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2020-02-20

2020年2月19日 獅球嶺山-大武崙山縦走 基隆のスカイラインを歩く

基隆の街を足元に見降ろす獅球嶺東砲台山山頂
基隆は、日本時代からの主要な台湾北部の港だ。今は台北港などにその主要な機能が移り港町としての働きは昔ほどではない。それよりも台北に近いのでベッドタウンとしての発展が目覚ましい。日本の神戸や横浜のように港の周囲は山に囲まれている。その山の山腹は、開発が進み住宅がひな壇のように並んでいる。今回は、昨年春に基隆の紅淡山から南に歩いたのとは逆方向に、紅淡山と鉄道や道路が通る谷を挟んで対岸にある獅球嶺山から北へ大武崙山へと連なる山並みのハイキングである。

南から北へ縦走
小さな登り下りが続く
三坑駅改札口
16日の日曜日に台北市猫空の山へピクニックを兼ねていったが、あいにくと冷たい雨の日であった。今日は、同じ寒波の到来中だが台湾周辺の水分が少ないので、天気はよい。家を出るときは、少し肌寒く感じた。8時半に三坑駅の出口に集まったメンバーは、予想していより多く筆者も入れえて21名だ。早速駅を出て、線路沿いの龍安街を進む。めったに下車することのないこの駅は、実に7年前に紅淡山へ登った時に下車した以来だ。

線路下をくぐって反対側へ
山道(保線路)の入口
一度線路の下をくぐる車道との交差点を過ぎ、駅から約10分ほどで右に小さな高架線下のトンネルをくぐる。するとそこは開けていて、車が数台止めてある広場になる。登り始める前に少し今日の行程を説明し、右に急なコンクリの坂を登る。ほんの二、三分で右に土の道が下る。近くには台北天際線の印が取り付けてある。この道は送電鉄塔のメンテのための保線路でもある。篠竹が覆いかぶさる道を進む。鉄塔下をくぐってすぐに右に道が分かれる。こちらを取り、少し登って南榮山(標高55m)を往復する。

篠竹トンネルの道を行く
東砲台遺構
縦走路に戻りさらに登る。鉄塔下を過ぎて稜線を越え、大きく右に曲がっていく。9時19分、右側に遺構がある。獅球嶺東砲台遺跡(標高155m)だ。主要な砲台である獅球嶺砲台に比べると規模は小さいが、基隆港をすぐ下に臨み戦略的に重要な位置であることがわかる。弾薬庫などに使われていたと思われる石の建物は、ガジュマロ樹がその上に大きくのっかている。メンバーは、遺跡を巡って写真を写している。

東砲台の上から望む基隆港と街並み
獅球嶺主砲台遺跡
19時39分、遺跡わきから稜線をおって下っていく。先ほどの砲台の下方を巻くように進み、数分で涼亭を見る。ここを左に曲がり登る。北碉堡という印がつけられているトーチカがある。その上にもガジュマロ樹が大きく生えている。トーチカから下っていき、縦走路を進む。数分で舗装路に合流、その先左に登ってく階段をとる。階段を登りきると、獅球嶺主砲台の遺跡がある。清仏戦争(1984~85年)の際には重要な戦略点で、両軍にとってこの地の攻略が重要な点であったという。砲台の上に登る。そこからも基隆港が眼下に広がる。

砲台山からの眺め
高速道路トンネルの直上部からの眺め
砲台から稜線を追っていく。開けたところに樂觀聽涼亭がある。ここは第一号高速道のトンネルのちょうど上だ。海側には高速道路が伸び、その遠く沖には基隆嶼の島が浮かぶ。反対側は八堵へと延びる高速道路と、その奥には四分尾山から大尖山への稜線が望める。その少し先で獅球嶺北峰(標高110m)を過ぎる。土の道となり、稜線を追っていく。送電鉄塔を通り過ぎ、その先早咲きの月桃を見る。少し登り、10時25分獅球嶺西砲台(標高105m)に来る。砲台の海側に茂っていた林投は切り開かれ、展望が開けている。この角度からは、基隆山も基隆の街並み遠くに望める。

