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2022-11-21

2022年11月12日 台中 百川山 小粒でピリリと辛い山峰

百川山山頂
つい最近苗栗の千両山を訪れた。今回はその千両山と大安溪を挟んで対岸にある百川山を登った。この山名は、どのような由来なのか興味がある。百川は非常に珍しい日本人の苗字でもある。新竹には鬼澤山というこれまた珍しい日本人の苗字を冠した山がある。この地の理蕃政策に関係する鬼澤を姓とする日本人がその名前の由来のようだ。百川も、同じく理蕃政策と関係があった日本人の苗字に由来するのではと、考えてしまう。それとも単純に川が多い意味だろうか。

巨人之手公園から百川山山頂を往復
百川山は、大安溪の南にある雪山山脈西稜末端の稜線から大安溪へ下る枝尾根の一つに頭を上げる標高1597mの山峰である。そしてその稜線を行くと、さらに200mほど高い百川山東峰をこえ、最終的には小雪山へとつながっていく。足元は、大安溪の支流雪山坑溪が流れる。位置的にも山容的にも、あまり注意をひく山ではない。本来は不人気山だ。ところが、最近ネット上では、この山の記録が多くなっている。一つには桃園鐮刀隊などが道の手入れをして登りやすくなったこともある。前回の千両山に続き、大安溪流域の山を体系的に理解するためにも、この山行を決めた。

百川山は大安溪の南岸に位置する
標高差は、百川山東峰まで登っても約1000m、高度だけ見ると大したことがないようだが、それが落とし穴だ。百川山主峰まで水平距離約1.5㎞足らずで高度800m上げる、つまりはとても急坂で途切れない。計算すると約27,8度の角度である。それに加えて足場が悪い。石が転がる。そんなことで、メンバーは苦労し、時間を要した。そのため、東峰は諦めて百川山だけで往復で終えた。

下山後巨人之手公園にて
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狭い雪山坑產到を進む
この週末は、台湾北部も含めて天気が良い。朝6時に集合し、都合9名は二台の車に便乗し登山口へ出発する。7時45分に三義インターチェンジを降り、近くのコンビニに立ち寄る。前回千両山と同じに140号線から中47県道に入り、雪山坑溪を渡ったところで巨人之手の道標をみて、右に曲がって雪山坑産業道路を沢沿いに進む。

雪山坑林道を少し行った右に沢際への入口
部分的に車幅いっぱいの幅員があるが、舗装された道が続く。8時52分、舗装がきれてかなり凹凸のある道を注意深く少し進み、巨人之手公園に着く。脇にすでに2,3台車が駐車してあり、我々も車を停める。

壊れた道を進む
ここはすっかり秋の青空だ。気温は高めだが、陽光は夏のキツさがない。支度をして9時に出発する。ここからは雪山坑林道である。前方に高い稜線を見る。数百メートル進み、左に大きな屋根の廃屋があり、そのすぐ右に登山道が口を開く。道を少し行くと、荒れた大石が転がる涸沢を越え、雪山坑溪方向へゆっくり下る。草が生え河原のような場所を進む。ケルンやペンキの矢印があるので、わかりやすい。

ペンキやケルンの道導
河原に降りて水際を進む
ルートファイディングは難しくない


ペンキ書きの登山口
9時27分、道はいよいよ沢際に降り、石をジャンプしながらの河原歩きになる。台湾中部は、北部に比べて雨は少ない。沢の水量もそこそこで、多くない。右岸を進んでいく。少しいくと、河床が赤いところがある。鉄分を含んだ場所なのか、ほんの少しだけでまた普通の砂地になる。ケルンやペンキの矢印もあるので、ルートファインディングは難しくない。石を飛ぶ際にバランスさえ崩さなければ、歩きにくいが、ほかの問題はない。河原を行くこと約20分、左から支流が流れ込む。この支流わきへ渡り、支流の左岸に登山口がある。ペンキで登山口と記してある。ここまで約1㎞、約50分を要した。登る前に一休みする。

