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下り道でみる那羅山から 1200峰への稜線、手前にキャベツ畑 |
5月18日から5日間の予定で中央山脈の中央尖山の登山の予定があった。ところが梅雨の訪れで大雨が予想され、中央尖溪の沢沿いを行くこのルートは大変になる可能性もあるので、中止した。長期の縦走中に雨に遭うのは避けられないが、沢の水が増水してしまうと帰るに帰れない。そんなことで、別の機会に行くことにしたわけだ。
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南の那羅村出発点から時計回りに回遊 |
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ルートの相対位置 |
本来予定期間のうちに天気回復もあり、梅雨の合間の天気を利用して日帰りの登山を行った。台湾は先月から、オミクロンによる感染例が急増し、知り合いの中にも感染者がでるなど、今までに比べてはるかに身近になっている。台湾はワクチン接種率が高まり重症化する確率は低いというが、それでも感染しないことに越したことはない。そんなことで、公共共通機関を避け、少数人数で車で往復した。場所は、
昨年訪れた李棟山や大混山の近くである。さらに奥の山々に行くときに通り過ぎる竹60号県道上にある部落那羅からその背後の那羅山から稜線を煤源山へと縦走するものである。車一台なので、出発点へ戻る回遊型にする必要がある。今回のルートは、山道を登り舗装路を下るというものである。
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煤源山にて |
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高速道路から見る大霸尖山とその前衛の山々 |
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那羅部落から見る魯壁山 |
台北を6時半に出発、一路第三高速で関西インターチェンジへと向かう。朝早いので下り線は空いている。7時10分を回り大溪を過ぎるあたりで左に桃園の山並みが見える。尖った
那結山や大柄の
南插天山などが並んでいる。数日続いた雨で、空気中の塵が洗い流され透明度が高い。龍潭高原インターチェンジ付近にくると、正面に前衛の山の奥に
大霸尖の独特の山頂が現れる。その左右には小霸尖山や東霸尖山へとギザギザのスカイラインが続く。前衛の山は、以前歩いている
島田山,
錦屏山,霞山などの山のようだ。
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犬が吠える烏米の家の前を進む
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7時20分、関西インターチェンジで降りる。関西の街をぬけ台3線から內灣へと向かう。今まで何度も通っているので、おなじみだ。尖石鄉に入り、油羅溪を渡って竹60号県道を進む。狭い那羅溪峡谷を過ぎると、前方に山並みが連なる。青空に尖って目立つピークは
魯壁山だ。まだオープン間もないファミリーマートを見てすぐに、那羅部落に到着、部落内に入り8時、那羅76號民家脇に車を駐車する。台北から1時間半であった。土地の人は親切で、車を停めても構わないという。この場の標高は約610mだ。
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マーカーの後ろから登山道を登る |
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桂竹林の急坂を登る |
8時10分、支度を済ませ歩き始める。舗装された道を登りはじめ、烏米の家の入口前を進み、8時17分登山口(標高660m)に着く。1157mの那羅山まで約500mの標高差だ。登山口から桂竹林の中をいきなり急坂が続く。道筋ははっきりしている。等高線が立て込むこの坂は、ほとんど平らな場所がない。途中心もち少し緩やかなセクションがあるのみだ。一部切れところがあるが、約20分ほど竹林の急坂をひたすら登り、雑木林に入る。ロープが架かる急坂を登り、8時51分やっと現れた平らなスポットで休憩をとる。
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ロープの架かる岩場 |
少し緩やかになったかと思うと、またすぐに急登である。振り返ると梢の向こうの山がだいぶ低くなっている。9時18分、ロープの架かる岩場が現れる。ちょうど上から二人パーティが降りてきてすれ違う。さらに岩場を過ぎて9時35分、那羅山山頂に到着する。拉洛山とも称される三等三角点のある山頂は狭く、周囲は木々で展望はない。山名は、ともに原住民言語の山名を中国語にあてたものだ。約1時間半のきつい登りだった。
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那羅山山頂 |
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山頂にて |
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稜線には岩が目立つ |
