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2015-09-13

2015年9月12日 台中鳶嘴-稍來縱走 初めての台中の山

鳶嘴山の下り道から稍來山方向を遠望する
今年になって登山活動対象地域を広げている。今まで訪れたのは台湾北部が中心であったが、今回は初めて中部への山行で、台中の山岳鳶嘴山と稍來山とを縦走した。台北から高速道路で約120kmぐらいにある台中市の北東に位置する山岳である。台湾は中央を横断する断層の北部と南部の大きな二つの主要山脈で構成されている。北側は雪山山脈であり、南側は中央山脈である。南北といっても、断層はきっちり東西に走っているのではなく斜めなので、谷を挟んで雪山山脈と中央山脈が平行している地域もある。今回の山々は、雪山山脈の最西南端に位置する。

西の27km登山口から登り、30.5km登山口に下りる
標高は高いが、登攀高度はそれほどでもない
台中というと結構遠い感じがするが、高速道路が発達した今ではそれほどでもない。高速道路を下りてそのまま登山口まで車でいけるので、思っていたより手頃である。途中のインターチェンジでメンバーをピックアップしたが、それでも往路は2時間40分であった。北横公路の宜蘭に近い山々と同じぐらいの所要時間である。登山口は標高1800mぐらいにある。鳶嘴山は標高2180m、稍來山は2308mで高度そのものはかなり高いが、登山口からの高度差はそれほどでもない。岩が露出する岩稜があるので、その部分は通過に時間を要するが、登山の苦労そのものは近郊登山と同じようなものだ。

台中の北東に位置する
鳶嘴山登山口
今回は長距離のため、早め6時にVさんの車で出発する。出発時は四名、第三号から第一号高速道路に移り、途中苗栗インターチェンジでもう一人のメンバーDさんをピックアップする。台中市街に到着する前に、四号高速に入り高速終点まで進む。東勢から中横公路から別れ、左に大雪山林道を登りはじめる。前方には、高い山々が見え始める。林道を進むこと約20分、8時15分に大棟派出所につく。ここで入山許可をとる。乙種なのでその場で氏名やその他を記入することでOKだ。ジグザグの道を登っていき、単車線の横嶺トンネルをくぐると鳶嘴山登山口である。時刻は8時44分、台北から約2時間40分である。
木板階段道が登っていく
稜線の分岐につく
休日の今日は、車が多く駐車してある。すでに山に登っている登山者はかなりの数のようだ。8時53分、大雪山林道わきの登山口から登り始める。ここは国家歩道なので、状態はすこぶる良い。ちょっと登ると涼亭がある。道は板を使った階段が続く。台風の影響だと思うが、根こそぎ倒れている樹もある。9時9分に稜線上の分岐に来る。左は横嶺山登山口へ続く。右にとり稜線を進む。春であれば石楠花がたくさん咲くようだ。石楠花の説明板が道わきにある。鳶嘴山歩道0.5kmのキロポストあたりから、大石が現れ始め坂も急になってくる。9時24分、展望台に着く。残念ながら周囲は霧で、遠望はできない。小休憩する。

大石の転がる急坂を登る
岩場の下部、行列ができている
大石のわきを通り進んでいく。9時35分、ふたつ目の涼亭に着く。台湾二葉松の説明板がある。確かに広葉樹の間に松がある。すこし緩やかな道を行き、坂が前方に現れる。登山者の行列ができている。ここから岩場が続くので、通過に時間がかかり行列となっている。行列の人数も多くここは待つしかない。行列が動き始め、岩場を登り始める。補助ロープがしっかり取り付けられ、木製梯子もある。足がかりが少ない場所は、鉄製足場が取り付けられている。これらが全くなければ、そこその岩稜歩きだがこれだけの補助があれば、問題ない。ただ、高度があるので、経験の少ない登山者はやはり怖そうだ。我々メンバーは、みな経験者なのでまったく問題なく登るが、前がつかえては進めない。

岩場の登りで振り返る
岩場を登る行列の登山者
10時、岩のわきにある1kmキロポストを過ぎる。霧が少し晴れて、周囲が少し見える。谷はかなり深い。谷底まで落差は数百メートルあるだろう。天気が良ければ雪山などが見えるようだが、ちょっと残念だ。10時30分、やっと鳶嘴山頂上に到着する。ここも登山者でいっぱいだ。太陽が出て少し暑い。ただ、遠くは霧の中で展望はやはり無い。20分ほどの休憩後、下り始める。前方には稍來山の大きな山容がある。少し行くと、また岩稜が現れ、登山者の行列ができている。一般的に下りのほうが、登りより難しい。足場探しで苦労している登山者もいる。慣れている登山者は、ロープに頼らず岩の上を軽々歩いて行く。我々も大人数のパーティーを追い抜いて下っていく。11時半、頂上から約1時間で岩場セクションを通過し、1.5kmキロポストをすぎる。さらに少し行くと分岐が有る。登山道は現在整備中ということで入口が塞がれている。この近くで休憩する。

