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広く平らな金柑樹山山頂、三角点石が見える |
一泊二日の今回山行二日目は、金柑樹山である。
昨日の鳳凰山と同じ稜線の南に位置する。ともに阿里山山脈の北部の山である。
小百岳は2003年に政府体育委員会により初回選定された後、2006年と2017年に改訂され、初期のリストから変わっている。昔登ったと思った小百岳は、今では選定リストにない、ということもある。誰でも登れる山、という条件があるので、登山道に問題があったりすると変更は免れない。当座は2006年改定で選定された山である。本来あった
水社大山の代わりとして選ばれたのかもしれない。水社大山は日月潭の脇に聳える立派な山だが、ちょっと体力が必要だ。
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忘憂森林 |
標高は2091mで、鳳凰山よりも高い。しかし山容は、対照的にたおやかである。広葉樹林の中の広い山頂は、台湾中級山には多くあるが、心休まる感じがする。今回は、自分たちの車でのアクセスなので、最も楽な留龍頭(流籠頭)から往復した。また、帰路には921地震で流れが堰き止められ、もともとあった森の木々が立ち枯れた
忘憂森林を経由して下山した。阿里山山脈には同じく沢が堰き止められてできた
水樣森林がある。こちらは山登りが必要だが、忘憂森林はすぐ近くまで車でアクセスできるので、観光地然としている。午後早い時間に終了し、天気予報とは裏腹に好天がもったので、金柑樹山下山後近くの樟空倫山など、同じく溪頭近くの山を訪れ、その後帰京した。
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@金柑樹山 |
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金柑樹山(右下)と樟空倫山の軌跡 |
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朝の鳳凰山連峰 |
昨日鹿谷の民宿に一泊した。今朝は4時起床、5時過ぎに出発だ。天気予報は、降雨確率昼から80~90%となっている。そこで、できるだけ早く登って下山するため、早朝出発である。鹿谷のコンビニで朝食をとり、昨日の151号県道を進む。溪頭森林遊樂區入口を過ぎ、杉林溪へのつづら折れ道を登っていく。
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相思台 |
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相思台からの展望 |
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留龍頭登山口 |
高度が上がり、道脇の相思台からは昨日歩いた鳳凰山へと延びる稜線が見える。その向こうに頭を見せる高峰は、
西巒大山と金子山か。6時に留龍頭登山口に到着した。留龍頭は、林業が盛んな時代、ここに木材運搬に使われたウィンチを置いた流籠頭があったので、この名づけである。
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杉林の急坂 |
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茶畑脇を登る |
道脇に車を駐車し、6時15分歩き始める。登ってすぐ、廃棄作業小屋を過ぎ、杉林中の急登を行く。そのうち、右に茶畑が広がる。かなり急な斜面に開墾された茶畑である。30分ほど登ってくると、茶畑のすぐわきにある伍佰銀という名札のある場所にでる。対面の茶畑では機械の音がするので目を凝らすと、数人が作業をしている。茶葉の収穫作業なのか。そういえば、留龍頭への途中で、茶摘み作業人を満載したトラックを追い越した。
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伍佰銀から見る茶畑、向こうで数人作業中 |
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この分岐を左へ、帰りは右側から帰ってきた |
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菇菇大(?)道 |
さらに2、3分登ると山道は、舗装路にひょっこり出る。これを下って分岐を左に取る。左は嶺頭山方向、右は忘憂森林である。少しいって山道に入る。またすこしコンクリ舗装の道を登ると、菇菇大道という名札の着いた山道が始まる。この周辺は、数本の道が交錯している。登りきると、谷間へとまた下る。緑のカーペットの周囲は杉林、とても良い感じだ。7時7分、分岐に来る。反対側から、台湾滞在20数年というオーストラリア人と台湾人二人がやってきて、分岐を同じ方向に曲がり進む。
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森の谷間を行く |
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分岐を左に、巨木切り株が斜面に |
すぐに切株だけが残る巨木脇の急坂を登る。一度下り、道標に従い登り返す。7時27時、休憩用ベンチが設けられた広場に着く。嶺頭山、標高2025mの名札がある。名札のすぐ下の寒暖計は14度を示している。そこから少し入ったところが、基石のある場所だ。先に小休憩し、基石へと往復する。
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切り株の脇を登る |
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嶺頭山休憩所 |
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寒暖計は14度 |
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基石のある山頂 |
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先の森の中を登り返す |
7時47分、金柑樹山へ向けて歩き始める。まずは、鳳凰山からやってくる主稜線に登り、そこから金柑樹山へと追っていく。道は一旦下り、竹林や杉林を抜けて、主稜線から伸びてくる枝尾根に登り返す。左に曲がり巨木平台と名付けれた、下部か空洞になっている枯れ巨木を過ぎる。緩やかな尾根道を進み、8時14分左から登ってくる主稜線との分岐に着く。少し進んで、右から谷を登ってくる分岐に嶺頭山東峰(標高1990m)と名札のある基石を見る。
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巨木広場 |
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主稜線分岐 |
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嶺頭山東峰分岐 |
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竹林の稜線道 |
昨日の鳳凰山の両側がかなり急峻な尾根とは異なり、こちらは緩やかな幅広尾根、尾根上の起伏も大きくない。一部山腹を巻くところもある。竹林や雑木林を抜けて進む道は、実に快適だ。右に忘憂森林方向へ下る道の分岐を過ぎ間もなく、8時38分金柑樹山西北峰(標高1990m)の名札がある基石の道端で休憩をとる。
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緩やかな道を行く |
