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2012-05-30

2012年5月29日 觀音山 - 気楽な山登り

淡水から望む観音山と麓の八里渡船頭、最左のピークが硬漢嶺
觀音山は、台北市街から近くて登りやすい山だ。標高616mの硬漢嶺を最高峰とする觀音山は、占山までの縦走路が一番長く健脚向けであるが、それ以外はよく整備されている道で、牛寮埔登山道を八里渡船頭から登るのを除いて、登りもそれほどきつくない。また、硬漢嶺からの展望は、独立している山塊だけにとても広い眺めがあり、老若男女さまざまな登山客が訪れる人気の山だ。

左下のビジターセンターから淡水河渡船まで歩く
今回で觀音山登山は三度目になる。昨年6月のルートと、登りが楓櫃斗湖登山道を登った以外は、同じだ。前回の七星山で同行したSさんは、その後かなりの筋肉痛がしばらく続いたようだが、山登りの面白さを体験できたようで、リクエストもあり一緒にいくことになった。普段は単独での登山が多いが、ときどき仲間との登山もよいものだ。とくに、気楽に登れる山では、話しながら登るのは愉快である。

楓櫃斗湖步道、階段数が書いてある
前日に大雨を降らした前線が台湾を通り過ぎ、朝起きてみると曇っているが天気は持ちそうだ。そこで7時に出発してみたところ、MRT駅へ向かう途中小雨が降りだした。MRT蘆洲線に乗り蘆洲へ向かう。蘆洲に着くと雨は降っていない。觀音山や大屯山系は頭に雲をかぶっているが、何とか行けそうだ。Sさんと合流し、8時18分に橘20番バスにのる。バスは去年とは異なり、中型バスでなおかつ終点が凌雲寺ではなく、約20分の乗車で観音山ビジターセンターへ着く。一部の時間帯は凌雲寺が終点のようだ。ビジターセンターからは、林口台地や泰山の方向が晴れているのが見える。雲が切れて青空も覗き始めた。

花を抱えた観音像
ビジターセンターから凌雲禅寺方向へ、新しい林梢歩道が続いているのが見える。この歩道は空中を橋で行くような道の部分もあり、凌雲寺バス停からはこれを歩いてビジターセンターにやってこれる。身支度をして出発する。センターバス停の脇から近道で華富山路へ上がり、すぐ楓櫃斗湖登山道口がある。朝早くから登ったのだろう、この道を降りてくる登山客とすれ違う。谷を挟んで牛港稜山と、その右奥に台北港のガントリクレーンが見える。人家の脇を曲り、階段の登山道が始まる。階段にはペンキで数字が書いてある。1300から始まる。雨が降ったので、登山道全体が濡れている。去年工事のあとのこの道は、歩きやすい。脇には等間隔で電灯も作られている。夜間や早朝の登山でも安心だ。

道脇の花畑
華富山路の登山口から20分で、稜線上の硬漢嶺歩道と合流する。ここからは、硬漢嶺が見える。霧がまだまつわり付いている。ゆるい稜線上の登りを行く。石段には数字が書いてある。先ほどの楓櫃斗湖登山道の階段数字と通しになっているようだ。右の花畑には紫陽花と水芭蕉が植わっている。左に観音像を見る。観音像には花が添えてある。後で歩く牛寮埔登山道への分岐を過ぎ、登りはじめて50分、9時半に硬漢嶺についた。Sさんは登りが予期していたより楽だったようなので、元気いっぱいだ。

硬漢嶺は霧もはれて、全方向の展望ができる。淡水や台北市街はよく見える。大屯山系は、まだ頭に雲をかぶっている。七星山あたりも同様に雲の中だ。太陽も時々顔を出す。気温も高くなく快適だ。身軽にランニングでやって来た人もいる。各人各様、思い思いの硬漢嶺である。犬が一匹、硬漢嶺の石碑の足元で悠然と昼寝をしている。頂上からすぐ下のあずま屋に下がり、食事休憩をする。

硬漢嶺頂上、犬が寝ている
頂上からのパノラマ(クリックでオリジナルサイズ)
台北方向を見る、手前の三角ピラミッドは占山
八里米倉方面の麓をみる、これから下る果樹園も見える
出発しようとしたとき、頂上の方から日本語の祈祷が聞こえている。こんな場所で不思議だ、と思い頂上へ行くと、数名が一緒にお祈りをしている。注意して聞いてみると、「大御神、かしこみかしこみ」などの言葉がわかる。神道のお祈りなのだろうか。邪魔しては悪いと思い、尋ねる事はしなかったが、祈祷している人たちは日本人には見えなかった。

