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華梵大學から見る南勢坑大尖から人頭面山、鑽石峰への山並み |
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平渓五分山から見る伏獅山(左)、獅公髻尾山、人頭面山の山塊(奥の大きな山塊) |
石碇、平溪或いは瑞芳の山々から望むと、それぞれ方向は異なるが、大きな山容で他より高い山が目立つ。その山の片方は鋭く切れ落ちているので、容易に認識できる。この山は、伏獅山,獅公髻尾山から人頭面山までの頂上などがまとまって見えているものだ。
伏獅山,獅公髻尾山はすでに訪れているが、その他はまだであった。以前から、訪れることを考えていた。今回は、この山塊でまさにその特徴を付けている、急な斜面をもつ人頭面山の尾根から登り、
皇帝殿山へ続く尾根を下り華梵大學へ歩いた。
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北側の藤寮坑からスタート、華梵大學のキャンパスで終了 |
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登りが多い登山パターン |
2011年に獅公髻尾山に初めて訪れた時、九芎坑山へ下り雙菁公路の藤寮坑へ歩いた。今回は、藤寮坑からスタートして南勢坑へつづく産業道路を登り、聖山神農殿へ。ここから山道を南勢坑大尖へ登り、稜線を人頭面山へ登る。822峰を過ぎると左に獅公髻尾山方面へ道を分けるが、そのまま尾根を鑽石峰へ進む。南勢坑と坪林を結ぶ古道の峠を過ぎた後、石碇大崙への尾根を歩き、その突端にある華梵大學へ下った。華梵大學からはバスでそのまま台北へ帰った。
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周辺の登山と位置関係 | | |
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道わきに群生する蜘蛛百合 |
通常の平渓行きと同じに、MRT木柵駅から7時少し前に795番バスに乗車する。今日は、十数名の高齢者登山グループが乗る。台湾のお年寄りは、こうして山登りを楽しむ人が多い。約30分の乗車で、藤寮坑バス停に到着、身支度をして7時28分に出発する。雙菁公路を左にみて進み、永定溪を渡る。産業道路は、永定溪にそって登っていく。それほど勾配もなく、楽な歩きだ。左に東勢坑方面への道を分けたあと、玉桂嶺へ向けて進む。集落を抜けしばらく進むと右側沢の対岸に、大きな岩が露出した壁がある。 土地公が左に現れる。ここは玉桂嶺二橋で沢を越える。直進していく土の産業道路は、九芎坑山へと続く。ここまで約35分の道のりだ。
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陳家花園の入口にあるモニュメント |
更に産業道路を歩く。車両はあまり通らない。沢のわきに大きな別荘がある。
変わった花びらの蜘蛛百合の白い花が沢山みちばたに咲いている。登るにつれ、谷は開けてくる。8時20分、西勢坑への道を分ける。ここまで3.8kmだ。坂道が急になってくる。更に10分ほど登ると、土地公がある。南勢坑小尖へ続く山道が始まるが、そのまま産業道路を進む。陳家花園と刻まれた石碑がある。その先左側には大きな別荘を見る。入口には、面白い彫刻が置かれている。都会の雑踏から遠く離れ、この静かな山間は桃源郷のような雰囲気だ。対岸の尾根筋は、華梵大學へ続く部分だ。
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養殖池のある谷あい、奥に皇帝殿山 |
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聖山神農殿の入口 |
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稜線上の分岐と山道の様子 |
舗装の程度が悪くなる。右に建築中の別荘群がある。振り返ると、大分高度が上がっている。遠くに見える、皇帝殿山一番東側のピーク烏嘴尖と同じぐらいの高さだ。右に私道が折れるところで直進する道は、聖山神農殿へ続く。勾配が更に増してくる。山も大分迫ってきた。上部に岩が露出している。人頭面山の名前は、聖山神農殿辺りからみると岩が鼻のように見えるからということだ。この岩のことを指しているのだろうか。9時、聖山神農殿の入口に着く。出発点から6.2km、1時間半の歩きだった。舗装路を歩いてきたので、あまり実感がないが、すでに標高550mぐらいまで登っている。犬が数匹吠え出す。山道は、すぐ左に折れ登っていく道の先だ。左奥にあずま屋と祠がある。祠には念仏がスピーから流れている。ここでしばし休憩し、食事を取る。
