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三方向山から横山(中央の一番奥の山)からの稜線を望む、左奥は鶯子嶺 |
新北市雙溪區の泰平地区は、台北からそれほど遠いわけではないが、交通が不便でなおかつ一年を通して雨の日が多く、人口も多くない。それが幸いしてか、今でも多くの自然を擁し、美しい古道が多く残っている。筆者のお気に入りの場所の一つだ。訪れる人が少ないススキや矢竹の稜線は、草を刈っても半年もすればまた伸びて道筋を塞ぐ。つまりは、苦労が多い山登りである。しかし、ボランティア藍天隊による草刈や道の整備が、最近何度かこの地区で続けて行われ、道の状態がよくなった。藍天隊によれば、状態が良いのは三か月という。この機会を利用して、また訪れた。
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西の壽山宮から北の蘭平千里まで歩く |
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歩行高度 |
今回訪問の
横山や
三方向山は、過去それぞれ別々に訪れている。この二つの山は稜線でつながり、
以前縦走を試みた。ところがビッシリ生えたススキの草むらに妨げられ、途中630鞍部まで行き、その先をあきらめて下山した。そうしたこともあるので、今回はぜひとも縦走を果たしたい。更に、メンテされた道も一緒にあるきたい。そんなことで、今回は壽山宮から稜線に上がり、横山と三方向山を縦走した後、竿蓁坑古道を経て破子寮山を登り、さらに古道を蘭平千里へと歩いた。
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台湾東北部、宜蘭との境界近く |
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霧の中の壽山宮 |
雙溪区太平に入るのは
一昨年の秋に烏山古道を訪れて以来だ。その時は、横山直下の谷を歩いた。4年前に初めてこの地を訪れた時は、一人で灣潭へ通う新北市の無料コミュニティーバスを利用していた。しかし、その後運行ダイヤが変わり、それでは遅い。今日は、パーティメンバーも四人でちょうどタクシー一台分だ。台北6時25分の自強号急行で7時24分に雙溪駅に到着する。駅前に泊まっていたタクシーで、雙泰產業道路を壽山宮へ向かう。登山者を結構載せているタクシーのようで、一人当たり120元という。
辭職嶺のある山の上では晴れ間があったが、虎豹潭のある泰平に入ってくると濃霧が谷を埋めている。7時57分、壽山宮につく。
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下草が道を覆う壽山宮稜の山道 |
支度をし、8時5分歩き始める。登山道は、廟の建物の左脇から始まる。入口にマーカーリボンがある。山腹を行くとステンレス水槽タンクがあるが、そこから道がない。そこで右に山腹を登っていくと、道があった。ここからが壽山宮稜の道だ。泰平の地形は、緩やかな斜面だが、この稜線道も勾配はそれほどきつくない。ただ、2016年5月に道が整理された後、やはりこの地の道の習いで訪れる登山客が少ないためだろう、道筋はかなり不明瞭で、倒木なども多い。一時間ほど歩き、休憩をとる。寒波が訪れているため、気温は14℃と低いが、歩いて汗が出てきたので上着を取る。
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豎旗山の方向を望む |
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矢竹を藪漕ぎして通る |
木々がまばらなので、木々を通して周囲の山々が見える。足元の草はかなり深く、道すじを覆い隠す。幸いマーカーリボンが多いので、方向を見誤ることは少ない。9時35分、道標を見る。左に谷を挟んで同じぐらいの高さに豎旗山の山並みがある。高度もだいぶ上がってきた。9時54分、猴洞坑古道との分岐に着く。左に古道が下がっていく。この道も、最近藍天隊が整理した。更に稜線を行くと、右に三分二山が見える。稜線道は、矢竹の中に続く。背丈ほどある矢竹が密生し、藪漕ぎを余儀なくされる。十数分ほど矢竹の藪漕ぎをして進む。今度はススキの草藪に換りさらに藪漕ぎが続く。11時16分、竹子山古道の峠部分に着き、ホッとする。
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横山(後ろの山頂)が見えた、ススキの藪漕ぎが続く |
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竹子山古道の峠、先の道はしっかり草刈されている |
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草刈された稜線道を行く、前方に横山 |
ここから道は俄然よくなる。最近藍天隊のメンテが行われたばかりの場所だ。過去三回歩いた中で、最良の状態だ。しっかり草が刈られた道は、実に歩きやすい。前方に横山の頂上が見え始め、右には谷を挟んで
七兄弟山から窖寮山への稜線が続く。10時10分、分岐を通過する。ここは最近開かれた道の分岐だ。稜線を追って行き10時39分、横山山頂(標高
714m)に着く。今日の最高点だ。
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横山山頂の筆者 |
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630鞍部 |
横山から少し行き、左に虎豹潭への道を分岐する。今日は曇りだが、時々陽が雲間から顔を出す。道は稜線上から離れ、左側の山腹を進んでいく。以前は、道筋も定かでなかったが、最近多く歩かれているので、実に明瞭だ。11時19分、630鞍部に来る。ここは4年前に三方向山への縦走をあきらめて左に谷へ下った場所だ。その下り道も良くなかったが、今はしっかり歩かれているようだ。右は烏山古道への道があるが、こちらは草に埋もれている。行くとしたら、かなりの覚悟が必要だ。