非洲鳳仙の咲く牛寮捕歩道を下る
下りは、牛寮埔登山道とそれに続く産業道路を経て八里船付場までである。分岐付近は広場でトイレなど建物が幾つかあり、多くの登山客がくつろいでいる。紫陽花など、多くの花が咲いている。石段の道を下る。土の北横古道と交差し、右に折れて下っていく。象牙石を過ぎ、右から木製の桟道が合流する。道の両脇には非洲鳳仙の花が沢山咲いている。ずっと続く下りは、逆方向で登ってくると結構登りがいがあるだろう。右に展望のあずま屋がある。お茶を楽しんでいる老人と黒犬がいる。このおとなしい黒犬は去年もいた。
下りで出会った黒犬




下ること30分で、登山道の入口についた。ここまで約1km、あとは産業道路を経由して3.6kmだ。果樹園の間を下っていく。柑橘類の実がなり始めている。正面には対岸の面天山が雲もはれてよく見える。道脇のハイビスカスの赤い花は、去年も咲いていた。はじめは結構急坂だが、天気もよく快適な歩きだ。無極宮に立ち寄る。お手洗いは古いが清潔だ。米倉の集落を通り過る。数名の登山客とすれ違った。これから觀音山へ行くのだろう。道なりに下り、大きな墓地の左側の道を取る。省道15号線を越えて、淡水側沿いの自転車歩道を歩く。引き潮の浜では、貝類をとっているのだろう、砂を掘り返している人がいる。12時少し過ぎ、硬漢嶺から約一時間半で下り終え、今日の行程を終了した。Sさんも余裕たっぷりである。

淡水河畔から淡水方向を望む

今回の歩行距離は7.3km、登り約300m、下り約600mである。休憩も含め、3時間半である。その後八里から渡船で淡水側に渡り、觀音山を眺めながらコーヒーを飲みくつろいだ。こうした山登りも一興である。

高度プロファイル

2012-05-23

2012年5月23日 朝の七星山 - 多くの蝶が舞う霧の山道

青斑蝶が多い
友人Sさんが、七星山は景色がよいので登りたいと言う。山登りの経験は多くないが、チャレンジしてみたいとのこと。幸いにして、陽明山系は国立公園で登山道はしっかり管理され、交通手段が整備されているのでアクセスが簡単、なおかつかなり高いところからスタートできる。登り下りの一部が結構急なことに注意すれば、それほど問題がない。ただ、陽射しが強くなっているので、樹木帯を抜けたあと、晴れていると暑くてつらい。単独ピークだけであれば、それほど体力もいらないので、冷水坑から登り小油坑へ下るルートで計画した。途中、夢幻湖を経由し少し変化を考えた。
七星山山越えルート
先週後半は大雨であったが、それがすぎ天気が安定している。天気予報でも晴天だ。だが、実際に行ってみると、七星山のふもとは天気がよいが、頂上付近は霧の中。結局景色はほとんど楽しめなかったが、かえって暑くなく運動としての登り降りは、それなりに得るものがあった。自分も過去3回の七星山で、そのうち完全な晴れの時は1回だけである。帰途の108番バスから見る七星山は、頂上はまだ霧の中であった。

冷水坑から登る
MRT劍潭駅でSさんとおちあい、7時40分発の小15番バスに乗る。台湾のお年寄りも結構活発なのだろう、多くの老人が乗車し、小型バスはすぐいっぱいになる。満員のバスに揺られ、約50分ほどで冷水坑に着いた。ここまで車両に乗ってくるのは、数年前に会社の福利会活動の時以来だ。冷水坑ビジターセンターはまだ開いていない。支度をすませ出発する。上に見える七星山は中腹以上が霧の中、少し肌寒い。

華八仙の咲く登山道
センター脇からそのまま登る登山道があるが、それではなく擎天崗へ少し向かい冷水坑温泉の建物脇の人車分道を登る。ここを登り切ると、駐車場がある。ここからは、昨年9月に登ったのと同じルートになる。駐車場わきの案内表示が新しくなっている。石段の道を登っていく、道脇に華八仙の白い花が、ここそこに咲いている。登りつめると展望台がある。登ってみるが、霧がかかっており、景色は望めない。すぐに夢幻湖歩道に出る。湖は満水で、稀少植物の台湾水韭は水際の僅かなものを除いて、ほとんど水面下だ。七星山の山腹は霧がかかり、今日は名前に違わない幻想的な夢幻湖だ。

