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2024-05-18

2024年5月12日 小百岳金柑樹山 / 忘憂森林 / 樟空倫山

広く平らな金柑樹山山頂、三角点石が見える
一泊二日の今回山行二日目は、金柑樹山である。昨日の鳳凰山と同じ稜線の南に位置する。ともに阿里山山脈の北部の山である。小百岳は2003年に政府体育委員会により初回選定された後、2006年と2017年に改訂され、初期のリストから変わっている。昔登ったと思った小百岳は、今では選定リストにない、ということもある。誰でも登れる山、という条件があるので、登山道に問題があったりすると変更は免れない。当座は2006年改定で選定された山である。本来あった水社大山の代わりとして選ばれたのかもしれない。水社大山は日月潭の脇に聳える立派な山だが、ちょっと体力が必要だ。

忘憂森林
標高は2091mで、鳳凰山よりも高い。しかし山容は、対照的にたおやかである。広葉樹林の中の広い山頂は、台湾中級山には多くあるが、心休まる感じがする。今回は、自分たちの車でのアクセスなので、最も楽な留龍頭(流籠頭)から往復した。また、帰路には921地震で流れが堰き止められ、もともとあった森の木々が立ち枯れた忘憂森林を経由して下山した。阿里山山脈には同じく沢が堰き止められてできた水樣森林がある。こちらは山登りが必要だが、忘憂森林はすぐ近くまで車でアクセスできるので、観光地然としている。午後早い時間に終了し、天気予報とは裏腹に好天がもったので、金柑樹山下山後近くの樟空倫山など、同じく溪頭近くの山を訪れ、その後帰京した。

@金柑樹山

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金柑樹山(右下)と樟空倫山の軌跡
朝の鳳凰山連峰
昨日鹿谷の民宿に一泊した。今朝は4時起床、5時過ぎに出発だ。天気予報は、降雨確率昼から80~90%となっている。そこで、できるだけ早く登って下山するため、早朝出発である。鹿谷のコンビニで朝食をとり、昨日の151号県道を進む。溪頭森林遊樂區入口を過ぎ、杉林溪へのつづら折れ道を登っていく。

相思台
相思台からの展望
留龍頭登山口
高度が上がり、道脇の相思台からは昨日歩いた鳳凰山へと延びる稜線が見える。その向こうに頭を見せる高峰は、西巒大山と金子山か。6時に留龍頭登山口に到着した。留龍頭は、林業が盛んな時代、ここに木材運搬に使われたウィンチを置いた流籠頭があったので、この名づけである。

杉林の急坂
茶畑脇を登る
道脇に車を駐車し、6時15分歩き始める。登ってすぐ、廃棄作業小屋を過ぎ、杉林中の急登を行く。そのうち、右に茶畑が広がる。かなり急な斜面に開墾された茶畑である。30分ほど登ってくると、茶畑のすぐわきにある伍佰銀という名札のある場所にでる。対面の茶畑では機械の音がするので目を凝らすと、数人が作業をしている。茶葉の収穫作業なのか。そういえば、留龍頭への途中で、茶摘み作業人を満載したトラックを追い越した。

伍佰銀から見る茶畑、向こうで数人作業中
この分岐を左へ、帰りは右側から帰ってきた
菇菇大(?)道
さらに2、3分登ると山道は、舗装路にひょっこり出る。これを下って分岐を左に取る。左は嶺頭山方向、右は忘憂森林である。少しいって山道に入る。またすこしコンクリ舗装の道を登ると、菇菇大道という名札の着いた山道が始まる。この周辺は、数本の道が交錯している。登りきると、谷間へとまた下る。緑のカーペットの周囲は杉林、とても良い感じだ。7時7分、分岐に来る。反対側から、台湾滞在20数年というオーストラリア人と台湾人二人がやってきて、分岐を同じ方向に曲がり進む。

森の谷間を行く
分岐を左に、巨木切り株が斜面に
すぐに切株だけが残る巨木脇の急坂を登る。一度下り、道標に従い登り返す。7時27時、休憩用ベンチが設けられた広場に着く。嶺頭山、標高2025mの名札がある。名札のすぐ下の寒暖計は14度を示している。そこから少し入ったところが、基石のある場所だ。先に小休憩し、基石へと往復する。

切り株の脇を登る
嶺頭山休憩所
寒暖計は14度

基石のある山頂

先の森の中を登り返す
7時47分、金柑樹山へ向けて歩き始める。まずは、鳳凰山からやってくる主稜線に登り、そこから金柑樹山へと追っていく。道は一旦下り、竹林や杉林を抜けて、主稜線から伸びてくる枝尾根に登り返す。左に曲がり巨木平台と名付けれた、下部か空洞になっている枯れ巨木を過ぎる。緩やかな尾根道を進み、8時14分左から登ってくる主稜線との分岐に着く。少し進んで、右から谷を登ってくる分岐に嶺頭山東峰(標高1990m)と名札のある基石を見る。

