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2016-03-31

2016年3月30日 半屏山水管路 岩壁を行くスリルあふれる新路線

岩壁を進む
金瓜石、九份近くの山々は岩肌をあらわにした山が多い。特に金瓜石の背後にそびえる半平山(半屏山)は、険しい岩稜が続きその険しさが顕著だ。海岸近くから取り付いて登る劍龍稜、鋸齒稜は、半平山の登攀ルートとしては難しい。今回のルートは、この岩尾根の下部、半平溪の谷間を行く道である。もともとは、水を麓に引くための鉄管を通すため、岩をくりぬきトンネルを掘った道である。また、岩壁を進むと、それとは別に半平瀑布近くから水を引くための塩ビパイプが岸壁にそって進む。そうしたことから、このルートは水管路と呼ばれている。

前方に草山をみて進む
この山道は、付近の山道がそうであるように、昨年ボランティアによって整理され開通したものである。水管路は、半平瀑布のところで終了し、その上は草山の山腹を進む廃棄産業道路へつながる瀑布稜路がこれまたボランティアの努力で通じている。この枝尾根は、山林投が密生し、そのままではほとんど歩行不可能だが、枝を切り分け道が続いている。これを実現するには、かなりの労力を要したと思われる。

海岸きわの台金公司から登り、金瓜石へ下る
山腹部分は、緩やかな登り
台金公司の出発点、背後に半平山
本来、水管路を歩いた後、産業道路から戦備道をへて、半平山頂上を過ぎそのまま岩稜を下って俯瞰稜を下る予定であった。しかし、水管路-瀑布稜で予定より多く時間を要したため、そのまま直接金瓜石へ下った。出発が8時半と少し遅いこともあるが、8時間を費やして16時過ぎに歩き終えた。大きな岩盤を渡っていくところは、補助ロープなどがなく、万一滑るとそのまま谷底に滑落する恐れもあり、慎重な歩きが必要だ。困難度は、台北近郊の山では一二を争うかもしれない。

劍龍稜への道を登る


今回は6名のパーティだ。台北7時半の自強号で瑞芳へ向かう。瑞芳からは、タクシーに分乗する。一人当たり100元である。8時40分過ぎ台金公司で下車する。すでに何度か訪れた場所だ。眼前の海は曇りで、水平線がすこしぼやけているが雨は降りそうもない。今日のような、ほとんど木の陰を期待できないコースでは、曇りのほうが適している。劍龍稜-鋸齒稜のコースがすっかり定着したので、壁には簡単に乗り越えられるように踏台の木もある。中に入ると、前方に半平山がそびえている。

半平溪の谷が眼前に現れる
トンネル入り口が現れる
支度をして出発する。すぐわきの沢を丸太橋で渡らず、そのまま右岸を進む。この踏跡も明確だ。廃棄されたオフィスビルの脇を通り、登り始める。この部分は、劍龍稜へのアプローチと同じである。廃棄ビルが小さく見えるようになり、9時20分劍龍稜の尾根鞍部に来る。右へ行けば劍龍稜だ。今回はここを直進し、下り始める。下ること三、四分、前方の視界が開け半平溪の谷が望める。対岸の稜線は、黃金七稜、その向こうに頭を出しているのは南雅山だ。樹木が少なく、ゴツゴツした荒涼な山並みである。

谷間を見渡すパノラマ
トンネル出口
道は思っていたよりはるかに状態がよい。昨年5月に開通してから、しばらくたっているのでかなりの登山者が歩いているのだろう。道は人が歩いて初めて道である。山の斜面を行く道は、大きな岩盤の脇を通る。三人のパーティと出会う。その先、切り立ったところを通り過ぎる。このような道は、花蓮太魯閣の錐麓古道と似ているので、ここは通称小錐麓と称されている。ほどなく岩をくり抜いたトンネルが現れる。このトンネルは、進むほど背が低くなり反対側の出口は土砂で埋まったためなのか、這っていかなければ出られない。リュックサックをおろし、やっとの思いで出口まで進む。

大鬼瀑布が下方に見える
出口からも、また垂直の壁脇に作られた細い道を進む。下方谷底に大鬼瀑布が見える。山襞にそって道を進んでいく。道の左側は切り立った崖だ。前方の谷の奥には草山が見えてくる。9時50分、左に谷底に降りていく道との分岐に来る。去年11月の新しい藍天隊の道標がついている。補助ロープもある急坂を下り、谷に降りる。その先左岸を少し進むと滝の前にくる。ただ、前方の岩が邪魔をして全体は見渡せない。ほとんど樹木のない、岩の沢は台北近郊の山では特異な存在だ。ここでしばし休憩する。

