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2015-09-07

2015年9月3日 礁溪三角崙山 宜蘭の小百岳を登る

産業道路から見る三角崙山、ちょうど木に隠れた奥の山頂
昨年秋に鴻子山を訪れてからご無沙汰していた宜蘭の山を訪れた。今回は、同じく礁溪の山三角崙山である。この山から西に烘爐地山へ稜線が続き、新北市との境界になっている。新北市側は、8月上旬の蘇迪勒台風によって大きな被害が発生した烏來区である。東に太平洋に面している蘭陽平野の縁に位置するこの山脈は、風の影響を大きく受ける。冬の北東季節風が吹きすさぶころは、雨が多く強い風のため、高い樹木が育たない。夏でも午後になると、霧が発生しやすい。太平洋からの湿気を含んだ風が山壁に当たり、そこで霧や雨になるからである。東山飄雨西山晴と言われるが、まさにそのとおりである。

五峰旗風景區から三角崙山を往復する
単一ピーク登山
もともと、今回の山行は三角崙山だけでなく、そこから稜線を縦走して五峰旗山へ歩くつもりであった。しかし、今回は暑さに負けてバテ気味に加え、あまり歩かれていない稜線上の道を五峰旗山へ一歩踏み出したところ、台風で吹き倒された倒木などで道もはっきりせず、前進を諦め往路を下った。山道は前半は車の通れる土の産業道路が通天橋の登山口まで続くが、途中3.5km強の場所は大きい山崩れが発生していた。崩れた斜面には踏跡があり、気をつけて歩けば通り抜けることができる。また、山崩れを避けた高巻きの臨時山道も設けられている。帰路は、この迂回路を歩いてみた。最後は、五峰旗瀑布区を通り過ぎ滝を見て帰った。

蘭陽平野から立ち上がる山脈に位置する
台湾好行バス五峰旗風景區バス停
宜蘭へは台北から鉄道以外に高速道路バスが複数路線往復しており、とても便利である。今回は、台北市府轉運站(乗換ターミナル駅)で落ち合い、三名で首都客運の首都之星1572番バスで向かう。7時発車のバスで出発、早朝であるので混雑もなく、スムースに進む。雪山隧道を抜けると、青い空が広がり山々もくっきり見える。7時45分に礁溪轉運站に到着する。乗換の台湾好行バスは8時半なので、ちょっと早く着きすぎた。1572番バスは20分おきに出るので、もう一つ遅い便でも十分だろう。礁溪轉運站内の待合室でしばらく待つ。8時30分前に外にでて台湾好行111番バスを待つ。このバスは長距離バスとは違い外で上下車する。8時35分にバスはやって来た。
得子口溪のわきを進む、遠くには烘爐地山方向が見える
産業道路を進む
111番バスは、山の中腹にある仏光大学へも行くので、通学の学生乗客もいる。バスは平日と休日の時刻表が違い、さらに五峰旗風景特定區に行かないバスもあるので注意が必要だ。10分ほどの乗車で五峰旗風景特定區バス停に到着。ここは駐車場でもある。支度をして8時50分過ぎ出発する。前方遠くには、烘爐地山付近と思われる稜線が見えている。工事中の建物わきを過ぎる。右に滝のある風景特定区への道が分岐する。我々はそのまま得子口溪のわきを直進する。聖母朝聖地と電柱に表示がある。そのわきにこの産業道路の0キロポストが立っている。

聖母朝聖地を上から見る
一水休息站
道脇に、この道路は2.5~3.8kmの間で土砂崩れで工事中のため、進入禁止とある。車では最後まで行けない。少し進むと道は勾配がきつくなる。つづら折りに進む道は、右から滝の風景区からの道を合わせる。二番目の風景区からの道との分岐を過ぎてすぐ、9時18分に聖母朝聖地の下にくる。道は聖地をぐるりと巻いて登っていく。曲がり込んで上から見ると、十字架の載る建物は、天壇を思わせる。眼下に蘭陽平野が広がる。更に登り、右に曲がり込むと聖地を後にする。

