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2013-01-31

2013年1月31日 烏塗窟山羊洞-筆架山-尾寮古道 石碇から深坑へ山越え

筆架山と山桜、阿柔洋産業道路から見る
昨年11月に引き続き、石碇から深坑へ、この二ヶ所の間に立ちはだかる筆架山連山の山越え歩きをした。山の南側は、景美溪の支流で石碇集落で分かれる石碇溪の上流になる。過去には石炭を産出したが、今は渓谷にそって観光地になっている。山羊洞は、石碇集落から更に奥にある烏塗窟の山中にある、自然に形成された岩の割れ目である。筆架山連山は、尾根上に小ピークが多く、また露出した岩が多い。縦走する場合は、距離に対し時間がかかる。二格山の下で猴山岳へ連なる山脈と合わさる。その北側は深坑への緩やかな斜面で、ここには多くの古道がある。今まで歩いた、茶山古道炮仔崙古道を含め、主要な古道は数本ある。尾寮古道もその内の一つだ。
今回(左側)と昨年11月のルート(クリックで拡大)
東側の烏塗窟から山を越え深坑へ歩く
左のピークは山羊洞の登り、中央は筆架山縦走のピーク
聖家山荘に咲くアイリス
今回のルートは、烏塗窟から歩き始め、先に山羊洞のある山を登る。山羊洞へ立ち寄り、一旦下った後外楒仔腳の谷から筆架山への沢道を上り詰める。筆架山から二格山方面へ続く尾根を、いくつかの小ピークを越えて縦走する。二格山との鞍部から、猴山岳への道を取り下る。阿柔洋産業道路を越えて少し登り、阿柔洋山を通過して天南宮へ下りる。そこからはじめ阿柔洋産業道路を歩き、途中尾寮古道入口から古道を下って深坑へ出た。一部産業道路の歩きがあるが、大部分は山道だ。このうち、外楒仔腳から筆架山への沢道は、登山者が多い筆架山のなかではあまり歩かれていない道だ。その他は、状態のよい山道である。山桜がちょうど満開で、場所によってはすでに散り新葉が出始めている。その他の花も咲き出した。よい時期に訪れた。

烏塗窟、左奥の山が山羊洞のある山
MRT木柵駅バス停で7時過ぎに666番バスに乗車する。本来通学時間だが、冬休中のようでバスは空いている。約30分の乗車で終点の烏塗窟に到着する。バス停から溪口橋を渡り、バイパス道に出る。陽の当たっている岩壁が目立つ山が左に見える。山羊洞のある山だ。山に向かい産業道路を進む。しばらく行くと坂が急になる。民家の黒犬が吠えかかる。こちらが威嚇すると逃げた。道がカーブするところに、山羊洞登山歩道の道標がある。これに従い山道に入る。いきなり苔むした道が続く。10分ほどの登りで福徳宮のわきで産業道路に出る。この山道は産業道路の近道になっている。福徳宮では焼香を済ませたと思われる土地の人が、運動している。挨拶をして、産業道路を進む。その先にまた歩道入口の道標と案内板がある。石畳が敷いてあるが、ほんのわずかで土の道になる。右に道が分岐する、沢沿いに炙仔頭山へ続く山道だ。

古タイヤ利用の階段山道
古タイアを利用した階段を登ると鞍部に着く。直進すれば聖家山莊へそのまま行く。左に尾根道を取り登る。道には山桜の花びらがたくさん落ちている。見上げると山桜が咲いている。急坂を登りきりゆるやかになると、木々の切れ目から左に西帽子山の岩肌が朝陽の中に見える。ここから下りだ。少し下ると左に踏み跡が入っていく。行ってみると、山羊洞がある。時刻は8時40分、歩き始めて約1時間の路程だ。二つの大岩が合わさった間にある洞だ。中を歩いて通ることもできる。山道に戻り下る。今度は消遙洞がある。そのすぐ下に石テーブルと椅子がある。苔のはえた石階段が下っていく。下りきると産業道路にでた。

