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2019-12-15

2019年12月14日 北宜公路舊道 淡蘭古道南路の一部を歩く

北宜公路舊道を行くメンバー
最近注目されている、台北と台湾島東側の宜蘭との間を山を越えてつなぐ昔の街道、淡蘭古道は、官制道路や民間が開いた道を含め、大きく北側から北路、中路、南路の三系統にまとめられている。地方政府の肝いりで道の整備が行われているが、まだ具体的な工事が始まっていない部分もある。今回歩いた、南路の一部になる坪林から頭城までの間の道は、台九号線北宜公路に並行している。北宜公路舊道あるいは四堵古道と称されている。本当の古道の姿を維持しているのは、峠越えの石牌公園から坪林までの間の中間地点碧湖の石牌公園側の部分である。碧湖の坪林側の部分は、今回は北宜公路と大林自行車道を歩いた。この部分の本来の古道はどうだったのか、もう一つわからない。他の自動車道がそうであるように、北宜公路もともとの狭い道が拡張されたのかもしれない。ちなみに石牌公園からは、淡蘭古道南路は跑馬古道として宜蘭礁溪へと続く。

南側から北へと歩く
下りメインの歩き
つい最近、北宜公路舊道は藍天隊による道整備が行われ、状態が良くなったこの機会に歩いた。雪山隧道の開通で、バスなどがなくなってしまった北宜公路のこのセクションは、自家用車で行くのでなければアクセスが良くない。そんなこともあって今までは、足を踏み入れていなったが、人数がそろえば頭城駅からタクシーで相乗りすれば費用的にもそれほど負担ではない。

今回の場所の位置関係
出発点石牌公園にて
今回の歩きは、目立った山頂はほとんどないが、距離が長い。なるべく早く出発したほうがよい。台北を6時23分発の自強號急行で頭城へ向かう。8時少し前に、頭城駅に到着、参加のメンバーと落ち合う。今日は筆者も入れて六名だ。駅前の広場からタクシーに乗って、出発点石牌公園へ向かう。石牌公園は、北宜公路の峠越えの部分だ。宜蘭縣と新北市の境界でもある。標高は560mほどで、今日の歩きは基本的に坪林に向け下りがメインとなる。車はつづら折れの道を登り、8時25分に到着する。天気は曇りだが、ちょっと小雨が混じる。

北宜公路から右に四堵戰備道へ曲がる
沢を越える
工事指示書
支度をして北宜公路を歩き始める。10分ほどで、右に曲がる四堵戰備道に入る。登り気味に数分行き、山道入口にくる。この部分は稜線を追っていく山道だ。今日の最高点になる部分を越え、9時7分左から登ってくる道と合流する。道の状態も良くなり、ここからが北宜公路舊道ということのようだ。山腹を下っていき、沢を越える。結構川幅があるが、水量はそれほどでもない。川端の木に紙切れが取り付けられている。内容は、道の整備工事のようで、新北市が淡蘭古道としての道整備をするにつき、業者へその作業内容を指示するもののようだ。同じような指示書は、その後かなりの数を見る。

四堵寮舊址
高巻いて降りる
平らな山腹道を数分進み、また沢を越える。道は山襞を巻いて進む。9時40分、左へ車道へ下る道を分ける。下から時折車やバイクの音が聞こえる。大菁の紫の花が道端に咲く。一週間前に手入れされたばかりなので、道の状態はとてもよい。三回目の沢越えの後、少し登り10時8分四堵寮舊址と記しのある場所にくる。使われていない家屋があるが、この道がしげく往来されていたころは、茶屋的なものがあったのだろうか。その先、道が崩れてしまったようで少し高巻く。

保線路との分岐、ここで休憩
倒木がある
10時17分分岐につく。ここは、台湾電力がメンテする高圧送電線の保線路との交差部分だ。杉造林を抜け、10時45分また保線路に出る。分岐で休憩をとる。道は、しばらく保線路になり、とても状態のよい道が続く。11時10分、保線路が終わり本来の古道となる。倒木や路肩が崩れている場所もあるが、状態はそれほど悪くない。11時27分、また保線路と交差し、さらに5分ほど少し登り気味に行くと、四堵崙(標高380m)につく。頂上という感じはない。大正11年11月に埋められた日本時代の轉賣局の基石がある。また、通信線の物だと思われる碍子が基石の脇に置いてある。ここから四堵山への道が分岐する。

