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稜線路から見る瑪陵尖、頂上に人がいる(マウスクリックで拡大) |
蘇力台風(日本では第七号)が、12日(金曜日)から13日の深夜に駆け足で台湾北部を通り過ぎた。日本では南西諸島でかなりの被害をもたらした台風だ。台湾も大きな災害が起きている。ただ、足が速く滞留時間が少なかったのは幸いだ。台風一過後は、晴天が来る。もともと週末は、この台風接近のニュースで、山登りは考えていなかった。しかし、土曜日の午後には天気が回復しはじめた。それならば、翌日14日は天気がよいはずだ。台風が過ぎた後は、山道も多かれ少なかれ当然影響を受ける。そこで、近場で低い山を選んだ。瑪陵尖は、台北から基隆に向かうとき左側にある低い山々のうち、標高231mの比較的目立つピークだ。あまり注目される山ではない。ただ、台北小百岳の初版にはその名を連ねていた。これを選んで登ることにした。
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七堵駅から往復する |
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単純な単独登頂 |
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七堵駅から北に瑪陵尖、南に姜子寮山を登る |
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台風で根こそぎ倒されたガジュマル、遠くは姜子寮山 |
台鉄七堵駅から歩き始める。七堵の市街を通り過ぎ基隆河を渡って、自強路を進む。帝君廟の看板に従い産業道路に入る。右に東北峰への道を分けたあと、玄牟堂の右にある民家脇から山道が始まる。台風で吹き落とされた蓮霧が沢山落ちている。沢に沿った道が山腹を登り始める。風邪で倒された竹、樹の枝、草が道を塞ぐ。地上にくまなく撒かれて落葉で、山道の踏跡がわからない。道を塞ぐ枝や竹を払い、或いはその下をくぐり登る。草をかき分け進む。稜線に取り付くと、景色が広がる。岩場をステンレスの桟橋や梯子でやり過ごす。正面に見える 瑪陵尖は、一度下ってまた登り返す。頂上は遮る草木がないので絶景を望める。下山は他のルートがあるが、台風の影響で道がどうなのかわからない。安全を取って往路を下り、七堵駅へ帰った。
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台風の風で落とされた蓮霧 |
今回は、前日に決めてTaipei Hiker Clubにお知らせしたにもかかわらず、六名の参加があった。自分も入れて七名のパーティだ。8時20分に七堵駅で集合、出発する。駅から出ると、空が青く晴れている。台風の影響か、心なしか涼しい感じだ。ただ、昼になってそれは間違っているのに気づくが。七堵市街を通り過ぎる。街を抜けると崇智橋を越す。数年前に再築されたアーチ橋は、面白い構造だ。橋を渡り振り返ると、向こうに基隆市の最高点
姜子寮山が座っている。自強路を進むにつれて台風の影響に気づく。風で吹き飛ばされた木の葉や天然の蓮霧の赤い実が道端に落ちている。ガジュマロの老樹が根こそぎ倒されている。駅から20数分で帝君廟看板がある産業道路の分岐に着き、ここを左に取り進む。産業道路わきにも、蓮霧がたくさん落ちている。メンバーが味見をしている。とても酸っぱいそうだ。
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道は倒れた竹などで遮られている |
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竹林の中を進む、竹が倒れ葉が道を隠す、踏跡がわからない |
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帽子にこびりついた蜘蛛の巣など |
右に瑪陵尖東北峰への道につながる産業道路を分け、少し進むと玄牟堂を見て終點となる。時刻は9時だ。右にある民家のわきに山道が始まる。沢沿いに柚子の果樹園わきを進む。柚子も台風の風で道に落ちている。10分ほど平な道を進むと、沢から離れ竹林の中を登り始める。竹の葉が沢山地面に落ちていて踏跡が分からない。竹も風でなぎ倒され道を塞ぐ。台風の影響は予想していたが、それよりかなり激しい。草むらも、風でなぎ倒され道を塞ぐ。手袋を取り出し備える。邪魔物を取り去り、或いは倒木を跨ぎ或いはくぐって登るのは、単純な登りよりかなり体力を消耗する。蜘蛛の巣もたくさあり、引っかかる。道を切り開いていくような作業だ。標識リボンも取り付いている枝が落ちていたり、あまり無く道がわかりにくい。登ること40分ほど、木陰の下で一休みする。
