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2016-05-27

2016年5月23日~25日 南投杉林溪水漾森林 台湾の大正池

早朝の水漾森林
いきなり日本のことになるが、上高地の大正池をご存じだろうか。その名の通り大正四年(1915年)に梓川がせき止められ出現した湖である。立枯れの木々が幻想的な雰囲気を醸し出している。すでに100年が過ぎ、立ち枯れの木々は少ない。これと同様に立枯れの木々が多く残る湖が台湾中部にある。今回訪れた水漾森林だ。大正池は焼岳の噴火による土砂で埋まり、一方水漾森林は、921大地震(1999年)による土砂崩れで出現した。その形成原因は少し異なるが、同じく川が堰き止められ、森が湖になってしまったことは同様である。形成されてからまだ十数年、多くの立枯れ樹木が水の中に残っている。古い写真でしか見たことのない、大正池の初期のような風景がそこにある。
鹿屈山-鹿屈山前峰の稜線上の杉林と切り株
大正池は、上高地の入口に近く位置し、車で行ける。水漾森林は、片道六時間をかけ自分の足で山を越えていかなければならない。標高2000mを超える中級山の山行で、はじめて望むことができる。日帰り往復も可能だが、一般的には自分でテントを担ぎ自炊の一泊で訪れる。筆者も、同様に十数キロの荷物を担ぎ往復した。登山口は、杉林溪公園のなかの仁亭わきにある。正式名称は、杉林溪森林生態渡假園區と呼ばれるこの公園は、観光地南投縣鹿谷溪頭のさらに奥にいったところにある。杉林に囲まれた谷間には、見ごたえのある滝や豊富な自然があり、遊歩道が設けられた避暑地でもある。

往路は赤の稜線道、復路は青の林道経由
左が往路稜線道、右が復路林道コース、
台北から車で行けば、一泊でも可能だが、今回は余裕を持ち前日は杉林溪に一泊、翌朝出発した。水漾森林へは、仁亭わきから始まる林道をずっと行き、最後にきつい坂を上り、峠から下って行くルートと、途中林道の上部にある鹿屈山前峰 - 鹿屈山の稜線を経ていくルートの二つがある。後者は、稜線を行くので当然トータルでの上り下りは多い。今回は登りには稜線道を、下りには林道を経て往復した。この地域は雨が多い。今回も初日は午後から夜まで雨に見舞われた。道もぬかるみがとても多く、長靴で行くことをお勧めする。雨に降られることを最初から覚悟していくことも必要だ。

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第一日 5月24日

仁亭登山口から出発、鹿屈山稜線経由で水漾森林へ行く
二つ主要なピークを越えていく
仁亭、この左側に土の道がスタートする
今回は、二人での山行だ。テントや食事の材料などは、分担して担ぐ。昨晩杉林溪会館に宿泊後、8時5分過ぎの公園内回遊バス(遊園車)でスタートする。登山口の仁亭には、8時15分に到着。涼亭からは右に林道、左に土の山道が始まる。今回は左の土の道を進む。荷物が重いが、いきなり急坂で始まる。この山道は、ジグザグに進む林道を横切っていく近道だ。三度目に林道に合流し、しばらく左に林道を進む。8時45分、また近道の山道入口にくる。この登りは20分ほど続き、林道と合流するとまもなく鹿屈山への道が分岐する。

急坂の近道を登る


9時に木はしごで始まる鹿屈山への道を登り始める。昨日と打って変わってきょうは青空が広がっている。日差しが森を通して差し込み、期待が膨らむ。雑木林の中の急坂を進み、ちょっと平たい場所にくる。9時20分、二度目の休憩をとる。道はよく歩かれていて、重荷でも大丈夫だ。ところどころロープセクションもある。松葉が落ちる道になる。樹相が変わってきた。9時28分、左がきれて展望ができる場所に来る。もともと、鹿屈山前峰付近を除いて、ほとんど展望のない道だ。しかし、ガスがかかってきて、遠くまでは見えない。

左が林道、右に鹿屈山への道が分岐する
片側が崖で切れたった場所から遠くを見る
鹿屈山前峰山頂
基石は脇の藪のなかにある
急な登りをさらに行く。坂が緩やかになってきて10時13分、広い鹿屈山前峰山頂に到着する。標高2213m、登山口から標高差約600mである。歩き始めて約2時間、いいペースだ。広い頂上には、基石がないように見えるが、実は西側奥の藪の中にある。しばらく休憩し、次に備える。10時28分、緩やかで広い稜線を、次の目標鹿屈山へ向けて歩き始める。稜線の両側は、樹木が少なく展望ができる。西方向には、本来遠くまで見えるのだろうが、雲海のため下方は見えない。このセクションは、気分がよい。緩やかな登り下りが20分ほど続き、急坂が始まる。