西砲台山
稜線上のコンクリ舗装道
蚵殼港山
砲台から下り、右からのコンクリ舗装の山道と合流する。稜線道を追っていき、10時47分安嘉長青會とある立派な涼亭やその周辺の運動器具のある場所で休憩をとる。休憩後、稜線道を少し進み、右におれて紅龍山を往復する。トーチカ脇の涼亭を過ぎ、康福宮の脇を行く。その先の慈佛寺の右わきを行き、土の道を登る。11時17分、蚵殼港山(標高107m)につく。最近草刈が行われ、トーチカもその姿を現している。山名札の日付は2月13日だ。山を下り、またコンクリ舗装道を追っていく。11時28分、開けた緩やかな斜面に涼亭がある。ここで食事休憩をとる。涼亭にある寒暖計は21度、稜線は冷たい風が吹くかと心配してきたが、とてもよい陽気だ。

食事休憩場所
食事休憩後のトーチカ近くから海側を見る
山側の風景
基金一路に下る
30分ほどの休憩後、少しのぼりトーチカを過ぎる。樹木がない稜線からは、海側も山側もよく望める。山側は谷を挟んだ対面に新山水庫の湖面や昨年の春に多く歩いた山々、そして遠くには磺嘴山など陽明山系の山々が重なって聳えている。送電鉄塔を過ぎ、急な坂を下っていく。12時5分、基金公路に降り立つ。車の往来の激しい車道を少し進み、道を渡って反対側の登山口を見る。新しい道しるべもあり、迷うことはない。

@定國山
稜線道、前方遠くは大武崙山
稜線上に上がり、土の道で小さな上り下りを追っていく。ここも保線路で道の状態はとてもよい。12時23分、定國山に着く。ひらたい山頂だが、樹木にかこまれて展望はない。さらに送電鉄塔を三か所通り過ぎる。12時47分、三角嶺頭山(標高157m)につく。山頂のすぐわきに溝がある。おそらく清仏戦争のときにほられた塹壕ではないだろうか。山頂近くに陸軍用地と記された石がある。稜線上を進むと、さらに二つほどある。13時10分、大きな落差の断崖にくる。樹木の根が足掛かりになる。全員が降りきるのを待ち、さらに進む。

陸軍用地石
断崖を大きく下る
13時30分、右から登ってくる道を合わせる。舗装はされていないが、幅が広くなる。さらに5分ほどで舗装路と合わさる。舗装路をのぼっていくこと数分、大武崙砲台遺跡の入口に着く。しばし休憩をとる。休憩後、大武崙山山頂を往復する。標高231mで今日のハイキング最高点だ。天気のよい今日は、海側の景色が広がる。遠くには野柳の半島が海に突き出ている。往路を戻り、砲台遺跡の中を途中弾薬庫などの遺跡に立ち寄り、通り抜ける。砲台の周囲を巡る道の一角から、情人湖方向へ急坂を下っていく。

大武崙砲台入口
大武崙山山頂からの展望
砲台遺跡の一部
石段道を情人湖方向へ下る
急坂を下り切ったところで、右に環山步道を進む。ここからは観光地だ。塔のところで少し休憩をとる。メンバー数名は塔に上がる。環山步道をさらに行き、14時35分、老鷹岩の展望台に立ち寄り、さらに歩道を進む。数分で右に下っていく山道をとる。ここも今年2月2日日付の新しい道しるべがある。急坂を下ること10分足らず、車両往来の激しい西濱公路脇の登山口に降り立つ。道路を渡る。右方向に少し進めば、瑪瑣山への道がある。武聖街にくだって進む。15時過ぎに基金公路に出て対面のバス停より953番バスで帰途についた。

前方の稜線から下りてきた
武聖街バス停からバスで帰宅
最高点でも230mと、今回の対象は決して高くない。前半は100m台の山々である。、しかし、天気が良い日には海も山も景色が望める、とてもよいルートだ。道は保線路やコンクリ舗装道など状態もよい。歴史のある砲台遺跡も現れる。暑い時期はとても大変だが、春先や秋などはとても手ごろなルートだ。一部は草深くなるところもあるだろうが、保線路は台湾電力のメンテが行われるので大丈夫だ。体力的にもクラス2だ。お薦めである。

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