このブログを検索:山名などキーワードを入れてください

2013-03-14

2013年3月13日 平溪石底觀音山-作埤內古道 基隆河の源流から汐止へ山越え

581峰への尾根から展望する刀石崙(左)と石底觀音山
石底観音近くにある基隆河水源の表示
台北の河川、淡水河には三大支流が流れ込む。そのひとつ基隆河は、その源を平溪の最奥、石碇との境にある石底観音に発する。分水嶺の石底観音山の反対側は、もう一つの三大支流新店渓に流れ込む景美渓の源である。今回は、その石底觀音山から歩き始めて581峰で耳空龜山縦走路へ、そこから耳空龜山方向に下り雙石塔の分岐から作埤內古道を下った。東山からはコミュニティバスがあるが、時間があわず汐止駅まで歩いた。数日続いた好天だが、寒波が午後から近づいて下山したころはすっかり曇りになった。昼間は暑く半袖での山行だったが、夜には気温が十数度まで下がった。

石底觀音山からは北側に刀石崙を経て尾根が伸びる。この尾根は耳空龜山から盤石嶺への尾根と581峰で合わさる。周辺は過去炭鉱があり、それに関連した道や施設が残っている。今は古道として歩かれている作埤內古道や一坑古道がある。古道は山頂を通らず山腹を巻いていく。581峰と耳空龜山との鞍部には、石造りの塔が二つ並んでいる。石碇側五坑の炭鉱で採れた石炭を汐止側に運ぶためのロープウェイがあり、この塔はその一部だったということだ。作埤內古道はこの作業のためにも歩かれていたのだろう。

南の石底観音山から北へ歩く
出発点は300m、左の尾根道部分は昇り降りを繰り返す
795番バス
朝7時少し前、MRT木柵駅のバス停で平渓行き795番バスに乗る。このバスは以前1076番と呼称されていたが、2月からこの795番に変更され、休日には便数も増えている。通学時間帯なので、学生が多く乗る。石碇高中で高校生が下車、小学生は永安国小で下車すると、車内はガラガラだ。分水嶺への登りを終えると、平渓への谷へ下り始める。7時35分観音山バス停で下車する。少し来た方向に戻ると、右に観音寺への道が登っていく。分岐には基隆河源流の案内板がある。数分登ると観音禅寺が現れる。遅咲きの桜がまだ咲いている。

石底観音
建物の前で尼さんが一人、庭花の作業をしている。挨拶をして左側に登っていく階段を進む。わずかの登りで、階段の左側に石底觀音山への入口がある。登り始める前に、その先にある石底觀音へ行く。大岩にくぼみがあり、その中に観音像がある。自然にできたくぼみの中の岩も観音様のように見える。ここからも、山腹を石底觀音山と刀石崙との鞍部へ登っていく道がある。石底觀音山登山道口に戻り、登り始める。いきなり急な登りが始まる。しばらく山腹を登った後、枝尾根に取り付く。道端に天燈の残骸が落ちている。まだ新しいので、先月の天燈節に飛ばされたものか。8時22分、登山口から22分で石底觀音山頂上(標高519m)に着いた。

石底観音山頂上から見る四分尾山方向
石底観音山頂上
中央に基石が埋まる頂上は、そこそこ広い。北西方向の樹木がなく、四分尾山方向が望める。去年八月に歩いた紙寮坑の谷から、その上の四分尾山斜面上にある産業道路などが見える。下りは、登りにまして急坂だ。補助ロープを頼りに下る場面も多い。痩せた尾根上の道を進み、一度登り返したあとの下りでは、大岩に取り付けられたロープ梯子を下る。この梯子は力が加わるとたわみ、見た目より手ごわい。8時55分、鞍部に着いた。慎重に下る場所が多いので、下りにも20数分かかっている。鞍部は右から石底觀音からの道が合流し、そのまま左に山腹を行く。ここは直進して刀石崙への尾根を登る。
岩にかかるロープ梯子





登り返しもけっこう急坂だ。15分登ると、右に刀石崙への道が分岐する。右にとり刀石崙へ向かう。一度下った後、急斜面の下に着く。普通ならば補助ロープがあるような場面だが、ここは登山者が少ないのか、ところどころに生えている樹の枝だけが頼りだ。9時20分、刀石崙(標高576m)の頂上に着く。ここは山名表示など何もない。西側が開けけている。遠くに二格山から猴山岳への尾根筋が判別できる。その南側には皇帝殿山の西峰あたりが見える。ただ、春の山景はぼんやりしている。1時間半ぐらい歩いたので、腰をおろし休憩する。

刀石崙からの西方向展望、深坑の街が中央に見える
思ったよりわけなく、先ほど登ってきた急斜面を下り分岐についた。ここから、また鞍部に向けて下る。この下りも同じく急斜面で、補助ロープが多くかかっている。左から山腹を来る古道に合流し、その先でに一坑から登ってくる道との分岐がある鞍部に、9時50分降りたった。距離は大してないが、急坂で足場も悪く、石底觀音山からの尾根道縦走は時間がかかる。樹の幹に台北縣99年度登山步道工程の張り紙がある。それによると道標や階段の設置が記してある。それから三年が過ぎているがそうした工事はされていない。現状の山道でも問題ない。

