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指南宮境内に咲く山桜、背後は凌霄寶殿 |
台北市木柵区と新北市深坑区の境界上にある、猴山岳は今回で三回目の訪問となる。
去年七月に訪れたときは、一人で指南宮から登った。今回は、友人四人と深坑から炮仔崙步道経由で登り、ちょうど前回の逆方向を歩いて指南宮へ、更に指南宮歩道を木柵まで下った。友人は、山の経験がまだ多くなく、土の道や岩壁の登り下りのある道を体験できる場所として、今回のルートを選定した。炮仔崙步道後半や猴山岳前峰第二登山ルートは、登りが少しキツイところもあったようだが、無事に木柵まで歩いた。
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東側の深坑から山を越えて木柵まで(一部軌跡記録無し、クリックで拡大) |
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高度プロファイル(一部記録なし) |
今回の同行者は、筆者にとってはそれぞれ友人だが、お互いにはじめての面識となる。最近、自分と一緒に登る友人が多くなってきそうなので、SNSで同行可能な山行を公開し一緒に登ることにした。今回は、それを通じて一緒に参加したメンバーである。初対面とはいえ、みな気易い人ばかりなので打ち解けて山登りができた。春にかけ、台北近郊の山々は花が咲き始める。山桜はすでに満開の木もある。今日は、今年はじめて華八仙の花を見た。
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文化路から産業道路へ、奥に目的地の猴山岳前峰が見える |
今日は午前8時にMRT木柵駅のバス停集合だ。みな時間どおり木柵路のバス停に集まった。ちょうどやって来た606番バスで深坑へ向かう。深坑までは複数のバスルートがあるので、その先の平渓や石碇行きと比べ、時間的制約が少ない。十分ほどの乗車で老街のある深坑バス停に着く。老街は、現在昔の街並みの修復工事中だ。まだ工事中の建物もあるが、あとしばらくすれば見違えるようになるだろう。景美溪の橋を渡り進む。道わきにはレンガの三合院が残っている。文化路(県道106号乙)を渡り、炮仔崙産業道路に入る。新北市の登山道標識がある。道の奥には、今日の目的地である猴山岳がまだ遠く、高い。前峰は切れた急斜面があるので、判別しやすい。
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炮子崙步道の入口、木柱の文言に注意 |
ゴルフ練習場のわきをゆき、沢沿いにゆるい坂を登る。去年夏ここを下ってきたときは、とても暑かったことを覚えている。山桜が咲いている。そのうちの一本はすでに葉がでており、盛りを過ぎている。随分早いうちに咲いたものだ。歩き始めて20分ほどで、萬家香土雞城の看板のある分岐に来た。ここは右を取る。左を行けば茶山古道へ続く。坂道が急になる。数分で炮仔崙步道の入口が現れた。道案内のわきに階段の道が登っていく。「上山健身嘍」「山上景色迷人」などと書かれた木柱もある。さしずめ「山登りは体に良いよ」、「山上の景色は魅力的」、確かにその通り。畑やススキの草むらの中を石段や枕木階段が現れ登っていく。そのうち森が現れ、土の山道が続く。緑の苔むした石も路上に現れる。とても風情のある道だ。ちょうど9時、登山口から約15分登って来ると、分岐に来た。ここは右に取る。石壁が残る廃屋のわきを進む。その先でまた分岐が現れる。右は清龍宮へ続く炮仔崙古道だ。森を一旦出た道には、民家が現れる。分岐がありそこにはあずま屋が造られている。その先の民家の犬が、遠まきに吠えている。時刻は9時10分、歩き始めて約1時間。あずま屋でしばし休憩する。
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炮仔崙步道の様子 |
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畑の上部から見る深坑 |
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新光路のわきに咲く桜 |
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保線路の分岐、左へ猴山岳前峰への道 |
あずま屋から鉄網のわきを登ると、開けた畑の中の坂道となる。畑の上まで登りつめ振り返ると、けっこう登ってきたことに気づく。深坑の街はすでに遠い。標高は300mを超えている。その少し上で、新光路支線に出る。あずま屋があり中には大勢の登山客が休んで談笑している。炮仔崙步道はここで終わりだ。新光路を進む。山桜が咲いている。花がすでに散っている木もある。猴山岳前峰がだいぶ近くなっている。左に泰元農園と看板のあるわきの道がこれから進む道だ。農地の中を歩いて行くと、小さな橋を越え、森の中に入っていく。森の中を進むこと十数分、右に登っていく保線路との分岐に着く。右にとり登ると送電線鉄塔の下に着く。あずま屋の休憩から約1時間、少し休む。