霧の夢幻湖
この上はジグザグの急な登り
夢幻湖歩道のゆるい上り坂舗装路を登る。向かい側にあずま屋が見え、冷水坑から直接登ってくる登山道と合流する。すぐに七星公園への道を左に分岐し、七星山の登りが始まる。ここまで、歩き始めて約40分、七星山東峰までは、あと1km、高度差二百二、三十メートルの登りだ。Sさんは、まだ元気そうだ。

登りの前半は、割合とゆるい登りだ。道端の花に青斑蝶がたくさん群がっている。陽明山は今ちょうど、蝶の繁殖時期である。上から犬を、四、五匹つれた登山客が降りてくる。この犬はよく訓練されているのだろう、自分から道を譲る。樹木の下にベンチなどの休憩スペースがあり、ジグザグの石段の急勾配登りが始まる。途中、ちらっと麓が見えたが、すぐに霧の中に消えた。今日は、残念がら景観は望めなさそうだ。そのかわり、暑くなく登りは比較的楽だ。もちろん汗は流れるが。

七星山主峰の三角点
晴れていれば主峰から東峰がこのように望める(3月登山の記録)
下り途中の展望台からチラッと麓が覗く
七星公園分岐から登ること約30分、東峰に着いた。頂上には数名の登山客がいる。周囲はすべて霧の中。少し休憩し、次の主峰を目指す。主峰へは300mであるが、まず下り登り返す。両脇の笹薮の背が高い。陽明山公園管理局は、蝶の繁殖期は草刈りをしないので、笹は背が伸びる。左に苗圃登山口への道を分岐し、主峰へ登っていく。同じく霧の中の道、ひたすら登る。東峰から約10分、10時5分、霧の中の主峰(標高1120m、台北市の最高峰)についた。冷水坑から約1時間半の道のりだった。一等三角点が大きく存在感を示している。今日の登りはこれで終わり、あとは下り坂なので、少しバテ気味のSさんは笑顔がもどる。

小油坑が見えてきた
写真を撮ったあと、景色もないので小油坑へ向けて下る。道標はないが南峰への分岐を過ぎ、展望台が見えてくる。展望台に立ち寄ると、ほんの僅か霧の切れ目に麓の様子が見える。展望台のすぐ下は急坂だ。脇に多くの蝶が群がり、蜜を吸っている。この下りは段差が大きい石段もあり、慎重に下る。

急坂を下ると、そろそろ硫黄の臭いが鼻をつきはじめる。このへんで下り道の中間あたりだ。大きな噴出孔を道は巻いて下り、その先の新しい展望台からは、両側に硫黄が吹き出ている谷を下る。ここまで下ると霧はなく、麓の様子がみえるようになる。そのうちに小油坑の硫黄噴出口亀裂の上を行き、観光客の話し声が聞こえてくる。11時10分過ぎ、小油坑のバス停に到着した。中国の観光客が大勢観光バスで来ている。台湾の観光も随分と変わったものだ。しばらくして108番のバスがやって来た。道すがら見える大屯山などは山容がはっきりわかるのに、七星山だけは頭が霧で隠れている。陽明山バスターミナルで紅5番のバスに乗り換えて、劍潭駅へ出た。

下りの108番バスから見る七星山、頂上はまだ霧の中
高度プロファイル
今日の行程は、七星山山越えだけなので、歩行距離は4.6kmである。所要時間は約2時間40分だ。あまり休憩はしていない。普段山登りをしていない初心者にとっては、この行程はちょうどだと思う。今日は、景色を楽しむことはできなかったが、このコースは逆方向に歩いてもよく、登山経験のない人でも台北の山を知るには、よいコースだと思う。時間も半日で十分である。