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人頭面山への登りで振返る、南勢坑大尖が向こうに見える |
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密生したシダの中を行く、ロープが見える |
道に戻り登る。つづら折りを登り切ると、舗装が終わる。ここから山道が始まる。道は、踏跡程度ではっきりしないところもある。蜘蛛の巣がとても多い。しばらく歩かれていないようだ。石積みの低い壁がある。この辺りは、以前何かの目的で使用されていたのだろう。岩が多く露出する道が山腹を登っていく。山道を十数分登る。稜線の分岐が現れる。左に小尖からの道が登ってくる。右にとり稜線道を進む。15分ほどの登りで分岐に着く。左は南勢坑大尖の頂上へ続く。左へ頂上へ行ってみる。わずかの歩きで頂上(標高727m)に着く。周囲は樹木で、展望はきかない。
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手袋についたシダの胞子 |
分岐へ戻り、尾根を進む。狭い尾根を数分進むと、補助ロープが現れ急坂が始まる。道はびっしり茂った大きなシダの葉の下で、よく見えない。シダは背が低いので、稜線から周囲を展望できる。獅公髻尾山から九芎坑山へ下る尾根の向こうに、
峰頭尖とその右に
中央尖が望める。その奥には、
姜子寮山や
五分山ものぞいている。ちょうどシダの繁殖期なのだろうか、かき分けて進むと茶色の胞子が沢山飛び散る。黒い手袋は、胞子がいっぱいこびりついている。ロープのある急な登りと、緩やかな部分を二、三回すぎると、大岩の左を回りこみ、突き当りの急坂を登る。平な部分に出る。右に少し進んだところが、人頭面山頂上(標高810m)だ。先ほど回り込んだ岩は、遠くから見ると顕著な切り立った部分だろう。10時33分、人頭面山の頂上に着く。
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人頭面山頂上 |
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人頭面山からのパノラマ(マウスクリックで拡大) |
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人頭面山から見る華梵大學のキャンパス |
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稜線の道を下る |
頂上は北から東方向がとても良く見える。下方には先程登った南勢坑大尖が大きい。その左奥には、今日行程の目的地、華梵大學のキャンパスがある。台北方向に101ビルが霞んでいる。同じぐらいの高さに、獅公髻尾山の頂上あずま屋が見える。15分ほど景色を見た後、陽射しも強く暑いので次に進む。分岐へ戻り820峰へ歩く。数分で左に獅公髻尾山への尾根道が分岐する。右にとり下る。このあたりが、今日の行程中の最高点だ。またシダの密生した道を進み、10分ほどで鑽石峰(標高783m)に着く。雙石峰とも言われるこの山は、大きな岩が二つ並んでいる。狭い二つの岩の間に、ステンレス梯子がある。固定されていないが、注意深く登ることができる。立つと少し怖いが、岩の上からはよい眺めが得られる。
二格山やその左には
筆架山連峰が望める。その下を行く第三号高速道路が見える。まだ11時10分で昼前だが、夏は遠景がかすんでしまう。
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鑽石峰の二つの大岩の上 |
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大岩の上から石碇大崙から華梵大學への稜線を見る |
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二つの大石の基部から上を見る |
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杉林を抜けていく |
