告板が建てられている。下っていく先は、翡翠水庫食蛇龜保護區なので、許可が必要であると記してある。しばし休憩する。
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尾根上を下る |
今日は、まだ1時間半ほどしか歩いていないが、ちょっと辛い。気温が高いのが影響している。今まで夏に台北郊外の山々を歩いていないわけではないが、今回は辛く感じる。おそらく数日前まで日本の東北地区にいて、山上では10度以下の気温もあったのに比べ、30度の気温は落差が大きく、体がついて行かないのかもしれない。今日の行程は芋圓尖が最高点で、これから先は基本下り基調なのが幸いだ。補助ロープのある急坂を下る。尾根上の道は、草深いところもあるがしっかり草が刈られたあとも残っている。木々の間から、遠くに翡翠水庫の水面が望める。尾根上では、少し風もあり助かる。芋圓尖から尾根上の道を約30分ほど進む。左に石硿仔步落へと続く枝尾根上の道が分岐する。その先大きく下る。
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尾根上の茶畑で休憩する |
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別の茶畑にでる |
小さい上り下りを繰り返す。11時20分、小休憩で足元を注意すると蛭が登山靴にへばりついている。先ほど芋圓尖で、すでに二ヶ所ほど血を吸われたのを発見したが、ここで塩を取り出しふりかける。みるみる縮んでポロッと落ちる。他のメンバーもやられているいる。やはり草薮を歩いているので、蛭には注意が必要だ。再び歩き始め、11時50分森が切れて草原が前に広がる。倒吊嶺などの金瓜寮対岸の山の向こうには、大きな山容の
源茂山と和尚髻山が見えている。その先少しいくと、尾根上に茶畑が現れる。ちょうど12時、ここで食事休憩を取る。
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茶畑からみるパノラマ、前方に火炎山が見える |
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大きな草原にでる、ここで踏跡が途切れる |
20分ほどの休憩後、火炎山へ向かう。すぐにまた茶畑が現れる。こちらはずっと大きい。前方に火炎山への稜線が続く。右遠くには坪林の街や、その奥には
獅公髻尾山も見える。尾根の左には、
大粗坑崙から獵狸尖を越え烏窟子山への稜線も見えている。その足元には、翡翠水庫の水面も望める。景色が望めると、また気力がわく。茶畑から林の稜線を十数分進む。また草原が現れる。この草原は大きい。前方に尾根が続くが、道がわからない。右に山腹を行く道を示す標識リボンがある。藍天隊の整理作業からまだ2ヶ月足らずだが、草が伸びて踏跡ははっきりしない。とりあえず、山腹道を進むが、そのうち右に下っていく。他に稜線方向に行く道も探したが見当たらない。そこで、まず下って下の産業道路に降り、そこから火炎山へ登り返すことにする。13時20分、産業道路の分岐に着く。
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樹木のなかの火炎山主峰山頂 |
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茶畑の脇を下る |
日差しの照りつける産業道路を登り返す。幸いにして長くなく、数分で作業小屋のある道路終点に着く。ここから山道を登る。急坂が辛い。尾根上の道に合流し、左に頂上を目指す。13時35分、火炎山主峰(標高545m)に着く。樹木の中の頂上は、展望はない。ここは基石も無い。15分ほどの休憩のあと、そのまま予定の尾根を歩くかどうか相談する。みんなも暑くてあまり気乗りがしないようだ。そこで、火炎山東峰へ進まず、さきほど登ってきた新城坑産業道路を下ることにする。両側に茶畑を見て下り、谷を更に進む。脇の沢もはっきりしてくる。14時30分に金瓜寮産業道路との分岐につく。坪林方向へ少し進み、あずま屋のある鐵馬新樂園バス停にやってくる。ちょうどF722番バスが時間調整で停まっている。尋ねるとこのあと、先に終点九芎根へ行くそうだ。冷房が効いているので載せてもらい、先に終点へ向かう。そこでしばらく発車時間まで待ち15時に出発、15時25分坪林國中バス停へ戻ってきた。15時30分、923番バスがやって来て乗車、帰京した。
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鐵馬新樂園バス停につく |
三年前歩けなかった芋圓尖から火炎山への稜線を歩くことができた。その先は、今回は中断したが秋になった後、また来ることにしよう。アクセスはとても便利である。山道の状態はレベル3、体力的もレベル3である。ただし、ここに限ったことではないが、夏の暑い時期は稜線道は辛い。今年中はおそらく問題ないが、今までの経験からするとこの山域はそれほど人気があるわけでもないので、また草に埋もれた道になるだろう。行くのであれば早めに訪れたほうがよいだろう。
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