広くて見晴らしのある鹿屈山前峰付近の稜線
鹿屈山へはまだ遠い
山道脇の花
下り始めると、前方に鹿屈山から獅仔頭山への稜線が続いている。鹿屈山はまだけっこう遠い。補助ロープもある急坂を過ぎ、11時最低鞍部にたどり着く。ここから道は左へ方向を変え進む。緩やかな山腹の道から、数分で気持ちのよい広い稜線にでる。この辺は、以前伐採が行われた場所で、当時の大木の株がそこここに残っている。若い杉の木は、残っている株に比べるとまだ細い。11時27分、たき火の跡がある場所で休憩する。

シダの間を進む、分岐はすぐだ
鹿屈山山頂の筆者
数分の休憩後、緩やかな上り坂を登り始める。そのうち杉林からでて、シダ類の間を進む。稜線幅も細くなり、坂も急になる。最後に坂を上り切ると、11時45分分岐に到着する。少しひろい分岐には、若い三人の登山者が休憩している。ちょうど食事をとったところのようだ。話によると6時半ごろから仁亭登山口よりスタートしたということだ。我々も荷物をおろし、空身で鹿屈山を往復する。体が軽く、道標には5分とあるが3分ほどであっけなく山頂に着く。草や樹木に覆われた山頂(標高2288m)は、展望はない。真ん中に三頭三角点があるのみだ。

食事をとった分岐部
霧の中の廃棄林業作業者宿舎
頂上にそこそこで往路を引き返す。12時我々もここ分岐部で食事をする。先ほどの三人は、まだ頂上へ行っていないということで、頂上へ向かっていった。20分ほどの食事をとる。食事が終わるころには、雨がぽつぽつ降ってきた。三人は我々と同じく水漾森林へ下る。我々より少し前に下り始めた。雨具と取り付け、すぐに追って下り始め、追い越して下っていく。霧がだんだん濃くなってきた。急な坂も現れる。12時33分、レンガ造りの小屋がぽつんと森の中にある。屋根は朽ち落ちてないが、以前林業が盛んな頃の建物だ。ちょっと登り返しもすぎ、12時47分広い場所に降り立つ。前方に先ほどより大きなレンガの建物がある。林業時代の宿舎だ。更に15分ほど、濃霧の森を下り13時2分、林道コースとの分岐点に着く。のこりは、ここから標高差200数十メートル下の水漾森林(標高約1800m)へ下るだけだ。

林道ルートとの分岐部
平らな林道を行く、倒木が落ちている
パートナーはちょっと疲れ気味だ。しばらくほぼ平らな林道を進む。道幅も広く快適だ。廃棄されて時間が建っているので、倒木もある。ただ、それほど土砂崩れの場所はない。盗伐禁止のポスターが掛かっている。言語は英語やタイ語など、出稼ぎ外国人の盗伐者がいるようでそれに対する対応だ。現在は、林業そのものは日本と同じでコストのため、行われていない。20分ほどの林道歩きが終わり、坂が始まる。はじめは緩やかだが、そのうち勾配がきつくなる。雨脚も強くなってきた。途中、岩の露出した場所を過ぎる。水が流れ落ちていく。慎重にくだる。14時11分、千人洞への分岐に来る。水漾森林へは左だ。14時18分、前方が開け湖面に多くの立枯れがある。水漾森林についた。登山口から約6時間の歩きであった。

霧に沈む水漾森林





着いたすぐの場所も設営できるが、その少し上流のほうに進み、水辺の脇でテントを張る。雨のなかなので、急いで作業する。近くにはロープが張られ、捨てられた寝袋がある。これを利用させてもらい、即席の雨宿りを造る。その下で食事の用意をする。水は脇の沢からとればよい。ただ、ここを訪れる登山者は多く、すべて自炊なので水の栄養分がいいためだろう。水藻が川底に生えている。生水は飲まないほうがよいだろう。一時小降りになり期待したが、食事ができるころにはまたけっこう降り出した。17時ごろ食事をとり、暗くなることろにはテントに入る。外はずっと雨が降り続いている。

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第二日 5月25日

復路は上り下りが少ない林道コースをへて帰る
初めの登りを過ぎれば、あとは基本下りだ
雨が上がって天気が回復している
昨晩は、ずっとテントに落ちる雨音が、すぐわきの沢音に交じり聞こえていた。まんじりともせず夜を過ごし、5時天気が悪くても下山だと、覚悟を決めて外を見ると、幸い雨は止んでいる。霧はかなりまだあるが、それでも雨がやんでいるのはラッキーだ。パートナーは食事を支度をしてくれている。自分は、カメラをもって湖の写真を撮る。昨日鹿屈山近くで出会った三人は、入口近くにテントを張っている。時々霧がかかる立枯れの湖は幻想的だ。片道六時間の重荷を担いでの訪問は、このためにある。

8時ごろの湖
沢底には水藻
食事の用意をしている間に、ヘリコプターの音が聞こえる。後日知ったのだが、同じく南投県にある3000m級高山甘卓萬山の遭難捜索のためのものであった。朝食を終え、テントを撤収し8時にスタートする。入口近くのところで、三人と少し話したり写真を写し、歩き始める。尾根上の分岐に上がり、急坂を右に登り始める。杉の根が蜘蛛の巣のように露出した坂をひたすら登る。始めは勾配が緩いが、そのうちに尾根の形状がはっきりし、同時に岩の部分が現れる。昨日下りの時は、雨水が流れていた部分だ。慎重に登っていく。9時に休憩をとる。この場所の右に、道が入っていく。これを行くと下方に水漾森林が見える。霧が去来し全体が見えないのが残念だ。