2012-05-16

2012年5月14日 草嶺古道から桃源谷を歩く

草嶺線登山道に咲く華八仙の白い花
東北角の桃源谷は、昨年11月に訪れた。もともと、稜線を草嶺古道まで歩くことを考えていたが、ガスがかかってきてしまい、草原の山で景観がないのでは面白くなく、石観音の道を下った。その後、また訪れることを考えていた。冬、春の間はチャンスがなかったが、5月になり天気も安定してきており、終日の晴天のもと再び訪れた。 去年11月にはガスで隠れていた、山側の景観があった。 双渓の谷の向こう側に 草山や燦光寮山が近いのに気づいた。五分山なども見える。天気はとてもよく陽射しが強かったが、 麓の森の中を除いて、常に風が吹いており、それほど暑く感じなかった。ただ、海にとても近いこの山は、紫外線がとても強く、かなり陽にやけた。

東北角の桃源谷と草嶺古道
大里駅から草嶺古道、草嶺線、内寮線登山道を経て貢寮へ
大里天公廟
桃源谷へは、四つの登山道がある。海側からは前回の山行で通った大渓線と石観音線、草嶺古道から稜線を歩く草嶺線、そして陸側からは内寮線がある。前二者は、短い距離を急坂で桃源谷にたどり着く。草嶺線自身は4.5kmで、この二つの海岸からの道と大差がないが、出発点は草嶺古道の啞口で、そこまでは大里から3km、或いは福隆から7kmを歩いてこなければならない。一方、内寮線は登山道そのものは1km強で一番短いが、登山口から貢寮まで12kmあり、交通機関からは一番遠い。今回は、前回とは異なる道を取り、台鉄大里駅から草嶺古道を鞍部の啞口まで登って草嶺線を歩き、桃源谷からは内寮線を下った後、長い舗装路の下り道を貢寮駅まで歩いた。貢寮駅からタクシーなどで、内寮線の登山口內寮蕭家莊まで来ることも可能だが、谷あいの風景を見ながら歩いて下るのも悪くない。

草嶺古道登山口
前回の桃源谷山行と同じ台北駅を6時40分発の区間電車で出発する。瑞芳までは学生の通学時間と重なるので乗客が多いが、瑞芳で大部分の乗客が降りた。貢寮あたりを通る車窓からは、桃源谷方面の山並みが見える。福隆のトンネルを過ぎ、石城駅の次、大里駅で下車した。時間は8時半、途中急行列車の追越退避などがあるため、台北からは時間がかかる。大里駅は無人駅ではないが、平日の朝のこの時間は、ガランとしている。駅前に、草嶺古道の紹介や道標がある。駅からは、大里観光ビジターセンターまで、駅前の濱海公路とは別の歩行路が作られている。ビジターセンターは、時間が早いのでまだ開いていない。前を通り、隣の大里天公廟を過ぎる。草嶺古道の登りは、この天公廟の脇から始まる。

草嶺古道の護管所
草嶺古道は、清朝の19世紀初期、宜蘭の蘭陽平野を開墾するべく台北地区(当時の淡水庁)と宜蘭(噶瑪蘭庁)を結ぶ主要街道、淡蘭道の一部である。中国から移民してきた漢人はこの道を通り、宜蘭を開拓していった。その後、日本統治時代にも街道の整備が行われ、鉄道や自動車道が整備されるまで約100年にわたり、主要な街道として往来が続いた。近年になり、国家風景区の管理対象として道の整備や施設の建設が行われ、多くの人が訪れている。福隆から大里までの8.5kmを歩き、古人開拓時の苦労を身をもって体験できる。

旧盧宅の跡
盧宅上の古道
十数年前、大里天公廟へは時々立ち寄っていた。多くの信者が訪れ、香火が絶えない。大樹のある石段を上がると、石碑が道の両側に何本も建てられている。これを過ぎると、舗装路が谷に沿い登り始める。舗装が切れ砂利道となる。ヘアピンカーブを過ぎていくと、左の森の脇に自然道入口がある。大里からは、この道を通っても来れるようだ。この道のほうが、少し長い。また舗装路となりジグザグに登って行くと、左側に古道の登山口がある。石畳の古道はここからはじまる。舗装路は、山腹をジグザグに登って行くが、古道はそれを突っ切るように直線的に登り、ところどころ舗装路と交差する。護管所、展望台を過ぎる。木製の展望台から、大里の街が下に見える。更に登ると、古道の往来が多かった昔に、旅人が足を休めた宿、盧宅跡が現れる。苔むした石材が多く散らばり、結構大きな建物であったことが偲ばれる。盧宅跡を過ぎ小沢が脇を流れる古道は、それまでの立派な石段ではなく、盧宅跡に合わせるようにもっと古く角のとれた石段だ。これを登り切ると、古道最高点の峠、啞口だ。大里天公廟から1時間5分の道のり、時刻は9時50分である。