鳶嘴山山頂のメンバー
下りの岩場もかなり急だ
稜線じょうから見る霧の鳶嘴山
山はすでに秋の気配が現れ始め、あまり暑くない。持ってきたアイスコーヒーやビールはちょっと冷たく感じる。もう、ホットコーヒーの時期になりつつある。10分ほどの休憩後、尾根道を進む。急登が現れ、補助ロープの岩場を登り切る。平らになった場所からは、振り返れば霧のなかに鳶嘴山の尖ったピークが見える。先ほど下ってきた岩場は確かに急だ。華山松の落ち葉がびっしりの尾根道は、小さな上り下りを行く。2kmキロポストの近くでは、幹にハンモックを掛けて二人昼寝をしている。12時6分、右に大雪山林道へ下る道を分岐する。更に少し下り、最低部から稍來山へ登りが始まる。岩のごろごろする道を過ぎ、補助ロープの急坂を登る。12時21分、少し平らになったところに、石を並べてテーブルや椅子ができている。ここで昼食休憩をとる。

登山道わきでハンモックを使い休む登山者
森の中の石を並べた椅子とテーブル
稍來山山頂のメンバー
十数分の休みのあと、稍來山を目指す。道は山腹を横切り、ゆるやかに登っていく。3kmキロポストを過ぎて数分、最後の急登が現れる。わずかの登りで、13時9分に稍來山の頂上に着く。高い展望鉄塔が建てられている。これだけの塔をここに建てるのは大変だ。流石に国家歩道というだけの事はある。二等三角点のある頂上周囲は樹木に覆われていて、展望はない。展望台に登るとこれら樹木の上にでる。しかし、今日は残念ながら霧で展望はない。これだけの立派な展望台なので、また天気の良い時に来たいものだ。最上の展望台は、木製の小屋になっているので、雨風を防ぐこともできる。展望台から下りて、しばし休憩する。わきの小屋に取り付けてある寒暖計は15度を示している。

鉄塔展望台内部
南峰への途中でみた樹木
13時36分、下山を開始する。歩道はゆるく下り、すぐ分岐にくる。左は主稜線を行く歩道、右は稍來山南峰をへて行く支稜線を行く道である。右を進む。こちらの道は、主稜線の道に比べると程度が落ちる。それでも不人気の近郊低山の道に比べればずっとよい。ここまでの途中で会話をした登山者は、南峰の登山道は迷いやすいと行っていたがそんな心配はない。尾根上は概ね下りだが、すこし登り返すところもある。13時57分、南峰に来る。森の中の頂上は森林三角点基石が植わっているだけで、表示も何もない。ちょっと休憩する。

南峰の森林三角点





登山道は、ここから方向を大きく西向きに換え、尾根上を下る。かなりの急坂も現れる。ちょっとした岩場には、補助ロープがある。勾配がゆるくなってきた後、14時30分また少し登りが現れる。2、3分ほどで急坂を登り返すと、森の中に石を利用した椅子テーブルがある。ここで休憩する。残りはわずかで林道の登山口なので、ここで残りの水以外の飲物などをすべて空にする。

急坂を下る



15分ほど休憩し、最後の下り坂を進む。木製階段が現れる。傾斜は結構急なので、この階段が作られたのだろう。かなり長く、これもやはり国家歩道の一部ならでは、ということだろう。15時5分、林道30.2kmの登山口に降りたつ。手前には駐車場もあり、車が泊めてある。右に出発点に向けて林道を歩き始める。少し進んだところで、後方から車が二台やって来て止まる。メンバーの一人Dさんが、昼間稜線上で知り合った登山者がちょうど車で来たので、便乗をお願いしたのだ。おかげで3キロほどの林道歩きをせずに車の駐車場所へもどれた。

階段の後半下り道
30.5km稍來山南峰登山口
今回は、約6時間20分の活動時間で、約5.5km(水平距離)をカバーしている。岩場での通過は、待ち時間も多く時間を要した。岩場は、事前にみた写真などではかなり大変かと思っていたが、台北近郊の岩場の山、例えば五寮尖にくらべて特に難しいということはない。標高が高いので、確かに高度感があるが、足元は同じである。初心者は戸惑うかもしれないが、普段山歩きをしている登山者であれば、問題なく歩ける。初めての山域で、周囲の山々が見えなかったのは残念である。困難度は登山道レベル3、体力もレベル3である。

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