崖崩れ
崖崩れの斜面をトラバースする
9時35分、2kmの表示を過ぎ、そのすぐ先沢の水が道を越えて流れている。まもなく一水休憩所につく。地元の人と思われる数名がお茶を楽しんでいる。数分の休憩後、道路をさらに進む。移動トイレが脇にある車三台ぐらい止められる広場を過ぎる。さらにゆくと、2.5km表示のすぐ前右に保線路が分岐する。五峰旗山へ続く道だ。10時2分、土砂崩れの跡を過ぎる。ここはすでに土砂は取り除かれている。道路工事中の場所をすぎ、右に高巻き道が分岐する。そのまま進む。10時11分、3.5km表示を過ぎ数分進むと前方に、柵が設けられた大きな土砂崩れの場所に来る。確かに大きな規模で山が崩れている。観察すると、山崩れの斜面に踏み跡がある。確かに高度があるが、慎重に進めばOKだ。土砂崩れの向こう側に渡り、まもなく右から高巻き道が合流する。10時28分、通天橋の登山口に着く。ここで4kmの道のりだ。

涼亭から通天橋登山口を見る
沢沿いに進む、左に100mの距離表示
橋の左高台に涼亭がある。しばし休憩する。メンバーの一人Jさんは、今日は体調が悪いようで遅れている。追いついてくるのを待っていたが、電話で先に行ってくれということで10時40分に登山口から登り始める。入口左上部には聖母マリアの像がある。沢の右岸を道は進む。かなりの水量だ。道わきには100mごとに距離表示がある。聖母山荘まで1.6kmの道のりである。10分ほどの登りで右に巴唐古道を分ける。更にすすむと、道は沢から離れ斜面をつづら折りに登っていく。木製の仕切り階段は状態もよいが、風がなく暑さに閉口する。11時7分、路程700mの表示のすぐ先左に涼亭がある。先ほど追い抜いていった三名が休憩している。

700m表示と左に涼亭
道脇の水場
Zさんと二人の我々は、そのまま休まずに登る。つづら折りの道は更に続く。11時12分、沢の水を引いた水飲み場を過ぎる。このような設備まである、とても良い登山道だ。冷たい水で顔を洗う。1.3kmを過ぎる当たりから木々の背が低くなり、そのうち矢竹の間をゆくようになる。左には景色が開ける。先ほどの産業道路で同じぐらいに見えていた仏光大学の建物が、今は遥かに下方だ。11時35分、残りは僅かだが風が吹いているので休憩する。

登山道最後の100mは矢竹の中を進む
マリア像と筆者、背後は三角崙山
しばしの休憩後、山腹を行く道を登る。11時53分、登山道が終了し眼前に窪みになったところにマリア像とこのイタリア人宣教師の像がある。その前は大きな池だ。池の上方高台は、聖母峰と呼ばれコンクリによる展望台となっている。右奥には聖母山荘が見える。まず、聖母峰に登る。昼時になり、周囲は少しボンヤリとしてきたが、それでもまだ蘭陽平野が望める。左の稜線のくぼみにちょうど龜山島が見えている。右に続く尾根は、樹木はなく矢竹の草原である。これを進めば烘爐地山へと縦走できる。空も少し曇り気味、風もあるので展望台真ん中のキリスト十字架のわきに座り、昼飯をとる。ちょうど冷凍した氷がとけてビールがとても美味い。

聖母峰から望む、左は烘爐地山、谷を挟んで右は三角崙山
三角崙山、右の赤い屋根は聖母山荘
聖母山荘
12時半、すこし霧が出てきて三角崙山の頂上は見え隠れし始めている。展望台から下り、聖母山荘へ向かう。今日は五峰旗山への縦走はしないことにしたので、ここで更に休憩する。聖母山荘は、名前からすると宗教団体と関係があるように聞こえるが、台湾政府の林野局が建設管理する公共施設である。中に入ると聖母像などがあるが、綺麗にメンテされた小屋は誰でも利用できる。水もあるので、宿泊も可能だ。壁に取り付けられた温度計は27度を示している。