啞口から福隆方向を見る
啞口から大里方向を見る
草嶺線登山道
啞口(峠の説明板では啞は「口」偏ではなく「土」偏)は、鞍部の意味だそうだ。ここから福隆方向に古道は下っていく。周りは大きな樹木はなく、低い潅木と草地である。上の山は古道の名前である草嶺山だ。冬は強い東北風が峰を越えていくので、高い樹木は生えない。峠のすぐ上に景観台がある。ここで食事休憩をとる。啞口は標高約350m、今回の行程最高点は、草嶺線登山道上の湾坑頭山の616mである。展望台から草嶺線歩道の登りが始まる。草原を行く登山道は、陽射しがとても強いが、稜線上には風が吹いている。木製の第一番目の展望台を過ぎる。数名の登山客が中で休んでいる。遮るもののない草原の稜線道では、屋根のあるあずま屋は貴重だ。そのまま、続けて道を行くと、低い潅木の間を登る。道脇には、黒星桜や華八仙の白い花が咲いている。

啞口から20分ほど登ると、見晴らしのよい展望場がある。福隆の街が見える。その左奥にある山々は、九份の山々だ。草山や燦光寮山、牡丹山などが判別できる。展望場のすぐ近くに牛(水牛)が三匹、草を食んでいる。こちらをチラッと見たあと、また続けて草を食む。下の方の草原にも数匹、同じく草を食んでいる。近くにいた牛の一匹が近づいてきた。こちらも写真を撮り終わったので、離れて登り始める。振り返ると、牛は休憩場の石の間に生えている草を食んでいる。

草を食む水牛、背景の山は燦光寮山、草山など九份の山々
展望場を振返る、牛が草を食む
草嶺山への道から振返り見る二番目の展望あずま屋
二番目の展望あずま屋は、ピーク上に建てられている。15分ぐらいで着いた、時刻は10時50分。ここからは360度の展望が可能だ。貢寮の街が見える。赤いアーチの橋が目立つ。今日の行程の終点だ。軽装の登山客が一人、反対から登ってきた。どうやら湾坑頭山へ往復し、その帰りのようだ。次のピーク草嶺山へ進む。石段の間に、可愛い佛氏通泉草の紫の花が咲いている。道の中央に牛用の石柵が道に建てられている。この地形では、牛はどこでも歩いていける。この石柵は何の効果があるのだろうか。展望のよい草嶺山からは、湾坑頭山がだいぶ近くなってきた。一度下って、登り返せば湾坑頭山だ。沖の亀山島は、青い海に浮かんでいるが、今の時間では輪郭がわかるのみだ。湾坑頭山の登りで三番目の展望あずま屋を過ぎる。11時45分、二等三角点のある湾坑頭山頂上についた。ここで、草嶺線登山道のほぼ半分地点だ。

湾坑頭山への道、三番目の展望台が途中にある
海側に切り立っている湾坑頭山は、標高616mである。ここも360度の展望がある。頂上から足元の海岸沿いに行く、鉄道や省道が見える。台鉄の特急太魯閣号が走っていく。ここまで来ると桃源谷が見える。その左奥には、昨年11月に登ってきた大渓登山道がいく蕃薯寮山の尾根が見える。頂上は炎天下で暑いが、食事をとりながら少し休憩する。ここからは、小さなピークの登り返しがあるが、基本は下り道である。頂上から下って少し、最後の良好展望点のピークを過ぎる。石観音寺が石観音山の中腹に見える。その近くから派生する尾根を追っていくと、土砂崩れした石観音登山道の露出部分が目を凝らすとわかる。