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下山時に曲がった分岐部 |
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金柑樹山西北峰基石 |
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山頂への緩やかな上り |
金柑樹山へは残り1キロ標高差100m足らずだ。緩やかな上りを行き、9時10分山頂(標高2091m)についた。山頂のちょっと行ったとろのベンチが設けられ、藍腹鷴が一羽いる。すっかり餌付けされてしまったのか、人を恐れない。誰かが与えた餌をしきりに啄んでいる。
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筆者在山頂 |
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広い山頂でしばし休憩 |
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切り株の残る稜線 |
9時40分、往路を下り始める。左に道筋がちょっとはっきりしない杉林溪へ下る道を分け、金柑樹山西北峰を過ぎて左に折れて急な坂を下る。下山路は往路とちょっと違う道を経由していくほうが面白い。急坂を下りきると、林道にでる。山腹をトラバースしていく林道を行き、10時20分杉林溪へと下る道と合流する。今年からこの道の出口に囲いを設けて厳重に管理する、という公示がある。入場料管理のため、世知辛なくなったものだ。
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分岐から急坂を下る。 |
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竹林を下りきる |
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林道を進む |
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杉林溪の告示がある分岐 |
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谷沿いに登る |
分岐から谷沿いに登ること数分、竹製のベンチ休憩スポットに着く。この道をそのまま進めば、朝に通過した嶺頭山東峰の分岐だ。休憩していると、小学生連れの家族パーティが下ってきた。年長者は、昨日土地公のところで、出会った地元の人であった。
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竹製ベンチの休憩所 |
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急坂を登る |
10分ほどの休憩後、背後の急坂を登り、さらに上がって分岐を過ぎ、尾根上でる。この尾根はそこそこ狭い。11時、右へ下る道を降り、谷間の道を少し行くと、水が現れすぐに忘憂森林が姿を現した。ここは、服装・装備も違う遊楽客も多い、観光地である。しばらく休憩をとる。
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ここで下に降りる |
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忘憂森林に着いた |
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水際を行く |
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森の端で |
大部分の人が去った後、我々も水際を写真を取りながら行く。今日は晴れているので、明るい忘憂森林で、憂いが晴れるような風景である。山道には、金属製桟道なども取り付けられ、少し行くと茶園の脇にでた。そのすぐ下には、シャトル用の車が待っている。遊楽客はこれでやってくる。
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忘憂森林入口 |
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朝の分岐から登り返す |
車脇の分岐を右にとり、11時58分朝に曲がった分岐へ戻る。坂を登り返し、最上部から始まる山道を下る。12時半過ぎ、留龍頭登山口に下りついた。天気予報とは裏腹に、まったく雨も降らなかった。霧は出て来たが、大きく崩れる様子はない。時間も早く、天気も持ちそうなので、樟空倫山とその付近を訪ねることにする。鳳凰山、金柑樹山と合わせて溪頭三妹と称するそうだ。樟空倫山のある一帯は、台湾では珍しい銀杏林のある観光茶園である。
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留龍頭登山口 |
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展望台 |
投151県道をしばらく下り、左に産業道路をとる。13時6分、茶葉処理場の前で車を停める。この地は、その北側に遮るものがない山並みである。遠くには濁水溪の谷間が望める場所だ。先に、銀杏林脇の展望台に行き、その後樟空倫山へと登る。茶畑の間から雑木林に入り、登ることわずか10分、13時24分に通信用鉄塔の建つ樟空倫山山頂(標高1520m)に着いた。周囲は林で、一部を除いて景観はない。
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天台からのパノラマ、すぐ下は銀杏林 |
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茶畑脇を登る、背後は貓冬望山 |
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樟空倫山山頂 |
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貓冬望山へ登る |
往路を下り、今度は隣の貓冬望山を登る。こちらもほんの数分で、展望台がある山頂(標高1520m)についた。周囲はすべて茶畑で、こちらは遊歩道もあり、展望がよい。天気は下り坂なのか、雲が厚くなってきている感じだが、まだ遠くまで見渡せる。14時15分、遊歩道を下り車に戻った。
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山頂の展望台 |
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山頂からのパノラマ、左端が樟空倫山 |
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山頂展望台にて |
帰路は、同じく鹿谷を過ぎ第三高速、第一高速、そして第三高速と繋いで帰った。往路と違い、かなりの混在に巻き込まれ、4時間半ほどを要した。皮肉なことに、昼間は全く雨に遭わなかったが、台北に着くと大雨に降られた。金柑樹山は距離7.8㎞、所要時間6時間半、上昇約500m、コース定数19である。後半の樟空倫山は、散歩というところだ。いずれにしても今回は、ゆっくりとした楽しい山行であった。
ちなみに筆者が今までに訪れた小百岳は、以前はリスト上であったが外れてしまったピークなどがあり、数えてみる最新リストでは78座となる。台湾最南部や東部、離島の山にまだ未登が多い。日本の百名山と同じで、各地に散らばっているため、やはり遠いのである。
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