四堵崙にて
大正11年11月の日付がある
道はまた沢を越え、杉林を抜ける。11時58分、碧湖宮の廟に着く。人気のない廟の軒下で昼食をとる。30分ほどの休憩後、廟から前の尖湖山產道をくだり、北宜公路に出る。少し左に戻り、碧湖二橋を渡る。渡ってすぐ、左に登る保線路を行く。もともとの古道は、このような山を登っていくものではないはずで、車道を歩かないための対応だ。標高差数十メートルを登り、左に三角崙山へと続く道を分けて、右に山腹を進む。保線路なので、道の状態はとてもよい。沢を越える部分には、道工事の指示書がある。淡蘭古道の一部として、この保線路も取り込むのだろう。

碧湖宮
送電鉄塔をくぐり下る
さらにもう一か所沢を越えて山腹を行く。分岐に来る。左は三角崙山方向だ。道は尾根上を行くようになり、下っていく。鉄塔の下をくぐり、13時23分緑野山野キャンプ場に出る。週末だが、この季節はキャンプ客は少ない。橋を越えて、北宜公路方向へむけて登り始める。途中、大きな屋根がかかる家屋脇で休憩をとる。すると間もなく大勢のパーティがやってきた。江隊長はじめ藍天隊のグループだ。今日の予定は聞いていたので、どこかですれ違うと思っていた。今日行ってきた道手入れなどの情報を聞いて、分かれる。

緑野山野キャンプ場、背後の山から下りてきた
北宜公路を少し歩く
草刈されたばかりの石槽山山頂
13時44分、北宜公路にでる。ここから石槽までの間は、北宜公路と並行する稜線上の保線路を歩き車道歩きを避けることができるが、そのあともかなりまだ距離があるので、車道を歩いていく。主要な交通量は、雪山隧道を通るので、トンネルを通行できない大型のトラックやバイクが通っていくだけだ。かなり下を流れる沢の対岸の山を見ながら、20分ほどで1.5㎞の車道を歩き左に折れる。沢へ下る道を少し行くと、先ほど藍天隊から聞いていた、石槽山への入口を見る。まだ刈り取られたばかりの草を踏んで、14時14分石槽山山頂(標高420m)に着く。

逮魚堀溪へ下っていく
沢沿いに進む
大林自行車道
山頂反対側の道を少し下り、また車道に出る。少し下り、右に石槽山西峰への入口がある。送電鉄塔のすぐ上になる山頂を往復し、また車道の戻って大きく逮魚堀溪へ下る。平堵橋で沢の左岸にわたる。坪林までは、まだかなり距離がある。この後はずっと舗装された道だ。沢を右に見ながら20数分歩き、橋で右岸にわたる。全長8Kmの大林自行車道(サイクリング道)が始まる。少し進み15時20分、クスノキの下のベンチで休憩をとる。

茶畑脇のサイクリング道
坪林の街が見えた
今日は全くサイクリストはいないが、サイクリング道を歩いていく。橋でまた左岸にわたる。15時48分、さらにまた右岸にわたり、キャンプ場脇を進む。左岸にわたり返し、一部車道を行く。また川沿いのサイクリング道になり、進んでいく。16時48分、サイクリング道歩きが終わり、橋を右岸にわたってたもとにある涼亭で休憩をとる。休憩後、北宜公路に登っていき、道なりに坪林へと行く。北勢溪を渡り、坪林の街に入る。17時10分、少し暗くなりかけたころ、坪林バス停に着き、休憩込み約8時間半、約24㎞の歩きを終える。17時30分発の923番バスで台北に戻った。

古道脇の大菁(青染料原料)
北、中、南路それぞれの淡蘭古道は、車道に拡張されたような部分も含めると、台北から宜蘭へと続けて歩くことができる。車道部分は、さすがに歩く気はしないが、本来の古道部部分は、いままでほとんど歩きてきている。その中で、今日の部分はいままで全く入ったことがなかった。まだ、ほんのわずかなセクションが残るが淡蘭古道は走破したといえる。健康志向や、登山への関心の高まりで、古道が見直され多くの人に歩かれることは、健康だけでなく土地に対する関心や理解を深めるのに役に立つ。歓迎だ。

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