巨木広場
主稜線分岐
嶺頭山東峰分岐
竹林の稜線道
昨日の鳳凰山の両側がかなり急峻な尾根とは異なり、こちらは緩やかな幅広尾根、尾根上の起伏も大きくない。一部山腹を巻くところもある。竹林や雑木林を抜けて進む道は、実に快適だ。右に忘憂森林方向へ下る道の分岐を過ぎ間もなく、8時38分金柑樹山西北峰(標高1990m)の名札がある基石の道端で休憩をとる。

緩やかな道を行く
下山時に曲がった分岐部
金柑樹山西北峰基石
山頂への緩やかな上り
金柑樹山へは残り1キロ標高差100m足らずだ。緩やかな上りを行き、9時10分山頂(標高2091m)についた。山頂のちょっと行ったとろのベンチが設けられ、藍腹鷴が一羽いる。すっかり餌付けされてしまったのか、人を恐れない。誰かが与えた餌をしきりに啄んでいる。

筆者在山頂

広い山頂でしばし休憩
切り株の残る稜線
9時40分、往路を下り始める。左に道筋がちょっとはっきりしない杉林溪へ下る道を分け、金柑樹山西北峰を過ぎて左に折れて急な坂を下る。下山路は往路とちょっと違う道を経由していくほうが面白い。急坂を下りきると、林道にでる。山腹をトラバースしていく林道を行き、10時20分杉林溪へと下る道と合流する。今年からこの道の出口に囲いを設けて厳重に管理する、という公示がある。入場料管理のため、世知辛なくなったものだ。

分岐から急坂を下る。

竹林を下りきる
林道を進む
杉林溪の告示がある分岐
谷沿いに登る
分岐から谷沿いに登ること数分、竹製のベンチ休憩スポットに着く。この道をそのまま進めば、朝に通過した嶺頭山東峰の分岐だ。休憩していると、小学生連れの家族パーティが下ってきた。年長者は、昨日土地公のところで、出会った地元の人であった。

竹製ベンチの休憩所
急坂を登る

10分ほどの休憩後、背後の急坂を登り、さらに上がって分岐を過ぎ、尾根上でる。この尾根はそこそこ狭い。11時、右へ下る道を降り、谷間の道を少し行くと、水が現れすぐに忘憂森林が姿を現した。ここは、服装・装備も違う遊楽客も多い、観光地である。しばらく休憩をとる。

ここで下に降りる
忘憂森林に着いた
水際を行く
森の端で
大部分の人が去った後、我々も水際を写真を取りながら行く。今日は晴れているので、明るい忘憂森林で、憂いが晴れるような風景である。山道には、金属製桟道なども取り付けられ、少し行くと茶園の脇にでた。そのすぐ下には、シャトル用の車が待っている。遊楽客はこれでやってくる。

忘憂森林入口
朝の分岐から登り返す
車脇の分岐を右にとり、11時58分朝に曲がった分岐へ戻る。坂を登り返し、最上部から始まる山道を下る。12時半過ぎ、留龍頭登山口に下りついた。天気予報とは裏腹に、まったく雨も降らなかった。霧は出て来たが、大きく崩れる様子はない。時間も早く、天気も持ちそうなので、樟空倫山とその付近を訪ねることにする。鳳凰山、金柑樹山と合わせて溪頭三妹と称するそうだ。樟空倫山のある一帯は、台湾では珍しい銀杏林のある観光茶園である。

留龍頭登山口
展望台
投151県道をしばらく下り、左に産業道路をとる。13時6分、茶葉処理場の前で車を停める。この地は、その北側に遮るものがない山並みである。遠くには濁水溪の谷間が望める場所だ。先に、銀杏林脇の展望台に行き、その後樟空倫山へと登る。茶畑の間から雑木林に入り、登ることわずか10分、13時24分に通信用鉄塔の建つ樟空倫山山頂(標高1520m)に着いた。周囲は林で、一部を除いて景観はない。

天台からのパノラマ、すぐ下は銀杏林
茶畑脇を登る、背後は貓冬望山
樟空倫山山頂
貓冬望山へ登る
往路を下り、今度は隣の貓冬望山を登る。こちらもほんの数分で、展望台がある山頂(標高1520m)についた。周囲はすべて茶畑で、こちらは遊歩道もあり、展望がよい。天気は下り坂なのか、雲が厚くなってきている感じだが、まだ遠くまで見渡せる。14時15分、遊歩道を下り車に戻った。

山頂の展望台
山頂からのパノラマ、左端が樟空倫山
山頂展望台にて
帰路は、同じく鹿谷を過ぎ第三高速、第一高速、そして第三高速と繋いで帰った。往路と違い、かなりの混在に巻き込まれ、4時間半ほどを要した。皮肉なことに、昼間は全く雨に遭わなかったが、台北に着くと大雨に降られた。金柑樹山は距離7.8㎞、所要時間6時間半、上昇約500m、コース定数19である。後半の樟空倫山は、散歩というところだ。いずれにしても今回は、ゆっくりとした楽しい山行であった。


ちなみに筆者が今までに訪れた小百岳は、以前はリスト上であったが外れてしまったピークなどがあり、数えてみる最新リストでは78座となる。台湾最南部や東部、離島の山にまだ未登が多い。日本の百名山と同じで、各地に散らばっているため、やはり遠いのである。


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