9時53分、標高1300mの煤源山への稜線を歩き始める。標高差はそれ程大きくない。途中の上下も一部あるが、大きいものでも100mほどの落差だ。先ほどの那羅山の登りに比べれば楽だ。尾根上には大きな岩が目立つ。道筋もはっきりしている。桃園鐮刀隊というボランティアが前年に道整備をしたという。黄色い根節蘭の花が群生して咲いている。道脇に大きな穴がぽっかり開いている。
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根節蘭 |
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道脇の大穴 |
最低鞍部を過ぎ、道は登り始める。クスノキの大木がある。一世紀前の樟脳生産が盛んだっ頃、このようなクスノキ大木がたくさん原生していたのだと思う。杉の人造林に入り間もなく10時18分、1200峰につく。杉に囲まれていて、ここも展望はない。道が東側に分岐して下る。そのまま下り、密生した竹林に入る。こうした竹林は、踏み跡やマーカーなどがないと迷いやすい。尾根は幅が広がり、道は尾根の西側を進む。陽が当たらないので、薄暗い感じだ。そのうち道は登りはじめ、10時53分少し平らになったところで休みを取る。
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クスノキ大木 |
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杉人造林を行く |
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1200峰 |
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竹林を抜ける |
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急坂を登る |
急坂を登り、11時15分1200峰と記されている道しるべを見る。特に際立ったものもない、林間の平らなスポットだ。しばらく緩やかな道を行き、煤源山への最後の登りにとりかかる。きつくなった坂を登ること約数分、左へ比麟山への道を分岐、その先すぐに右へ山腹巻き道を分ける。坂が緩くなり11時40分、樹木に囲まれそこそこ広い山頂が現れる。三角点の脇に焚火あともある。食事休憩をとる。
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比麟山への分岐道しるべ |
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煤源山山頂 |
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起伏の少ない尾根を進む |
12時過ぎ、凌空廊道方向から登山者がやってくる。先ほど那羅山ですれ違った二人が、車で凌空廊道へ向かい、そこからやってきたという。12時12分、山を下り始める。すぐに右から巻き道を合わせ、稜線を追っていく。それほど上下はない。思ったよりも距離がある。12時30分、ひょっこり幅のある土道にでる。ここは樹木の苗床のようで、日当たりもよい。前面に展望が広がる。残念なことに、対面の內鳥嘴山や李棟山は、雲をかぶっている。
內鳥嘴山は、昨年二度訪れたが、急峻な斜面に囲まれ実に勇壮だ。広い道はすぐに終わり、また森の中の道を行く。坂が終わり、竹林を抜けて間もなく、12時49分凌空廊道に着く。
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雲に隠れる內鳥嘴山から李棟山への尾根 |
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凌空廊道に着く |
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大混山登山口、背後に雲に隠れた山頂 |
凌空廊道は峠でもある。あずま屋周りには数名の遊楽客がいる。車が数台停めてある。あずま屋で10数分休憩をとり、那羅へ約6㎞の長い舗装路歩きを始める。下ること3,4分で左に大混山への登山口を見る。昨年大混山から下ってきた。普段は、舗装路歩きはつまらなく感じるが、右に先ほど歩いたばかりの那羅山-煤源山の山並みが見えると、そうでもない。変わりゆく対面の山並みや、下りにつれて現れるキャベツ畑や民家など、それはそれで変化があって面白い。平日で交通量も少ない。
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谷の対面に那羅山、谷間に那羅部落 |
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下るにつれ周囲の山が高くなる |
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出発点に戻った |
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地元の子供たち |
休憩を含んで6時間20分である。登坂累計834m、11㎞で、コース定数は24だ。那羅山の登りはきついが、それ以外はそこそこで楽しいハイキングである。公共交通手段ではアクセスが大変だが、お勧めのルートである。本来タイヤル族のこの地は、今でも原住民人口が多いようだ。
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