森の中に入る


前を行くパーティが急坂を登る
10時、いよいよ山道に差し掛かる。初めは石がゴロゴロする、背の高い草地の間を進み、数分で森の中の道になる。道筋ははっきりしている。数分の緩い道は、勾配がきつくなる。急坂を登ること数分、前方に別パーティがロープのかかる急な坂に取りついている。我々も登っていく。勾配は途切れることなくキツイ。

乾いているが滑りすい急坂
ひたすら急坂を登る
足元は乾いているが砂利が多く滑りやすい。落石にも注意が必要だ。別パーティを追い越して進み、10時半ごろ下方のメンバーひとりがちょっと調子が悪いという。少し腹に食べ物を入れてしばらくすると、回復したので引き続き登る。急坂にはほぼ全部にロープがかけてあるので、助かる。少し休憩を取り、さらに10分ほど登ると、今度は別のメンバーひとりが苦労している。少し様子をみて、パーティの隊列順位を入れ替え登る。


更に登る
少し緩やかになる
11時40分、少し勾配がゆるなったところに、1285m展望休憩点と桃園鐮刀登山隊の表示を見る。別パーティーが休憩中で、我々は更に少し進んで休憩する。休憩後少し登っていくと、左側が大崩落で落ちている崖脇の岩場がある。尾根上をほぼ一直線に登るセクションを三か所通っていく。草の間の道で、登っていくと背後には景色が望める。雪山坑溪の谷の奥には、馬那邦山から大克山への稜線がある。だいぶ高度が上がってきた。12時24分、稜線が緩やかになった場所で昼食休憩をとる。

対岸の百志興保山の稜線が高い


雪山坑溪とその奥の大克山と馬那邦山を背後に直線の急坂を登る
クスノキの稜線へ上がる
百川山山頂までは、高低差約100mでそれほど遠くない。35分の休憩後、また少し急な坂を登ると、風が吹き抜ける緩やかな稜線を行き、最後の坂を登りきる。13時20分、山頂に着く。樹木に覆われた長細い山頂には別パーティが休んでいる。

山頂へ最後のひと登り
百川山山頂のメンバー
往路を下る
本来の計画では、さらに稜線を百川山東峰(標高1817m)まで行くつもりであった。メンバーの疲労度や時間を勘案して、さらに少なくとも1時間半かかる東峰往復は諦め、13時35分下山を開始する。急な坂道は、下りは比較的速いことが多いが、足元が良くなく落石が起き安など、かなり神経を使いゆっくりと下っていく。

大克山と馬那邦山を遠望、右は雪山坑山
草の間の急坂を下る
約1時間弱下ってきたところで、1285休憩点で休みをとる。ちょうど重装備で登ってきた二人の若い女性パーティが休んでいる。今日は百川山東峰近くで野営し、明日は大雪山公園方向へ縦走するという。あまり歩かれていいないルートで、かなり大変だ。若い登山者が経験を積んでこうしたルートにチャレンジしている。

ロープを頼りに急坂を下る

急坂も残りわずか
休憩後さらに、急坂を下っていく。15時40、やっと森から抜け登山口に着き、最後の休憩をとる。枝沢の奥には、百志興保山の稜線が高く、霧がかかり始めている。15分の休憩後、雪山坑溪の河原を進む。振り返ると沢の奥に小雪山の山頂が高い。16時21分、沢から離れて草の間を行く。往路では気づかなったが、芙蓉の母、野イチゴなどがある。そして遠くには、観音像が立っている。16時50分、車を駐車してある巨人之手公園に帰り着いた。

河原の登山口に降りてほっと一息
水際を進む
霧が百川山(左)に架かり始めた
距離は6㎞ほど、高度差約750m、休憩込みで7時間45分を要した。コース定数24となる。この数だけ見ると大したことがないようだが、実際道の状態を考えると、そうたやすい山ではない。小粒でピリリと辛い、というところだ。

帰路上、卓蘭の左岸人文概念餐廳という、ちょっといかめしそうな名前の客家料理の店で食事をした。名前とは裏腹に、ちょっとパリの左岸をイメージした、そしておいしい料理の店であった。みんな満足し、20時45分に台北の集合点に帰り着いた。


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