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2013-05-03

2013年5月2日 瑞芳三爪子坑山 - 瑞芳の展望台の山に登る

霧の中の三爪子坑山、左は五分山 (2013/2撮影)
瑞芳の街は山に囲まれ、基隆河が中心を流れる盆地である。その行政管轄範囲には九份や旧炭鉱などの観光資源がある。最近はこうした観光地近くの山々を歩いてきた。そうした中で、基隆河を挟んだ対岸に並ぶ山の中で、ひときわ目立つ山がある。それが三爪子坑山だ。この山は、頂上に樹木もなく周囲の山より高いので、展望がとてもよい。360度すべて見渡せる展望台の山だ。地元行政が整備している山道ではないため、知名度もそれほどではなく、道の状態も良いとは言い難いが、登る価値が十分にある。

東和里から右回りで尾根を廻る
過去1年の間に登った瑞芳周辺の山々
この山は、実は前から注目していた。ただし、天気がよくないと登っても肝心の展望がない。五月に入ると同時に、梅雨入りのニュースがあった。実際昨日は大雨が降ったが、今日は幸いに雨が止んだ。太陽は顔を出さなかったが、高曇りで展望は十分にきく。四月から、長く雨が降っているので、土は緩んで滑りやすいところが多かったが、瑞芳東和里から尾根道をぐるっと一周回遊する形で、登ってきた。

昨日の大雨に増水した基隆河わきから見る基隆山
保女宮への道
瑞芳へは、台鉄の電車もあるが、筆者の住まいからは高速道路経由のバスが便利だ。瑞芳行1061番か金瓜石行1062番である。本数も多く、気軽に利用できる。忠孝復興バス停から7時半発の1062番で出発する。歩き始めの東和里バス停には8時40分に到着、降りた中山路から三爪子坑路を歩く。東和里は、台鉄駅のある街の中心から、基隆河を挟んだ対岸にある。ここからは、河の上流方向に基隆山が望める。広い車道は、左に曲がって橋をこえていくが、ここは右に三爪子坑路を進む。住宅街の中を歩き、右に折れると保女宮の金属製山門アーチをくぐる。ここから、山登りの始まりだ。

長寿亭への階段道、もうすぐ終わり




舗装路は濡れているが、雨は降っていない。登って行くと石造りの家を過ぎ、数分で保女宮につく。ステンレス手すりのある、コンクリ製階段が長く伸びている。途中一旦平坦な部分があるが、10分ほどの階段登りが続く。階段の最上部には長寿亭のあずま屋がある。二階に登ると、五分山や基隆山が見える。建てられた頃は瑞芳の街も見えたのだろうが、木々が育って遮ってしまっている。

登り途中から見る基隆山
蛇子崙山の頂上
土の山道が始まる。踏み跡ははっきりしている。雑木林の中、竹林のなかと様子を換えて進む。大分高度が上がってきたようで、木々の間に見える基隆山が相対的に低くなってくる。琉瑯步道のもと流籠頭の公園とほぼ同じぐらいの高さだろう。シダが茂るなかを進むと、右から天一宮からの道と合流する。藍天隊の道標が新しい。今年1月に取り付けられたもののようだ。その先少し行き、9時43分、歩き始めて約1時間で本日行程の初めピーク、蛇子崙山(標高290m)に到着した。三角点のある頂上は、そこそこ広いが木々に囲まれ展望はない。そのまま、下り先に行く。右に道が別れ、これを行ってもOKのようだが、木々にかかっている標識リボンはすべてもうひとつの道だ。これを取り進むと、ピークを一つ越え、10時4分に産業道路の峠部分に下り立つ。峠からは、送電線鉄塔が沢山建っている大粗坑山や牡丹山が見える。

頂上下の岩壁登り
三爪子山の登り口は、産業道路の反対側だ。いきなり急な坂が始まる。登りつめると、しばらくはゆっくりな坂が続く。右から別の道が合流し、長い急坂が始まる。補助ロープもある。一度狭い尾根を進むと、山腹にもどり沢の音が聞こえる。道はこの沢を越えていく。また急な補助ロープの登りを過ぎると、草の展望ができる部分に来る。ここからは基隆嶼など基隆側が見える。その先で、長い岩壁を登る。補助ロープが無ければ、今日のように濡れている時は、難儀するだろう。登り切った後尾根をしばらいくと、10時50分に三角点のある三爪子坑山(標高536m)の頂上に着いた。歩き始めて約2時間だ。