山羊洞への途中に見る西帽子山
山羊洞
聖家山莊への道、奥の山は炙仔頭山
ツツジの咲く聖家山荘の奥の家屋
正面に炙仔頭山が見える。朝陽の中、少し開けた谷あいは高原の雰囲気だ。少し進むと聖家山莊がある。敬虔深いキリスト教信者のコミュニティと聞く。ここで道が途切れているように見える。探すと聖家山莊のわきに更に奥に続く山道がある。道をたどるともう一つの建物がある。周囲にはツツジ、アイリス、灯籠花など様々な花が咲いている。番犬が吠え止み、静けさが戻るとここは平和な楽園のようだ。沢を渡り山道を進んでいく。山道のわきに、ひっそりと墓石が二つある。道を進むと右にまた赤いトタンの家が見える。別方向からここまで産業道路が来ている。

筆架山沢道の入口、右へ折れる
涸れた沢を登る、薄暗い谷あいの道
あとも少しで筆架山下の分岐
赤いトタンの家の前を通り、産業道路を少し登る。9時半頃分岐に着いた。右に山道が入っていく。分岐部分には、藍天隊の道標があるが、炙仔頭山を記してある。筆架山の表示はない。手持ちの地図ではもうひとつ不明瞭だ。そこで木が切られた開けた正面の谷を登っていく山道を試してみた。しかし標識リボンもない、どうやら登山道ではないようだ。引き返し、右の道を試す。少し入ると左に土地公の祠がある。その先には廃屋の石が草に埋もれている。どうやらこの道で間違いないようだ。草深い谷沿いの道を十数分登ると、また古い石積がある。ここから道は涸れた沢の中を進む。石の角には踏まれて苔がないが、ゴロゴロした沢底道は歩きづらい。冬の沢道は陽が当たらず、薄暗い。更に20分ほど登ると、道は坂がかなり急になる。補助ロープがところどころあるが、縦走道に比べたらはるかに少ない。10時半、産業道路の入口から約50分の登りで筆架山直下の分岐に着く。ちょうど登山者が一人いて、少し驚いた様子でここも道なのかと訪ねてきた。

筆架山分岐、右の谷から登ってきた
筆架山頂上から二格山方向を見る
先に岩の筆架山頂上(標高580m)に登り、周囲の展望を楽しむ。今日は好天で、風は強いものの寒くはない。陽明山山系や台北の街も見える。もちろん、谷を挟んで一月上旬に歩いた雲海山から続く山並みも見える。これから進む方向の二格山への尾根筋も目の前だ。南側の谷を見下ろすと、歩いてきた外楒仔腳の谷とその奥には山羊洞のあるピークが判別できる。20分ほど頂上で過ごした後、分岐部分に下る。ここは風も当たらないので、食事休憩を取る。深坑側に急角度で向天湖古道が下っていく。いずれ歩いてみよう。

登ってきた谷筋を見る
深坑方向を見る
岩の露出した縦走路
縦走路を歩くのは、一昨年12月以来だ。露出した岩や急な登り下りはあるが、整備されよく歩かれている道を行く。反対方向から一人若い女性ハイカーがやって来た。道を尋ねられた。山歩き経験がまだ少ないようで、説明した。0.7kmキロポストのある木製ベンチを通り過ぎ、縦走路を40分ほど歩くと、二つ目のピークの東側から展望ができる。筆架山とその前にあるピークが望める。更に数分歩くと、今度は露出した岩場に来る。ここからは二格山が大きい。二格山山腹の産業道路脇に植えられている桜の木々が満開だ。このあと歩く猴山岳への山並みや、そこから深坑へ下っていく斜面と阿柔洋産業道路や建物が見える。数分の縦走路の下りで、12時12分に二格山との鞍部に着いた。筆架山から約1時間の路程だ。小学生ぐらいの子供も含む十数名の登山グループが休んでいる。