水漾森林の入口部、三人パーティはここで設営していた
岩場部分を登る
霧の間に立枯れの樹が見え隠れする
道幅いっぱいのぬかるみ、このような場所が多い
日差しが差し込む林道、昨日は様変わりだ
林道でもそうだが、道はぬかるみがとても多い。道幅いっぱいにぬかっているので、登山靴だとすっぽりはまり、泥だらけになる。長靴を勧める所詮だ。休憩場所から十数分登り、平らな林道の末端に着く。パートナーは足が靴にすれてつらいという。林道には、光が差し込み、昨日の霧の様子とは別世界だ。9時40分、鹿屈山への分岐に来る。ここからは、昨日は別のルートを歩く。峠部分を過ぎてまもなく、急坂が現れる。高度差100mぐらいだが、補助ロープや鎖が設けられている胸突き坂だ。荷が重いので、慎重に下る。10時に林道に降り立つ。

急坂の下から見上げる



これから約7㎞の林道歩きである。林道といっても、すでに木材搬出はなく廃棄されたものだ。昨日歩いた稜線の東側山腹を横切っていく。メンテナンスはされていないので、ところどころ土砂崩れで道が流されている。そうしたところは高巻いていくが、去年の清水大山の林道にくらべればずっとましだ。20数分歩くと、そうした高まき部分でやってくる数名のパーティとすれ違う。所持物から判断すると、水漾森林ではなく鹿屈山への日帰り登山のようだ。かなり早く仁亭登山口を出発したのだろう。その先少し行った平たい場所で、休憩する。道は高巻き部分を除いて、ほぼ平らだ。

林道終点部、左の樹に外国語の盗伐禁止ポスターがある、坂は右だ
トタン張りの廃棄作業小屋
歩き始めてまもなく、10時48分に廃棄されたトタン張りの作業小屋を通り過ぎる。この地点でほぼ林道の仁亭側鹿屈山分岐部までの中間位置になる。帰りのバスに間に合うには、十分の余裕だ。更に進む。枝尾根を大きく回り込んだところで11時27分に休憩する。ちょっと早いが昼食休憩だ。昨日は雨で飲まなかったビールを開ける。まだけっこう冷えてうまい。

林道の原型が残る場所を行く
深い轍が残っている
30分ほどゆっくり休憩後、歩き始める。十数分の平らな道が続き、そこから坂が始まる。下っていき、また道が平らになる。12時39分、左に高い滝がある。渇水期だと水はないそうだ。その少し先で、車の轍がある。一般車両は通行禁止だが、作業用車両もここまでだ。ぬかるみが多い。向こうからカジュアルウェアの青年四人がやってくる。見るところ出前ピザと水筒の水一本、水漾森林へ行くという。その地点からだと、いかに軽装でも少なくとも3,4時間はかかる。ましてすでに時刻は昼を回り、帰りは日暮れ後だ。電灯もない。行かないように勧めるが、そのまま歩いて行った。おそらく、道が悪く諦めて引き返したのではないかと思う。

地元の花台灣蝴蝶戲珠花が咲く林道を行く、残りわずかだ
杉林溪會館に戻ってきた
13時、昨日右に鹿屈山への稜線を進んだ分岐に戻ってくる。少し休憩する。残りはあとわずかだ。休憩後は、近道ではなく林道を下る。荷物が重いので、少し距離はあるが下りなのでこちらのほうがよい。13時33分、仁亭の登山口にたどりつく。ここからバス停のある杉林溪會館までは少しあるが、歩いていく。遊楽客が写真を撮ったり散歩している道だ。14時3分、杉林溪會館に到着し、二日の行程を終了する。約6時間の道のりであった。バスは13時50分の後は16時半まで待たなければならない。服装を着替えたりして、ゆっくりと待ち時刻通りに6871番バスで3時間をかけて台中駅に帰った。

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5月23日 杉林溪園區散歩

今回の登山は、二日だけだが前日に入り一泊した。昼過ぎに到着したので、園区内を散歩した。一番奥の天地眼から杉林溪會館の石井磯まで歩いた。二、三か所は見れていないが、ほぼ全部を見たことになる。道はしっかり整備され、美しい景色を気軽に楽しめる。ここはまさに観光地だ。もし行く場合は、起点杉林溪會館から終点松瀧岩瀑布まで回遊バスで行き、そこから歩き始めるとよい。樂山步道や穿林棧道など、とてもよい道が続いている。この記事は、水漾森林についてなので、杉林溪園區については写真でご紹介する。

松瀧岩瀑布
脇の洞窟から滝を見る
先民隧道
千古紅檜
天地眼
蝴蝶戲珠花
樂山步道
アジサイ
穿林棧道
仙人台から沢を望む
石井磯を上部から見る、下は88吊橋
石井磯を近くから見る

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