頂上からのパノラマ、左は五分山、右は基隆山(マウスクリックで拡大表示)
基隆河を挟んだ対岸の九份から牡丹への山々、左端は基隆山、右奥は宜蘭の山
平渓の山々、遠くに中央山や峰頭尖などが見える、右は五分山
頂上の三角点
東側は草の丈が少し高いが、その他は抜群の展望ができる。陽明山系方向は、少し遠いのでぼんやりしているが、それ以外はすべて手に取るが如くだ。今まで登った、平溪の中央尖峰頭尖五分山、その先には石碇の皇帝殿山獅公髻尾山が判別できる。目を反対東側に向ければ、基隆山はもちろん、小、大粗坑山から牡丹山をへて三貂嶺山への稜線がある。その上には、半平山と燦光寮山が頭を出している。近くに目を移せば、烏塗窟山と独特の大岩の獅子嘴岩が見える。その更に向こうは、宜蘭の山々だ。北側は、瑞芳の街、それを越えて遠くには基隆と海が見える。実に優れた展望台だ。北台湾の海に近い地域の地形が一目瞭然だ。

歩きにくい山投林の間を進む

食事をして、ゆっくり休憩する。これだけの眺めは、ゆっくり鑑賞するに値する。時々薄日も差す。30分ほど過ごした後、下り始める。すぐ下に樹が生えているが、ここに山名のプレートが取り付けられている。急坂下りの後、またピークを登り返す。山林投がびっしり生えていて、歩きにくい。右下に、これから歩く八分寮山への尾根筋が伸びている。一度下りもう一度登り返すと、分岐に着く。直進すれば五分山方向、右に八分寮山へと続く。下りはとても急だ。ロープを頼りに下る。この山は、補助ロープが他所に比べると少ないが、それでも肝心なところにはあるので、ありがたい。土の部分は、長雨のために緩んでおり、気をつけないとすぐ足をとられる。三爪子山から40分、12時に八分寮古道と交わる鞍部についた。

縦走路から三爪子坑山を振返る、奥に基隆山と海
八分寮山への分岐近くから見る。奥が瑞芳の街、右の尾根から登り、左側の尾根を下る
八分寮山への道、山投林が茂る
鞍部からまた登り返し、尾根上のピークを越えていく。こちらは山林投もあり、びっしりと所狭しに生える曲がりくねった幹や枝が実に邪魔だ。鞍部から20分ぐらいのところで、草原に出る。右に朝歩いた蛇子崙山の尾根筋と、その向こうに基隆山や九份の山々が見える。さらに15分ほど歩き、わずかに登り返すと八分寮山(標高322m)の頂上だ。12時35分、下りのほぼ半分地点だ。直進すると、八分寮の谷に下る。稜線道はここから右に折れて進む。三角点基石に腰を下ろしてしばし休む。

東方向を見る、対岸は蛇子崙山の尾根すじ
八分寮山頂上
坑仔内山への道、岩の登り
八分寮山から、道は岩が露出した急坂を登り返す。しばらくは狭い尾根上を進む。八分寮山から約20分ほど来ると、右に瑞慈宮へ下る道を分岐する。左の道を取り、尾根をさらに追いかける。下って行くと坑仔內山に着く。ここは、山と言っても斜面に基石が植えられているところで、頂上ではない。竹林、送電線鉄塔の下を過ぎ、保線路との十字路を過ぎる。直進して竹の間を進み、南萬壽山(標高135m)へ道を登り返す。山道を、もう一度登ると木製階段の道に合流した。右に登って行くと、萬壽山(標高180m)だ。椅子やブランコがある、広い頂上だ。今はだれもいないが、瑞芳住人の憩いの場所だろう。時刻は13時56分、今日最後のピークで少し休憩する。

萬壽山頂上
階段道がずっと続く。数分下ると、早健会の建物を過ぎる。椅子や運動器具が置いてある。展望台に登ると、瑞芳の街や先ほど登った三爪子山が見える。石段道がずっと続き、最後は路地道に下り立つ。これを少し行くと中山路に出る。右に進むと、朝降りた東和里のバス停に着いた。時刻は14時30分である。十分ほど待つと、台北行きの1062番バスがやって来た。

東和里バス停
今回は約8.7kmの道のりを、休憩込み5時間45分で歩いた。ほとんどが山道になるので、時間がかかっている。登攀累計は655mだ。今日は、晴れなかったものの、遠くまで視界の利く高曇りだったので、本来の目的を十分果たせた。山としては、そんなに高くはないが、滑りやすい道だったり、補助ロープが少なかったりで、台北近郊登山の経験のある登山者向けだ。平日のこともあるが、今日は山中で誰ひとり登山者とは出会わなかった。

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