湾坑頭山頂上
湾坑頭山から見る海岸、太魯閣号特急列車が行く
湾坑頭山付近から見る展望ピーク、その左奥の石觀音山とその山腹の石観音寺、更にその後ろの蕃薯頭山
大きく下って少し登り返すと、左に展望台への分岐がある。100mほど行くと主稜線から派出した枝尾根のピークである。ここからは、石観音寺が更に近い。左は湾坑頭山が谷を挟んで大きくそびえている。湾坑頭山から海岸にのびる尾根上に登山道があるそうだが、これは健脚向けのものだ。湾坑頭山頂上脇に、それらしい踏み跡があった。登山道に戻り、桃源谷に向けて歩く。草原が近くになってきた。第四番目の展望あずま屋が、山腹からそり出して作られている。ここは、すぐ下に車道が来ているので、誰でも手軽に来れる。あずま屋には、地元の人と思われる数名がお茶や将棋を楽しんでいる。これを下ると、石観音登山道の分岐点だ。前回は、反対側からここまで歩いてきた。脇には先程の人たちの車だろう、バンが1台停まっている。

桃源谷の草原
第四番目の展望あずま屋付近から見る湾坑頭山

桃源谷の道標、ここから内寮方向に歩く
今日の行程の最後になるピークを登り返す。石畳の草嶺線登山道が終わり、草の道となる。今日は天気がよいので迷うことはないが、四方霧だと、踏み跡がないので方向がわかりにくい。下りに、登ってくる二人の登山客とすれ違う。下りきると大渓線登山道の分岐になり、更に下るとあずま屋が草原にぽつんと建てられている。時刻は1時半、大里から歩き始めて5時間、距離にして8kmをカバーした。近くの水場には、牛が二匹水浴びをしている。その周囲にも何匹か草を食んでいる。

内寮線登山道を下る
これからは、ずっと下り道だ。道標は、貢寮駅まで11.7kmとなっている。距離としては、今までのセクションより長いが、山道部分は少しなので所要時間は短い。少し下ると、お手洗いがある。ここからは、草原の道とはお別れだ。コンクリの登山道は、階段の段差が小さく、かえって歩きにくい。道脇には、たくさん説明板が作られている。他の登山道に比べると、特別多い。草原のあずま屋から約20分で、登山道入口についた。登山道入口は、古い石造りの民家のすぐ脇だ。周囲には道標がないので、始めてここから登る場合は少し迷いやすいかもしれない。周辺には段々畑が作られている。大きなガジュマロの樹の下を行き、長い下りが始まる。道標は、貢寮駅へ10kmとなっている。

道から草原が上に見える
道は、始めはわりと平坦で、振り返ると上方には先に降りてきた桃源谷の草原やあずま屋が見える。民家を右に見ると、下りが始まる。左に細い道が降りていく。後で分かったのだが、この道は大きく回っていく車道の近道である。更に下ると、この細い道に合流する。何回かジグザグをすぎ、谷底に降りる。ここからは桃源谷の草原がはるか、上のほうに見える。途中、同じく近道があったが、その時は確実でないので、そのまま車道を下った。谷底の道になり、吉林村の集落などを過ぎていく。車は、時たま通るだけで、交通量は多くない。桃源谷の大きな石の碑が建てられている分岐のすぐ下で橋を渡り、道は対岸を下っていく。大きな民宿、龍山園の施設がある。下り始めて1時間、ほぼ中間あたりで少し休憩する。道脇に駐車スペースと、桃源谷や草嶺古道の説明看板がある。

桃源谷の石碑
川幅がだいぶ広くなってきた。警察駐在所のある集落の前を過ぎる。年老いた住民数名が家の前で、世間話をしている。川は大きく蛇行しているので、道もそれにあわせて大きく彎曲する。川脇には畑や水田が現れる。桃源谷が見えるが、もうはるかに遠い。4時に第2甲省道との分岐についた。貢寮老街を通り過ぎ、旧橋をわたる。すぐ脇には、山の上から見えた赤い新しいアーチ橋がある。地下道を通って線路をくぐり、貢寮駅に着いた。時間は4時10分、着いてまもなく台北行きの区間電車がやって来た。台北駅には17時45分に到着した。

貢寮近くから稜線を見る
貢寮の旧橋
歩行距離20.5km、所要時間7時間半(休憩時間を含む)であった。海岸の脇から登り始めたので、最高地点湾坑頭山の616mが、ほぼ今回の高低差である。稜線道では登り下りもあったので、全部では1000mの登りである。貢寮に近づいたころ、山を見ると一部ガスがかかり始めていたが、全行程晴天のもと歩いた。草原の山は、全方向の景観を満喫することができた。稜線ではゆっくりと景色を楽しんだので、草嶺線登山道での時間が、その距離に比して長いが、それこそ山登りの醍醐味である。急いでは意味が無い。

高度プロファイル