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急坂を登る |
10分ほどの休憩後、斜面を登る。樹木が少なく、遠くが望める。登り切ると稜線にたどり着く。稜線道も倒木が道を塞ぐ。右が開け、北側の展望がある。その先ステンレス製の桟橋と梯子がある。少しグラグラするが、岩場を迂回するのには助かる。その先もうひとつの梯子からは瑪陵尖が前方に望める。一度下り分岐へ着く。もともとここから大華二路へ下る道があったが、その後ゴミ処理場が建設され道はなくなったとのこと。頂上には木がないので、山名板が幹に取り付けられている。補助ロープのある岩場を登り切る。10時40分、遮るものの無い、展望台の瑪陵尖頂上(標高231m)に飛び出る。晴天のもと、陽射しが強く暑いが、展望は最高だ。
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稜線上も倒木で苦労する |
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帽子に乗っかった竹節虫、枝に脚が生えたかのようだ |
瑞芳三爪子坑山から、
五分山、姜子寮山、
四分尾山と続く山脈が全て望める。目を反対に移すと、第三高速道路の料金ゲートの向こうには、
五指山の山塊が控えている。その右は磺嘴山だ。左には大尖山、そして
七星山が五指山から少し頭を覗かせている。台北方向は101ビルが
南港山の右に顕著だ。基隆側も基隆嶼が海に浮かんでいる。
紅淡山やその奥には
基隆山、九份の山々が並んでいる。
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基隆から汐止までの大パノラマ(マウスクリックで拡大) |
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高速道路とその向こうに五指山山塊 |
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台北方向を望む |
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基隆嶼が望める |
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頂上三角点基石 |
頂上は暑いので、写真を写したあと休むこと無く下る。10分ほど下ったところで、風はあまり無いが、木陰なので休憩する。そのうち、十数名の登山パーティが登ってきて、我々の前を通り過ぎていく。20分ほどゆっくりと休憩し、登ってきた道を下る。先ほどのパーティが通り過ぎたので、踏み跡はすこし良くなっている。稜線から山腹を下る部分へ戻ってくる。二人の登山客が休んでいる。東北峰からやってきたそうだ。やはり道は草で塞がれ、鎌で草を刈ってやって来たということだ。12時2分、登山口に戻った。下りは50分の歩きだった。
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下り道も苦労する |
産業道路を下る。自強路からは、龍鳳山を登る予定であった。しかし、今日はみんな歩きにくい山道を歩き、とても暑くてこれから登る気がしない。そのまま七堵へ戻ることにする。足が重い。12時半、鉄道の街七堵を表す、汽車のモチーフがゲートポールにのっている七堵商圏へたどり着いた。市場近くのかき氷屋台で氷を食べる。今日は、ビールより氷の方がよい。駅への道の途中で、60年の老舗という、カレーうどんの店でうどんを食べる。日本のカレーうどんとは違うが、もともとはその流れだろう。豆腐を一緒にいれて食べるのは、独特だ。駅にもどり13時35分発の区間電車で台北に帰った。
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60年老舗のカレーうどん |
瑪陵尖は、台北から近い。しかし、それだけ単独であるので、あまり注目されない。以前は小百岳であったが、その後の改定で外された。とてもよい展望があるが、山道がもう一つというところで、外されたのか。今日の行程は、約6kmの道のりで、休憩込み4時間10分の歩きだ。登攀は累計357mである。もともとは、レベル3ぐらいの道だが、今日のような台風後であれば、レベル4だ。体力要求度ももともとはレベル2だが、これまた登りにくい台風後の道であれば3というところだろう。
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