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2013-03-11

2013年3月10日 瑞芳小粗坑古道から九份へ W大校友会ハイキング

基隆山を真正面に見て下る、右山腹に広がる九份の街まであとわずかだ
今週一週間は天気がとてもよく、この山登りで四回目となる。今日は昨年10月に引き続き、台北のW大校友会名目のハイキング活動だ。前回は陽明山山系だったが、今回は台北の北東に位置する瑞芳の山歩きだ。侯硐から小粗坑古道を登り、九份へ歩いた。歴史を体験しながら観光地九份へ向かう趣旨だ。

南側の侯硐から峠を越えて九份へ(マウスクリックで拡大表示)
登りが下りより多い高度プロファイル
九份は、今や説明する必要も無いほど有名な観光地だ。一度はアジアで最大の金鉱として栄華を欲しいままにしたが、やがて金産出がなくなり没落した。ゴールドラッシュの後は、世界どこでも同じだ。人は去り、街はさびれる。九份も同じ運命を辿った。「悲情城市」の映画で、山腹に広がった歴史の街が紹介され、今日の観光スポットとしての新しい時代が始まった。

ツツジ咲く道の向こうに九份の街
九份ははじめから、今日のような交通手段があったわけではない。山の上の不便な場所でも、一攫千金を目指す金鉱堀にとっては、道を切り開いてでも入っていく。金鉱が見つかった九份の南側、大粗坑山の沢周辺には、坑道が掘られる。人が集まり、やがて集落が形成される。それが小粗坑や大粗坑の集落である。集落と坑道入口や麓の農村などとの間に、道が整備される。人や物資がその道を経て行き来する。そうした道が、九份の付近にはいくつかある。今回歩いた小粗坑古道も、金採掘のためにできた小粗坑集落を麓の侯硐と、また峠を越えて九份と結ぶ。豊かな財力を生かして、石畳や石垣などがこの道には造られた。金が出なくなり人が去った後、道は忘れられたが、近年再び整理されハイキング道として復活している。この道は、数十年前に人々が生活していた集落の遺跡を通過していく。道には、当地の生活の一部だった土地公や山神廟がある。道を歩くことによって、単に景色を眺めるだけでなく、九份の形成や人々の生活を偲ぶことができる。

侯硐駅の猫駅長像
メンバー四名は台北駅に集合し、7時35分発の羅東行き区間電車で侯硐へ向かう。休日のこの電車はハイカーが多い。8時半に侯硐に到着。まだ早いので観光客は少なく、駅や周辺はひっそりしている。猫が一匹改札口の待合室にいる。ここは猫で有名な街だ。駅前から北方向に進む。旧鉄道トンネルをくぐりビジターセンターわきの橋で基隆河を越える。今日は晴天、これから歩く小粗坑古道の峠部分が目の前の尾根筋に判別できる。瑞侯公路を進む。侯硐国小を過ぎるとまもなく小粗坑古道の入口だ。

草刈りされた、山道入口部
石段道を登る
先月も同じく小粗坑古道を歩いた。その時に比べると、今日は気温が高く、汗が流れてくる。新北市の道案内看板まで登ってくると、野良犬が数匹道の真中で休んでる。我々が近づくと、吠えることもなくどいた。何かおどおどしている感じだ。案内看板は、先月は草に埋もれていたが、その後草刈りされてさっぱりしている。山道が始まる。鉄製の橋を越え進む。土地公に立ち寄る。小沢を越えると、石段の道が登っていく。石垣がつまれた古道に、メンバー皆は感心する。実際、この古道は昔のままであるが、初めからそれだけしっかり造られているということだ。9時35分、小粗坑集落に着いた。侯硐駅から約1時間だ。
小山国小の廃屋と説明板
山神廟への上り道
先に道を左に取り、小山国小跡を見に行く。一教室で先生も一人、小学1,2年生が就学していた。今は草や木々に埋もれた苔むした石壁が残るだけだ。大粗坑集落の小学校も同じく分校で、こちらは大山国小、それに対しこちは小山国小と呼ばれた。分岐部に戻り、古道を登る。山神廟まで高度差100mぐらいの直線的な登りが十数分続く。ここが小粗坑古道中、一番つらい登り坂だ。山神廟の前にはサインブックが置いてある。メンバーのYさんがサインをはじめ、全員名前を残した。山神廟から山腹を平らに歩いた後、方向を換え登っていく。木々の間から瑞芳の街が見える。道の前方が明るくなり、峠が近い。10時10分過ぎに峠に着いた。目的地の九份が基隆山の麓に広がっている。街の上方はお墓がたくさんあるのが見える。瑞侯公道の古道入口から約1時間の道のりである。道わきのベンチに座り休憩、軽い食事をとる。

峠で休憩、九份も見える
あずま屋前から見る
休憩後小粗坑山頂(標高485m)へ往復する。今日の行程最高点である。下りはとても気楽だ。陽射しは強くなってきているが、風も少し吹いているので気持ちが良い。真正面に基隆山を見て下る。途中、道の階段に腰掛けて休んでいるハイカーと出会う。今日山道で初めて出会う登山者だ。10時55分、あずま屋まで降りてきた。ここまで来ると、九份はもう目と鼻の先だ。あずま屋は、大きな石のテーブルがあるが、もとあった椅子は取り除かれ、跡だけが床に残っている。威勢のよい台湾犬が登ってくる。その後を飼い主の登山者が登ってきた。いつもこの黒犬をつれて登山しているとのことだ。数日前石碇登山で一緒について来た犬のことを思い出した。

頌德公園
ツツジの咲く道を下りきると頌德公園に降り立つ。記念写真を写す。前回はここから左に取り、軽便路から琉榔步道を経て瑞芳へ歩いた。今回は右に曲り、九份へ歩く。軽便路から基山路へ入りると観光客が多くなる。11時40分に老街の入口に着いた。このあたりは人であふれている。登山とは別の世界だ。老街中程の肉圓店で食事をする。ここは去年観光旅行できたところだ。食事後、瑞双公路のバス停から台北行直通バスで帰京した。

九份集山路からの眺め
今日の行程は、一日前と比べるとずっと楽だ。歩行距離は5km、所要時間は休憩も含め約3時間半だった。登攀高度累計は501mだ。九份から侯硐駅へ、逆方向に歩けば登りが少なく、坂もゆるやかなので更に楽なルートとなる。

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