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2020-09-09

2020年9月8日 烏來阿玉溪山 - 拉樸山 - 大刀山縱走

大刀山(左)と拉樸山(2012/11撮影)、阿玉溪山は拉樸山の裏側でここからは見えない

烏來は、台北を流れる淡水河の上流南勢溪が本流と桶後溪に分かれる二股に位置する。その二股から立ち上がる山が大刀山であり、その尾根をさらに追っていくと拉樸山から大保克山へと続く。数年前の夏、大刀山へ登り大保克山へと歩いた。その時は、大刀山から內洞林道を伝い、途中の登山口から大保克山を登頂した。途中にある拉樸山はスキップした形だ。今回は、その拉樸山を枝尾根上にある阿玉溪山から登った。

東側孝義から登り烏來に下る
歩行高度表
阿玉とは100年以前にこの地を縄張りとしてたタイヤル族の言葉アゲクを漢字で表したもので、カヤという意味だ。つまりカヤがたくさん生えている山である。今は新北市と宜蘭県の県境になる山稜は、冬の季節風などで樹木がそだたずカヤの草原になっているところが多い。そして、この阿玉を冠した山が全部で六座ある。カヤが多く一番高い阿玉山、そしてその東西にそれぞれ東阿玉山,西阿玉山が、また中阿玉山と下阿玉山がある。最後の一座は桶後溪に流れ込む支流の阿玉溪から名付けれた阿玉溪山である。この山は地理的にカヤはほとんどなく、今はその周辺は杉人造林である。

@拉撲山山頂
山自身の人気の程度が山道の程度に素直に反映する。ネット上でもあまり記事を見ない。烏來からちょっと奥まった孝義にあるので、人気のある山ではない。道の状態が良くなく、鎌を持っていき草木を刈って進むことを覚悟していったが、それは杞憂であった。登り始めのセクションは確かに草深いが、抜けて杉林に入ると森の底はシダ類が覆っているが、トゲトゲの黃藤などの植物はなく、道筋も思っていたより良かった。このセクションを通過するにに時間を要することを考えていたが、結局二時間半で拉樸山に着いた。時間が十分あるので、そのあとは途中で長い休憩をとりゆっくりと歩いた。まだ暑い台北付近の低山は、こうした歩き方も良いだろう。

この建物の脇に登山口
台北駅から烏來まで849番バスが頻繁に往復している。このバスで烏來に向かう。8時少し前約1時間の乗車で烏來に到着、残り一名がやってくるのを待ち、そろったところで5名はタクシーで登山口の孝義に向かう。一人あたり100元だ。タクシーの運転手は、今年の春坪林から山を越えて桶後溪へ歩いたときに乗った三台タクシーの一台の運転手で、メンバー中顔見知りもいた。乗車約20分ほどで台9甲線の終点に着く。車を降りると、手前に下阿玉山が目立つ。8時37分、支度をして歩きはじめる。桶後林道に入るとすぐ右に廃屋がある。以前の検問所だ。その建物の左すぐわきから山道が始まる。普通登山口には、マーカーリボンなどがついていることが多いが、ここは何もない。

草が山道を覆う

杉人造林の中を登る
山道は、草がかぶっているところもあるが、思ったより道筋がはっきりしている。ジグザグに高度を稼ぐ。途中送電鉄塔の脇を過ぎる。この部分は保線路の役割があるようだ。登山口から十数分登ると、道は杉林の中に入る。ところどころ大きなヘゴが目立つが、ほかは背の低いシダ類が森の底を覆っているだけだ。森の中を進む急坂が緩くなり、最後にちょっと登る。9時23分、樹木の間に阿玉溪山(標高494m)が現れる。もし樹木に取り付けられた山名板がなければ、そのまま通り過ぎてしまうだろう。少し休憩をとる。