数分過ごした後、岩を下りる。道はずっと下っていく。杉林を抜け鑽石峰から10分ほどで、竹林にでる。ほかの竹林もそうだが、枯れた竹の葉が沢山落ちていて、踏跡が判りにくい。左に降りていく道がある。違うかもしれないが、他に道が見つからないので降りてみる。しかし登山クラブの標識リボンがない。果たして下ると茶畑の上に出てしまった。この道は、地元の人がタケノコを採るために通う道のようだ。登り返し、竹林に戻る。山道は尾根上のはずなので、とりあえず森に入ると、標識リボンがあった。山道に戻り、ほんの二、三分で分岐につく。ここは北側の南勢坑から坪林へ抜ける古道の峠の十字路だ。石碇大崙への道を進む。
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密生した草の中を行く |
道は山腹にそって進む。左から道が合流する。これは獵貍尖からの道だろう。あまり歩かれていないようだ。その先に、また左から道が合流する。これもあまり歩かれていないようだが、磨石坑への道だろう。シダの中を抜けていく。その後、今度は草むらの中を進む。かなり密生して、足元がよく見えない。本来ならば、右に尾根を石碇大崙へ進む道への分岐があるはずだが、気づかずにそのまま下ってしまった。そのうちに沢の様相になる。道には標識リボンもあるので、山道は間違いない。沢を越え山腹を回りこむ。下りきると竹林になる。農夫が一人仕事をしている。挨拶をすると、一人なのか尋ねられた。華梵大學方向を確認し、茶畑の中を進む。時間は12時半、鑽石峰から1時間以上歩いたので、畑の端の木陰で休憩する。幸いに風も吹いている。
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沢沿いの道を下る |
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大学キャンパス上部に着いた |
休憩後下っていくと、人家が現れる。前の産業道路を少し行くと、道標が稜線方向の行き先を示している。セメントの小道をを進む。左に石碇大崙と華梵大學への道が分岐する。これを進む。そのうち右に石碇大崙への道を分け、さらに山腹を巻いていくと稜線にでた。右から石碇大崙の山道が合流する。稜線ではなく、山腹を行く道を歩いてきたことになる。この道は地図になかったので、認識がなかった。左におれて、稜線を進む。13時、前方に木々を間からキャンパスが見えてきた。更に尾根を進むと、コンクリ階段の上部にきた。ここからはキャンパスになる。階段を下り、キャンパス最上部の松崗の広場がある。前方にアーチ橋がかかっている。橋から見ると、歩いてきた南勢坑大尖や人頭面山、 鑽石峰が控えている。 橋を渡り、百丈懐海禅師の庭園にあるあずま屋で一休みする。今日の行程は、これでほぼ終わりだ。次のバスはしばらく待ち時間がある。持ってきたアイスコーヒーはまだ冷えている。うまい。
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大学キャンパス内 |
シャツを着替えて、キャンパスを下っていく。夏休みになっているので、人気がない。対岸には二格山から筆架山連山が続いている。正門わきのバス停に13時55分に着いた。666番バスは、休日時刻表で運転している。次の便14時30分までゆっくり休む。バスは14時25分ごろに到着、4,5人の乗客が乗り定刻14時30に発車した。終點景美まで乗り、MRTに乗り換えて帰宅した。
今回は合計12.4km歩いている。そのうちの半分は舗装産業道路だ。時間は休憩込みで6時間20分、累計966mを登っている。華梵大學は標高500mぐらいあるので、登りが多く下りが少ない高度プロファイルだ。逆に取って、華梵大學から歩き始めれば、登りが少ない歩きができる。この山域は、バスなど公共交通機関がないので、華梵大學を除いてアクセスは少し遠い。 しかし、今日のように産業道路を歩いていけば、十分対応できる。
ちなみに、今回の山のうち人頭面山は、読んで文字通りだが鑽石峰は、ダイアモンドピークの意味である。それでは、ダイアモンドのように輝いていたか、というと名前負けかもしれない。ただ、あまり歩かれている人気のある山でないので、自然に近いといえばそうだが。
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最近、筆者のブログアクセスが増え、尚且つ台北郊外登山の一般ガイドを多くみてもらっています。そうしたことを考慮し、今回から登山記録には、過去の経験、比較にもとづいて、その登山道や要求される体力についてのランク付けを行なっていきます。
山道のレベルとコース全体で要求される体力について、別々にランクを付けます。山道レベルと体力は必ずしも比例しないためです。
今回は、山道レベル4、要求体力4です。
ランク付けは次の基準で行います。レベルは1~5とし、5が最高です。