尾根上から筆架山(左)と手前のピーク
尾根上ピークから見る猴山岳とその斜面
猴山岳への道、ロープのある下り道
鞍部を右に取る。少しの下りで、草楠への道を分岐する。尾根上の道は、幅が広く歩きやすいが、ところどころ補助ロープもかかっている急な下りもある。前回歩いた時から大分時間が過ぎているので、新鮮な感じだ。鞍部分岐から約30分で、阿柔洋産業道路に出る。産業道路を右に下れば天南宮だが、先に道を渡り阿柔洋山へ立ち寄る。前回通り過ぎたときは、阿柔洋山への分岐道標に阿柔洋山の記載があったが、その後取り外されたようだ。ほんのすこしで標識もない頂上を通り過ぎ、天南宮へ下る。天南宮前庭から筆架山も含む広い範囲の展望ができる。登山グループが天南宮の一角で食事をしている。とても賑やかだ。時刻は12時47分、自分もここで食事休憩をする。

天南宮、左は阿柔洋産業道路
13時に出発、阿柔洋産業道路を下る。大崙尾社区バス停がある。一日二便だけなので、登山にはあまり利用できない。道沿いに植えられた山桜が満開だ。青空のもととても美しい。地図では尾寮古道が産業道路に並行しているようだが、桜が美しいし交通量も少ないので産業道路を歩く。20数分下り、101号電柱のわきの入口から尾寮古道を歩き始める。草深い山道だ。数分の歩きで、また産業道路にでる。道をまたいで、反対側の入口から尾寮古道を引き続き下る。

阿柔洋産業道路、茶畑と桜、奥には平渓の山々が望める
尾寮古道の朽ちた木製手すり
ここからは、産業道路は古道から離れ、かなり大きく迂回して下る。尾寮古道は山道なので、尾根沿いに直線的に下っていく。はじめはゆるやかな下り道が十数分続き、その後下り坂になる。かなり前に地元行政の整備が行わたようだ。階段用の板や、場所によっては木製の桟道もある。ただ、その後メンテが行わていないので、荒れるに任されている部分や、材木が腐ってしまっている部分も現れる。古道本来の苔むした石段も残っている。古道入口から30数分で山道は終了する。産業道路の入口付近は石畳も敷かれている。文山路を渡り、深坑老街まで歩く。14時20分に到着した。観光客で賑わう深坑から660番バスで帰宅した。

今回は、歩行距離11.7km、休憩込みの所要時間6時間40分、登攀高度累計は835mある。最近は友人との登山が続き比較的短い行程だったが、今日は少し骨のある歩きだった。それでも、快晴の空の下、花が多く咲く山歩きはとても愉快だ。

2013-01-28

2013年1月27日 新竹五指山 - 霧中の小百岳

五指山路から見る五指山、鉄塔のあるピークが中指峰
今回は、初めて新竹県の山に登った。台湾小百岳になっている五指山だ。遠くから見ると、その名の通り五つのピークが並んでいる特徴のある山だ。霊山として廟宇が山腹に建てられ、信者の参拝が絶えない。台北からは距離があるので、友人の登山クラブの山行に参加させてもらっての登山である。朝9時半過ぎに登山口に到着したときは、雨は止んだが山の上では霧に包まれ展望はなかった。山を下るころになると天気が回復し、午前霧に包まれていた山容が、はっきり眺められたのは幸いだった。

山道わきに咲くサツマイナモリの群生
日本では深田久弥が選んだ百名山が、日本各地にある著名な山を代表している。この百名山全部を踏破することを目指している登山者も多いと聞く。台湾も選ばれた山として百岳と小百岳がある。百岳は3000m以上の高山(全部で260座以上ある)が対象で、台湾の山岳登山活動振興が目的だ。日本百名山とは少し性格が異なる。一方小百岳は、台湾各地の一般的に登り易く、その土地の人文歴史を代表するような性格の山が選ばれている。標高数百メートルの低い山も含むところは、日本百名山の基本条件1500m以上と違うが、こちらのほうがその趣旨に近いかもしれない。筆者のブログには、今まで特に記していないが小百岳として認定されている山の登山も含まれている。例えば七星山獅仔頭山等、全部で17座ある。