展望点への登りから見る、左に薯榔尖、奥には峰頭尖と中央尖(左)
581峰から東に伸びる峰々、一番右端は薯榔尖
薯榔尖から見る刀石崙から581 峰へ伸びる尾根筋と一坑の谷間(2011/10撮影)
展望点からの下り
581峰方面へ、また稜線道を登り返す。十数分登ると、右側の樹木が少なく展望ができる場所がある。刀石崙とその左側に薯榔尖が望める。その奥は峰頭尖だ。特長ある中央尖も判別できる。更に少し登ると、裸岩の部分から展望ができる。こちらからは581峰から盤石嶺への連峰がとても近い。反対側は、今歩いてきた刀石崙と石底觀音山が並んでいる。その奥には皇帝殿山の全景、そしてその左には切り立った斜面がある人面山の尾根筋が望める。また急な坂を下り、10時20分鞍部に着く。ここは右から登ってくる一坑古道との分岐だ。左には耳空龜山へ山腹の古道が続く。
581峰頂上







581峰に向けて直進する。急坂を登りきりしばらく平な道が続くと、581峰に着いた。10時38分、先の鞍部から十数分の登りだ。昨年三月からちょうど一年ぶりに来た。ここで休憩、食事を取る。二十数分の休憩後、耳空龜山方向へ下る。縦走路は地方政府による整備が行われているので、木製の道標や案内などがある。15分ほど下ると、左から古道が合流する。ここから先は古道の一部なので、岩に彫り込まれた階段が現れる、割合と平な道が続く。少し登り返すと右に作埤內古道への分岐部に、11時半に着いた。そのすぐ上は雙石塔だ。対向方向から二人の登山者がやって来た。今日山中で出会う、唯一の登山者だ。このあたりの山は、それほど人気がある山ではない。

双石塔
双石塔の基部床にある鉄リングと花びら
雙石塔は、二つ並んだ石の塔が目立つが、その基礎部分も石造りの強固なものだ。植物に隠れて目立たないが、この工事はかなり大掛かりなものだ。石炭産業は廃れ、今は樹木の中でひっそりとしている。自然は変わらず、毎年四季を繰り返す。塔の周辺には、白い花が落ちている。分岐にもどり作埤內古道を下り始める。この道は、今日の中では一番自然に近い状態だ。草深い部分も多く現れる。倒木も多く道を塞いでいる。山腹から沢に沿った道になってくる。20分ほど下ってくると、沢を越える。このすぐ先右に廃屋の石壁が草木に埋もれている。けっこうな大きさだ。更に15分ほど歩き、12時15分沢底に下りる。沢を少し下り左岸に渡ると畑がある。その先に屋根も見える。ここは誰かの別荘のようだ。内曽路16-1号という標識がある。家の手前の庭は、通泉花が一面に咲いている。蝶々が花から花へ飛び回っている。家は戸締りがされ、誰もいないようだ。静かなこの軒先で、しばし休憩する。

作埤內古道、沢を越える
内曽路6-1号住宅前の庭に咲く花
作埤內古道主線、良い道だ
二十分ほどゆっくり休んだあと、更に作埤內古道を歩く。少し登ると右から作埤內古道の主線に合流する。ここを右に行けば盤石嶺へ続く。それまでとは異なり、よく歩かれているようで、道に草などがない良い道だ。少し登り返した後、平な道が山腹を縫って行く。10数分で、内曽路の舗装路に飛び出た。左に取り、内曽路を登っていく。天気もよく、車も殆どやって来ない道は快適だ。振り返ると盤石嶺が見える。道が平らになり山裾を回りこむと、展望峰への登山口を通過する。その先は桜の並木が植えられている。七割方はすでに葉桜だが、まだ花が咲いている樹もある。13時15分、慈聖宮への分岐にやってくる。この周辺には吉野桜が多くある。ちょうど花見ごろだ。まだ樹が若いので、花の数が少ないが。谷向こうには姜子寮山が手前の盤石嶺から下る枝尾根から頭を出している。

慈聖宮分岐近くから見る、桜の向こうは姜子寮山が頭をのぞかせる
吉野桜も満開だ
鵠鵠崙登山口
内曽路を更に下っていくと鵠鵠崙路につながる。これを下り三徳廟の前を過ぎ、月桃が咲いている鵠鵠崙登山道口に来る。もともとは予定していなかったが、時間も早いし、この山だけを登りに来ることもないので、立ち寄ることにする。数分で頂上に着いた。基石がある頂上は、周囲すべて樹木で展望はない。登ってきた道を戻り、鵠鵠崙路を更に下る。つづら折れの道のわきには山桜がまだかなり咲いている。14時10分、鵠鵠崙路を下りきり汐平公路に着いた。作埤內古道入口から約1時間20分の歩きだ。少し下り東山国小の前に着く。コミュニティバスが往来しているが、15時過ぎまでない。そのまま歩いていくことにする。

東山国小前
2011年10月に菁桐古道を下ってきた時も、時間があったので途中まで下って、やってきたコミュニティバスに乗った。今日も、もし途中で出会えば乗るつもりで、汐平公路を歩いて行く。14時35分、新台五路との交差点に着く。ここから新台五路を歩く。交通量の多い道を歩くは、楽しいものではないが。大きなコンテナヤードなど、普段気にしない風景を見ながら歩く。茄苳路を進み15時14分に汐止駅についた。結局、コミュニティバスよりも早く着いた。

今日の行程は、歩行距離14.8km、所要時間約7時間半である。前半の山道部分、特に石底觀音山の尾根筋の道は、時間を要した。出発点の観音山バス停は標高約300mとそこそこ高いので、はじめの登り部分はそれほど高度差がない。累計の登攀高度は903mであった。平渓の山はしばらく来ていないが、未踏の部分もまだあるので、また登りに行くつもりだ。

0 件のコメント:

コメントを投稿