聖母山荘内部
補助ロープのある急坂を登る
12時58分、三角崙山頂上へ出発する。小屋のわきの道を登る。枝尾根上を少し進み、右の山腹に取り付いて巻いていく。霧が大分かかってきて、小屋や聖母峰は見え隠れする。その先平野のほうはもう見えない。10分ほどで主稜線の分岐に着く。右に行けば巴唐古道や五峰旗山へと続く。左に急坂を登る。ゆっくりと休憩したので、大分体力が回復できた。10分ほどの補助ロープもある急坂を登り切り、三角崙山東南峰を通り過ぎる。ここからは、緩やかな尾根上を進む。ここも倒木が行く手を遮る。約1ヶ月前の台風の影響がまだ残っている。左を望むと、烘爐地山への稜線を境に、東側は雲のなか、西側は晴れている。まさに東山飄雨西山晴である。13時25分、三角点基石の埋まる三角崙山山頂(標高1028m)に着く。空は曇ってしまったが、烏來桶后方面や、鸿子山方向の峰々は望める。

三角崙山山頂
三角崙山から北方向を望む
南方向を望む、山の東は霧だが西は晴れている
倒木などで道がわからない
小休憩のあと、往路を引き返す。急坂を下る時は、霧が前方を覆って見えない。14時、分岐へ戻ってくる。下山には巴唐古道を経て下るつもりで、尾根上の道を少し行く。僅か数分で、倒木で道が全くわからなくなってしまった。倒木を巻いても、その先に踏跡が見つからないのだ。この先も道の状態がわからないので、無理をせず往路の登山道を下ることにする。分岐へもどり下り始める。山腹を横切り尾根の道をゆくと、前方に登山者が一人いる。よくよく見ると、途中で先に下山すると言っていたJさんだ。結局諦めずに登ってきたのだ。一人で三角崙山へ行く、というので我々は先に聖母山荘へ下り、彼が戻ってくるのを待つことにする。もし、巴唐古道をへて下っていたら会うことがなかったろう。この山は、聖母像ができた経緯に、ここで迷った登山家が祈ったところ、聖母が現れ導いたという話がある。やはりそうしたことがJさんとの出会いにあるのかも。

霧の山道を下る
14時15分から待ち始め、約一時間でJさんは山荘に戻ってきた。15時26分、下山を開始する。周囲はすっかり霧の中だ。下るにつれて、霧が晴れてきた。登山道のキロポスト1.2kmぐらいからは遠くも見えるようになる。下りは気楽だ。一気に下りて16時5分、通天橋の登山口に着く。涼亭で小休憩し、道を進む。まもなく土砂崩れの巻道に来る。どのようなものか見るため、左にとって高巻きを進む。網状の袋に土を入れて造った、速成階段が続くがかなり急だ。まだかと思うほど、上りが続く。こんなに高く巻く必要があるのかと思う。十分ほどで最高点を通り過ぎる。高度差約80mを登っている。16時37分、約7分ほどで下りきり、産業道路に戻る。午前中も工事中だった部分を通り過ぎる。14時53分、一水休憩站に着き、小休憩をとる。この時間帯は、だれもいない。

豊富な水量の沢、登山道もすぐ終了だ
高巻き道入口
17時過ぎに残りの道を進む。10分ほどで聖母朝聖地の上に来る。道を回り込むと、前方に五峰旗の最上部分の滝が見える。かなり見事な滝だ。その少し先で、左に滝のある風景区への道を取って進む。第一層の滝への道が分岐するが、台風による被害で現在は通行止めになっている。更に進むと左奥に第二層の滝が現れる。かなりの水量で見応えのある滝だ。出口方面へ下る。沢の遠くに第三層の滝を見る。17時30分、風景区の入口に着く。台湾好行バスは、平日は16時過ぎで終了のため、出口付近で待っているタクシーに乗る。17時38分、礁溪轉運站に戻ってくる。タクシー料金は160元だ。17時50分発のバスで帰途についた。

見事な第二層滝

今回は、予定したルートは歩けなかったが、主目的の三角崙山へは登頂し、下山の際にも見事な滝を見ることが出来た。これはこれで十分来た甲斐がある。普通は、こうしたルートで来る登山者がほとんどだろう。歩行距離は約12.3km、今回はかなり長かった休憩を含め活動時間は約8時間半である。休憩時間は、そのうち3時間以上ある。標高差は950mほどあり、やはりそれなりの体力を要求される山である。ルートはレベル2、体力はレベル3だ。

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