玉皇宮から稜線に直接登り、中指峰往復後稜線道経由で帰る(クリックで拡大)
高度プロファイル
台北市内から約90kmにある五指山
山の上半分は霧の中
五指山の登山口である玉皇宮まで、台北市内から高速道路経由で約90km、約1時間半の距離である。登山クラブメンバー5名と都合6名で、クラブ名誉会長の車で向かう。指定された会社建物に集合し8時頃出発する。昨日(26日)晩から降り始めた雨が、まだ降り続いている。台湾南部は天気が良いが、台北より南の新竹も雨のようだ。天気が好転することを願い、一路向かう。竹東から河沿いの道を進み山道を登って、9時半過ぎに玉皇宮に到着した。雨は小降りだ。山腹に並ぶいくつかの廟宇の上にそびえる五指山は、上半分が霧の中だ。

急な登りが続く
さすが霊山というだけに、廟が並んでいる。身支度を済ませ、9時少し前に出発する。登山道は、登山口から見て一番右側(南側)にある拇指峰(親指)から登っていく道と、急坂を直接中指峰と食指峰(人差指)の鞍部に向けて登る道の二つがある。登りは、この急坂を行く。玉皇宮とその左の建築中の建物の間の道から入る。登ると盤古廟がある。大勢の信者が話を聞いている。登山口は右側のあずま屋のわきだ。廟の裏側を登ると、すぐに急な土の坂道が始まる。登るにつれ、霧が濃くなってくる。補助ロープがかかる一枚岩も現れる。濡れた岩は滑りやすい。登り始めて20分ほどで、山腹をトラバースしていく五指山横向歩道に出る。

霧の山道を歩く




急坂は、この歩道からまだ続く。最近道わきの草が刈られたようだ。ほぼ直線的な登りが十数分続くと、道は左に平らになって進む。濡れた赤土の部分は滑りやすい。また急坂が始まる。大きな倒木は、越えるのが大変だ。長く補助ロープが崖側に張ってある部分を過ぎると、枝尾根に取り付き登る。霧の中の登りだが、雨が振っていないだけ助かる。11時7分、玉皇宮から約1時間の登りで稜線上の鞍部に着いた。登ってきた道は、このような天候の時は、下りに取るとかなり苦労するだろう。

ツツジの咲く中指峰頂上
晴れていれば見える景色、説明板
稜線上の道は、左にとり中指峰を目指す。少しの登りのあと、一旦下り登り返す。稜線上には、木製のりっぱな階段が設けられている。登り返すと、右に杉林が広がっている。霧の中で幻想的だ。幅広の土の道が右に登ってきている。その先ほどなく、11時27分に中指峰(標高1061m)に到着した。頂上のそばには通信用鉄塔、その下には網で囲まれた設備がある。中指峰には三角点があり、五指山連山の最高点だ。説明板には写真があり、晴れていれば新竹市方向が眺められるようだが、残念なことに霧の中だ。集合写真を撮り、食事休憩する。休んでいると、無名指(薬指)峰方向から次々と登山者が登ってくる。三匹の野良犬もやって来きて、頂上はにわかに賑やかになる。赤のツツジも咲いている。随分と早い開花だ。