@阿玉溪山山頂
幅の広い尾根の緩い坂を登る
拉樸山山頂
休憩後、道筋を追って左の方向に進む。間もなく道筋がなくなる。地図と比較すると外れている。戻って様子を見ると、山頂から右方向に行く道がある。先ほどの左へ進む道にもマーカーリボンがあるが、これは間違いのようだ。しばらく急な坂が続く。20数分で坂が緩くなり、幅の広い尾根の林を進む。10時25分、休憩をとる。風が時々吹いて、心地よい。10分ほどの休憩後、最後の登りを行く。坂がまた急になる。樹木を通して左方向に山が見える。大保克山へ続く尾根上のピークだ。拉樸山頂上は遠くない。急坂が終わり10時56分、拉樸山山頂(標高826m)につく。樹木に囲まれた山頂は、訪れる登山者が多いのだろう。草はほとんど生えていない。休憩をとる。

大保克山への道標
左に取れば大保克山へ2,3時間で行けるが、今日はガツガツしないでゆっくり過ごすことにする。昨日冷凍庫で凍らした八寶粥を食べる。シャーベットみたいだ。運動で上がった体温を体幹内部から冷やすことになるので、それはそれで良いようだ。夏の台北の低山は、温度がとても高く、熱射病などの可能性もある。今日はそれほどでもないが、気温は30度を超えている。11時44分、山頂から內洞林道に向けて下り始める。

拉樸山からくだる


大刀山を登り始める
尾根上を行く道は、最初は勾配が強い。道は、阿玉溪山からの道に比べるとはるかによい。歩かれている程度の差が現れている。勾配が緩くなり、12時11分內洞林道に降りる。標高約540m、300m弱の下りだ。林道を挟んで対面に大刀山の登山口がある。拉樸山からのくだりは雑木林の中であったが、こちらは杉人造林だ。間もなく緩い坂が終わり、ジグザグに高度を上げる。林相はまた雑木林となる。12時22分、大刀山山頂(標高620m)にある通信施設の建物が現れる。山頂の基石はすぐ左下にある。建物の脇で休憩をとる。時間はまだ早い、烏來へは、1時間半もあれば下れる。そこでここでもゆっくり過ごすことにする。建物の脇で寛ぐ。いつの間にか昼寝をしてしまい、気づくと13時を回っている。

大刀山山頂
岩場を下る
13時半前に下り始める。道はすぐに大きな石が現れ、補助ロープの岩場もある。前回は登りであったが、今回は下りなので感じが違う。同じ道でも登りにとるか下りに取るかで、随分印象が異なるものだ。急坂が終わり、13時45分大刀鋒に着く。前面の樹木がなく、南勢溪と烏來の街が下に望める。その向こうは菜刀崙から向天湖山への山並みだ。さらに下るとすぐに、階段道に出る。階段道は內洞林道へ降りる。すぐに左へ拉卡步道が始まる。こちらを取り下る。道標は発電所方向となっている。

大刀峰から烏來を望む
拉卡步道を下る
大きな板根
整備されてかなり時間がたっているようで、階段板は腐っているところあるが、道脇にずっと太いロープの手すりがついている。急な道が過ぎると、ジグザグに下り神木山莊と道標にある分岐を過ぎる。道は山裾を回り込み、緩い勾配のつづら折れの道になる。道脇に大きな板根の樹木を見る。最後に川沿いに平らな道を進む。14時26分、道案内地図の歩道入口に来る。民家の間を進み、途中共同墓地の中を下る。14時35分、桂山發電廠烏來分廠の脇を通り、烏來國小の下を進む。桶後溪を挟んだ対岸に烏來山が高い。烏來老街を抜けて14時46分、烏來バス停に着いた。

発電所
登山道脇に見た根節藍

活動時間は約6時間、そのうち2時間半は休憩時間だった。歩きは実質4時間足らず、最近の活動としてはゆっくりとした歩きだった。累計の登坂は673m、下降は784mだ。距離は7㎞弱だ。日本で最近使用されている、山登りに必要な体力係数としてのコース定数を計算すると約16となる。この数字は、普通レベル登山を意味し、今回の歩きは筆者のレベル表示ではクラス3だ。コース定数は、日本の鹿屋体育大学の山本教授により昇降や距離、所要時間などをもとに、科学的に研究し引き出されたもので、歩いたルートを客観的数値により表示できるので、今後この記録文に採用していくつもりだ。


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