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横山方向を振り返る |
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稜線左の山腹を行く |
ここからは、初めて歩くセクションだ。おおむね稜線の左山腹を進む。ところどころ稜線に上がると、先ほど歩いた横山などが見える。その左遠くは
鶯仔嶺などの山々だ。また前方には、三方向山も見え始める。11時51分、左から道を合わせる。山豬阱と表示のある分岐だ。すぐわきに深い穴がある。本当にイノシシをとらえるための罠なのだろうか。この左からの道も新しいものだ。更に稜線道を進む。12時7分、左から道を合わせる。三方向山山頂(標高620m)は、目と鼻の先だ。山頂からは、360度の展望が可能だ。大溪川の河口付近の右向むこう、七兄弟山稜線の先に龜山島が少しかすんで見える。左には、
桃源谷の山々が近い。ここは、実によい展望台だ。風を避けて、頂上すぐ近くの草の間で昼食をとる。
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三方向山山頂、背後に七兄弟山 |
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竿蓁坑古道へ下る |
12時40分、竿蓁坑古道へむけて下り始める。数分で、左に三方向古道の分岐を過ぎる。以前この道から登ってきた。右にとり稜線を追っていく。更に数分で、右に尪仔嶺への分岐を分ける。道はしばらく小さな登り下りが続く。この道はすでに竿蓁坑古道の一部だ。13時14分、丁蘭山への稜線道を分け、左に山を下っていく。10分ほどで、道は沢のわきに降りる。道幅が広がり、棚田跡が続く。この地区の古道は美しい。沢を三回ほど渡る。少し登り、13時37分、舗装された産業道路に出る。休憩する。
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竿蓁坑古道を行く |
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沢を渡る |
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産業道路にでて休憩する |
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破子寮山山頂 |
産業道路を右に少し進む。左に破子寮山への入口がある。急坂を数分登り、13時57分破子寮山(標高546m)に着く。周囲は樹木で展望がない。往路を引き返す。14時08分、登山口に戻る。産業道路をさらに進む。右に破子寮山東峰への入り口をみて、道は下り始める。途中分岐は、右に曲がって下っていく。さらに右に道をわけるがここは直進だ。簡単な木の柵を過ぎる。道が大きく曲がるところで、蘭平千里への道が始まる。下方の人家の犬が、かなり距離があるが我々に気づいてしきりに吠えている。
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舗装路を下り、前方に丸太の柵 |
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つい最近の藍天隊道標 |
ここも最近整理された道だ。山腹を進んでいく。14時28分、左に道を分ける。道標によれば、ここまでも竿蓁坑古道ということだ。本来の古道の途中部分が舗装路になった、ということだろう。左に折れる道も竿蓁坑古道だ。右に山道を進む。小さな登り下りが続く。14時42分、左に土地公の石祠があることを示している道標がある。少し行ってみる。100年前の石祠がある。以前この地で耕作していたころの名残だそうだ。しかし、古道でもないこの場所に土地公があるのはちょっと不思議だ。
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土地公の石祠 |
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最後の急坂を行く |
稜線の道は、かなり急な登り下りが現れる。杉人工林も現れる。稜線を追っていき、最後にちょっと大きく登ったあと下って行くと、左に雙泰產業道路が見える。少し平行に進み、15時30分、産業道路に降り立つ。舗装路を少し進み、15時38分蘭平千里の展望台下に着く。歩きはこれで終わりだ。
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雙泰產業道路に降りる |
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蘭平千里の石碑 |
予定では、ここからF815番新北市コミュニティーバスで帰るつもりであったが、やってくるまでは2時間ほどある。寒い中で待つのは大変だ。そうこうしているうちに、タクシーがやってきた。この山道で、タクシーを捕まえるなど、普通はない。ラッキーである。雙溪駅へ向かう途中、車上で話をきいたところ運転手はこの地出身で、まだここに住む両親を訪ねた帰りだそうだ。一人当たり50元で駅に戻る。16時15分駅に着くと、16時19分に区間電車がある。早速プラットフォームに出て、時間通りやってきたガラガラの電車で帰京した。
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タクシーで雙溪駅にもどった |
最近の藍天隊奉仕作業のおかげで、もともと草深い山を歩くことができた。感謝したい。谷間や峠越えの古道は、そこそこ問題ないが今回のような稜線道は、草が伸びてしまうと歩くのはとても大変だ。今回の稜線道も、また草深い状態に帰っていくのだろう。歩けたことは幸せだ。約12㎞の水平移動距離、登攀は累計で680m、休憩込み行動時間約7時間半だ。今の状態であれば、クラス3だが、訪問者が少なく草がまた茂ってしまうと、クラスは4である。壽山宮稜は現状ですでにクラス4、地図が読める経験者向けだ。
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