尾根上の木製階段をのぼる
頂上で20数分の休憩後、やって来た道を引き返す。途中、杉林の中で左側に、先ほど頂上で出会った大勢の登山客が食事をしている。汐止山岳クラブの登山活動だそうだ。吹き上げてくる風がとても冷たい。登りでは脱いだウィンドブレーカーを着ける。十数分で、急坂道の分岐の鞍部に着く。ここからは、稜線上の道を進む。長い木製階段が続く。五指山の登山道はよく整備されている。階段の登りが終わり土の道を進むと、まもなく食指(人差指)峰(標高1040m)に着く。鞍部からほんの数分だ。下りは石の階段が現れる。長く続く石段を下りきると、今度は木製階段の登りが始まる。12時37分に拇指峰(標高1024m)につく。食指から15分だ。頂上にはベンチが設けられている。少し霧が晴れてきたのか、食指峰のピークが見える。

食指峰から拇指峰への途中
拇指峰頂上
杉美林の中、尾根道を下る
稜線沿いに道が下っていく。長い木製梯子の下り途中に、踏板が外れている箇所がある。こちらの道のほうが、登りにとった急坂道よりはるかに歩きやすい。尾根から外れ山腹をくだる。道わきにサツマイナモリの花が沢山咲いている。涸沢を橋で越える。その少し先にベンチが設けてある場所で、すこし休憩する。ブナ林が杉の美林に換わる。右に五指山横方歩道が分岐する。13時40分、山道が終わり林禪苑に着いた。拇指峰から約1時間の下りだ。この間に霧が晴れ、林禪苑からは拇指峰の山容が望める。前庭の片隅には日本式の石灯籠が建っている。野薑花も咲いている。

林禪苑と背後の親指峰、霧が晴れた
山桜と背後の食指峰
舗装された五指山路を下る。二、三分進むと左に仙洞と記された山道が杉林の中に入っていく。この道を進む。森の中を数分歩くと、朝出発した廟がたくさんある場所にでた。時刻は14時少し前だ。玉皇宮の前庭では、十数名の同じ礼服の信者と「悟空」を扮していると思われる一人が何か儀式をしている。やはり、ここは霊山なのだ。朝にくらべ観光バスも多く駐車している。売店も多く店開きしている。登山前は上半分が霧の中だった中指峰、食指峰、拇指峰の三峰が高くそびえている。

玉皇宮の前で儀式が進行中、背後は五指山
駐車場近くの売店
登山後の服装整理などを済ませ、14時20分頃帰京の途に着く。車が五指山路を下って行くと、五指山の全容が見える。ここからだと、ピークは全部で六つに見える。霧の中だった中指峰の鉄塔も判別できる。今頂上にいたら、かなり広範囲の展望ができたろう。でも姿全体を見れたことで、満足すべきだ。また来ることもあるだろう。往路と同じ道を戻り、16時20分に台北の出発点に帰りついた。

今日の行程は短い。距離は4.6km、所要時間4時間、登攀高度475mである。出発点が600数十メートルあるので、五指山自体は1000mを越えた山だが、実際の登りはそれほどでもない。雪山山脈の末端で、晴れていれば雪山も望めるそうだ。また、チャンスがあれば是非この目で確かめたいものだ。最後に、気持よく山行に誘っていただいたことに感謝の意を申し上げます。

2013-01-27

2013年1月26日 炮仔崙步道-猴山岳-指南宮 深坑から木柵へ歩く

指南宮境内に咲く山桜、背後は凌霄寶殿
台北市木柵区と新北市深坑区の境界上にある、猴山岳は今回で三回目の訪問となる。去年七月に訪れたときは、一人で指南宮から登った。今回は、友人四人と深坑から炮仔崙步道経由で登り、ちょうど前回の逆方向を歩いて指南宮へ、更に指南宮歩道を木柵まで下った。友人は、山の経験がまだ多くなく、土の道や岩壁の登り下りのある道を体験できる場所として、今回のルートを選定した。炮仔崙步道後半や猴山岳前峰第二登山ルートは、登りが少しキツイところもあったようだが、無事に木柵まで歩いた。