切り立った岸壁沿いに道は進む、小錐麓と呼ばれる由縁だ
小鬼瀑布へ下る
沢に下る
草山を前方にみて岩壁をトラバースする
急坂をのぼり高度をかせぐ
往路を登り返し、山腹の道へ戻る。ここから先は、それまでに比べると明らかに道の状態が悪くなる。多くの登山者は、滝をみてそのまま引き返しているようだ。我々は沢沿いに最後まで進む。大きな岩盤の部分には、幸いロープが取り付けてある。約10分ほど、緩やかな坂を進んだ後、急勾配の坂を登っていく。10時54分、我々と前後して進んでいた三人パーティが休んでいる場所で、我々も休憩する。標高差150mぐらいの急坂中間地点だ。曇りなので、木陰がなくても暑くない。

急坂をさらに行く
大きな岩盤を渡っていく
谷間のパノラマ
塩ビパイプにそって進む
更に急坂を登り、道は再び山腹を緩やかに登る。大きな岩壁が次々と現れ、緊張して渡っていく。勾配はそれほど大きくないが、滑落すればそのまま谷底へ落ちていくおそれが大きい。幸い岩は乾き、ホールドもそこそこあるので慎重に進めば大丈夫だ。12時、小さなトンネルが現れる。そこから水道の塩ビパイプが伸びている。これが、反対側まで続く水道用のトンネルのようだ。ここからは、上流から水を引くためにパイプが山腹にそって伸びている。我々もそれにそって進んでいく。また岩盤部分をいくつか通り過ぎる。注意深く岩を渡っていく。突出した大岩を回り込み行くと、灌木が現れその中を進む。少し下り気味になり、谷に近づいていく。12時36分、左に半平瀑布の上部を見ると、すぐ前方に砂防ダムが現れる。数名の登山者がそこで昼食をとっている。我々も休憩をとる。

半平瀑布上部の砂防ダム上から谷間を望む
筆者とポール・リーさん
昼食をとっているパーティの一人は、この山道を切り開いたメンバーの一人、ポール・リーさんだ。彼のパーティーは、すでに劍龍稜-鋸齒稜から半平山を登り、下ってきたそうだ。早めに出発したのだろうが、それにしても足が速い。昼食後、空身で半平瀑布の滝上部へ下っていく。この滝は落差がかなり大きいようで、下は見えない。砂防ダムまで登り返し、13時25分リュックを担いで登り始める。我々の前方を進んでいた三名は、まだ休憩中だ。

滝上部
瀑布稜に取り付き登る
林投の間を苦労して登る
沢にそって進み、三分ほどで瀑布稜の下部に来る。ここからこの枝尾根に取り付いて登っていく。道は急坂が続く。尾根上には枝が四方にうねって生える山林投が密生している。いくつか小ピークを越えていく。林投が密生しているところは、ボランティアが切り開いてくれているが、それでも多すぎて全部は無理なので、枝を足場にして登る。ふかふかして登りにくい。ただでさえ急坂なうえ、太陽も顔を出し、林投の道は実につらい。14時8分、尾根から右に山腹に取り付き登っていく。最後に急坂を登り切り、14時23分廃棄産業道路に出る。瀑布稜の登りは約1時間であった。

草がきれいに刈られた廃棄産業道路を行く







廃棄産業道路は以前通り過ぎているが、草が刈られてとても良い状態になっている。14時37分、戰備道に合流する。少し登り気味になる。途中で休憩し、戰備道をさらに進む。道からは半平山頂上と、今登ってきた半平溪の谷と瀑布稜が見える。15時13分、半平山登山道の分岐に来る。本来、ここから半平山頂上へ登り、その後さらに岩尾根を進んで俯瞰稜を下る予定であった。しかし、予定より約2時間ほど遅く、時間的に厳しいこともあり今回は、このまま下山することにする。

戰備道からの眺め、谷の左は半平山、谷の右に登ってきた瀑布稜が見える
石段道を金瓜石へ下る
戰備道を下りはじめ、左に燦光寮古道を分ける。15時27分、右に黄金神社や黄金博物館へ続く道に入る。ここからは、石畳の良い道だ。天気は晴れて、下方も見渡せる。急坂なので、高度もぐんぐん下がる。途中少し休憩し、16時11分、黄金神社跡につく。黄金博物館脇を通り、16時43分金瓜石のバス停に着いた。

黄金神社跡に立ち寄る



半平山水管路と称される、谷沿いに山腹斜面を進む道は大きな岩の斜面をトラバースするところが多々現れる。岩は乾いていればそれなりのフリクションがあり、またホールドもあるので、岩登りの基本があれば難しくない。ただ、普通の登山道ではないので、ここは経験者向けだ。ボランティアが補助ロープなどを将来かける可能性もあるが、現状ではだれにでも進められるルートではない。難易度は、ルート5(最高度)、体力的にはクラス3だ。さらに瀑布稜をいれれば体力的にはクラス4というべきだ。夏の暑い時期や、雨の多い冬や避けたほうがよい。小鬼瀑布への往復だけであれば、困難度はクラス3だ。歩行距離約10㎞、休憩込みの活動時間8時間であった。

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