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前峰直下の岩壁登り |
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岩壁を登るメンバー |
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前峰頂上の基石と標識 |
10時に出発、2,3分で右に新光路に下りる山道、そのすぐ先で左に猴山岳前峰への道が分岐する。左へ猴山岳前峰を目指し登る。ここからは急坂で補助ロープや岩場が現れる。メンバーみな手袋を準備する。急坂を10分ほど登ると最初の岩が現れる。その上は木の根や補助ロープを掴んでの登りが続く。最後は二段にわかれた長い岩場だ。みな初めての経験のようだが、しっかり登ってくる。10時18分、猴山岳前峰(標高514m)に着いた。深坑から約2時間の登りだった。今日は、曇りの天気で遠くまでは展望が効かない。それでも
南港山や石碇の
皇帝殿山が
烏月山の奥の方に微かに姿が判別できる。頂上にはもう一つの道から登ってくる登山者が次々とやってきて、休憩している。我々も食事休憩を取る。
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猴山岳前峰岩場の下り |
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猴山岳步道入口にいた犬三匹 |
20数分ほど休憩した後、下り始める。すぐに岩場の下りだ。こちらは、登りよりも補助ロープなどが整備されているが、ずっと長く続く。基本の三点支持を守れば危険はないが、緊張する場面だ。三分の一ほど下った所で、中年の夫婦とすれ違う。奥さんは、初めての体験のようで弱音を言いながら登ってくる。三十分ほどかけて下りきり、新光路二段74巷の分岐に着く。左に折れ舗装路を登り返す。放し飼いの鶏が道を歩いている。その先には、犬が三匹道の真中に横たわっている。このうちの二匹は前回も同じように道の真中にいた。今日は、さらに小型犬が加わっている。捨て犬のようだ。右に猴山岳歩道が始まる。コンクリの道は、先ほどの山道に比べればとても歩きやすい。下って行くと、茶畑のむこうにロープウェイ指南宮駅が見える。谷を挟んだ向こう側は猫空と
背後の山々だ。階段を下りきり指南宮の山門をくぐると指南宮駅に着く。ここでしばし休憩する。
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指南宮凌霄寶殿 |
もしメンバーが疲れていれば、ここからロープウェイで、或いは指南宮から少し下りてバスで下山と考えていたが、全員このまま木柵まで下ることOKとのこと。駅のわき進み、指南宮の境内に入る。旧暦正月を控え、指南宮はテントが張られ、飾り付けされている。参拝客も多い。凌霄寶殿の前から下っていく。屋根付きの参道から直進し、階段を下って商店街アーケードを通る。ほとんどしまっており、営業中の店は二、三店だけ。それもほとんど顧客がいない。ロープウェイのために客の流れが大きく変わったためだ。530番バスがちょうど停まっているが、その広場の左にある階段を下り、指南宮歩道を右に木柵へ下る。歩道の両脇は、一定間隔で献上された石灯籠が建っている。大部分は彫り込まれた昭和の文字がセメントで埋められている。その下の十四年一月といったような年月は残っている。台北市宮前町、太平町など日本統治時代の行政区分が刻まれている。指南宮もそのころは文山郡に属した。
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立派な指南宮歩道、左に木柵の街が見える |
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歩道わきに沢山残る古い石灯籠 |
今は台北市の親山歩道となっているが、ここはもともと指南宮の参道である。道はとても広く立派な石段が続く。中程に一風パゴダが屋根に載っているような、石造りの立派なあずま屋をくぐっていく。歩道をくだること20分、12時半に山門をくぐる。これも立派な石の山門である。この先川を越えた後、政治大学のキャンパスを通り正門へといく。帰宅前にメンバー皆で昼食を取る。いつものことだが、山登り後のビールはうまい。食事後236番バスで公館経由帰宅した。
今日の行程、所要時間4時間半、歩行距離約8kmである。登攀累計高度は574mだった。単一のピーク登りなので、標高に近い。自分での山行も進めるが、大分近郊の山の様子がわかってきた今は、同時に興味がある友人に山の魅力を体験してもらえるよう、こうした同行山行もやっていくつもりだ。
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