東側の深坑から山を越えて木柵まで(一部軌跡記録無し、クリックで拡大)
高度プロファイル(一部記録なし)
今回の同行者は、筆者にとってはそれぞれ友人だが、お互いにはじめての面識となる。最近、自分と一緒に登る友人が多くなってきそうなので、SNSで同行可能な山行を公開し一緒に登ることにした。今回は、それを通じて一緒に参加したメンバーである。初対面とはいえ、みな気易い人ばかりなので打ち解けて山登りができた。春にかけ、台北近郊の山々は花が咲き始める。山桜はすでに満開の木もある。今日は、今年はじめて華八仙の花を見た。

文化路から産業道路へ、奥に目的地の猴山岳前峰が見える
今日は午前8時にMRT木柵駅のバス停集合だ。みな時間どおり木柵路のバス停に集まった。ちょうどやって来た606番バスで深坑へ向かう。深坑までは複数のバスルートがあるので、その先の平渓や石碇行きと比べ、時間的制約が少ない。十分ほどの乗車で老街のある深坑バス停に着く。老街は、現在昔の街並みの修復工事中だ。まだ工事中の建物もあるが、あとしばらくすれば見違えるようになるだろう。景美溪の橋を渡り進む。道わきにはレンガの三合院が残っている。文化路(県道106号乙)を渡り、炮仔崙産業道路に入る。新北市の登山道標識がある。道の奥には、今日の目的地である猴山岳がまだ遠く、高い。前峰は切れた急斜面があるので、判別しやすい。

炮子崙步道の入口、木柱の文言に注意
ゴルフ練習場のわきをゆき、沢沿いにゆるい坂を登る。去年夏ここを下ってきたときは、とても暑かったことを覚えている。山桜が咲いている。そのうちの一本はすでに葉がでており、盛りを過ぎている。随分早いうちに咲いたものだ。歩き始めて20分ほどで、萬家香土雞城の看板のある分岐に来た。ここは右を取る。左を行けば茶山古道へ続く。坂道が急になる。数分で炮仔崙步道の入口が現れた。道案内のわきに階段の道が登っていく。「上山健身嘍」「山上景色迷人」などと書かれた木柱もある。さしずめ「山登りは体に良いよ」、「山上の景色は魅力的」、確かにその通り。畑やススキの草むらの中を石段や枕木階段が現れ登っていく。そのうち森が現れ、土の山道が続く。緑の苔むした石も路上に現れる。とても風情のある道だ。ちょうど9時、登山口から約15分登って来ると、分岐に来た。ここは右に取る。石壁が残る廃屋のわきを進む。その先でまた分岐が現れる。右は清龍宮へ続く炮仔崙古道だ。森を一旦出た道には、民家が現れる。分岐がありそこにはあずま屋が造られている。その先の民家の犬が、遠まきに吠えている。時刻は9時10分、歩き始めて約1時間。あずま屋でしばし休憩する。

炮仔崙步道の様子
畑の上部から見る深坑
新光路のわきに咲く桜
保線路の分岐、左へ猴山岳前峰への道
あずま屋から鉄網のわきを登ると、開けた畑の中の坂道となる。畑の上まで登りつめ振り返ると、けっこう登ってきたことに気づく。深坑の街はすでに遠い。標高は300mを超えている。その少し上で、新光路支線に出る。あずま屋があり中には大勢の登山客が休んで談笑している。炮仔崙步道はここで終わりだ。新光路を進む。山桜が咲いている。花がすでに散っている木もある。猴山岳前峰がだいぶ近くなっている。左に泰元農園と看板のあるわきの道がこれから進む道だ。農地の中を歩いて行くと、小さな橋を越え、森の中に入っていく。森の中を進むこと十数分、右に登っていく保線路との分岐に着く。右にとり登ると送電線鉄塔の下に着く。あずま屋の休憩から約1時間、少し休む。

前峰直下の岩壁登り
岩壁を登るメンバー
前峰頂上の基石と標識
10時に出発、2,3分で右に新光路に下りる山道、そのすぐ先で左に猴山岳前峰への道が分岐する。左へ猴山岳前峰を目指し登る。ここからは急坂で補助ロープや岩場が現れる。メンバーみな手袋を準備する。急坂を10分ほど登ると最初の岩が現れる。その上は木の根や補助ロープを掴んでの登りが続く。最後は二段にわかれた長い岩場だ。みな初めての経験のようだが、しっかり登ってくる。10時18分、猴山岳前峰(標高514m)に着いた。深坑から約2時間の登りだった。今日は、曇りの天気で遠くまでは展望が効かない。それでも南港山や石碇の皇帝殿山烏月山の奥の方に微かに姿が判別できる。頂上にはもう一つの道から登ってくる登山者が次々とやってきて、休憩している。我々も食事休憩を取る。

猴山岳前峰岩場の下り
猴山岳步道入口にいた犬三匹
20数分ほど休憩した後、下り始める。すぐに岩場の下りだ。こちらは、登りよりも補助ロープなどが整備されているが、ずっと長く続く。基本の三点支持を守れば危険はないが、緊張する場面だ。三分の一ほど下った所で、中年の夫婦とすれ違う。奥さんは、初めての体験のようで弱音を言いながら登ってくる。三十分ほどかけて下りきり、新光路二段74巷の分岐に着く。左に折れ舗装路を登り返す。放し飼いの鶏が道を歩いている。その先には、犬が三匹道の真中に横たわっている。このうちの二匹は前回も同じように道の真中にいた。今日は、さらに小型犬が加わっている。捨て犬のようだ。右に猴山岳歩道が始まる。コンクリの道は、先ほどの山道に比べればとても歩きやすい。下って行くと、茶畑のむこうにロープウェイ指南宮駅が見える。谷を挟んだ向こう側は猫空と背後の山々だ。階段を下りきり指南宮の山門をくぐると指南宮駅に着く。ここでしばし休憩する。

指南宮凌霄寶殿
もしメンバーが疲れていれば、ここからロープウェイで、或いは指南宮から少し下りてバスで下山と考えていたが、全員このまま木柵まで下ることOKとのこと。駅のわき進み、指南宮の境内に入る。旧暦正月を控え、指南宮はテントが張られ、飾り付けされている。参拝客も多い。凌霄寶殿の前から下っていく。屋根付きの参道から直進し、階段を下って商店街アーケードを通る。ほとんどしまっており、営業中の店は二、三店だけ。それもほとんど顧客がいない。ロープウェイのために客の流れが大きく変わったためだ。530番バスがちょうど停まっているが、その広場の左にある階段を下り、指南宮歩道を右に木柵へ下る。歩道の両脇は、一定間隔で献上された石灯籠が建っている。大部分は彫り込まれた昭和の文字がセメントで埋められている。その下の十四年一月といったような年月は残っている。台北市宮前町、太平町など日本統治時代の行政区分が刻まれている。指南宮もそのころは文山郡に属した。

立派な指南宮歩道、左に木柵の街が見える
歩道わきに沢山残る古い石灯籠
今は台北市の親山歩道となっているが、ここはもともと指南宮の参道である。道はとても広く立派な石段が続く。中程に一風パゴダが屋根に載っているような、石造りの立派なあずま屋をくぐっていく。歩道をくだること20分、12時半に山門をくぐる。これも立派な石の山門である。この先川を越えた後、政治大学のキャンパスを通り正門へといく。帰宅前にメンバー皆で昼食を取る。いつものことだが、山登り後のビールはうまい。食事後236番バスで公館経由帰宅した。

今日の行程、所要時間4時間半、歩行距離約8kmである。登攀累計高度は574mだった。単一のピーク登りなので、標高に近い。自分での山行も進めるが、大分近郊の山の様子がわかってきた今は、同時に興味がある友人に山の魅力を体験してもらえるよう、こうした同行山行もやっていくつもりだ。