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2015-10-07

2015年10月6日 基隆瑪鎖山 海岸わきの好展望不人気山

瑪鎖山山頂望洋崖から望む瑪鎖山山稜、海には野柳が浮かぶ
基隆の海岸線には、標高100m ~ 300mぐらいの山がずっと続く。砲台遺跡が残る小百岳大武崙山もその一つである。大武崙山はしっかりした登山道が整備され、情人湖と合わせてハイキングコースになっている。そのすぐとなりにある瑪鎖山は、稜線上からとてもよい景色が望めるが、山道は踏跡程度のもので、ときどきわかっている登山者が登るだけである。昨年、この山の稜線をめぐるルートが切り開かれたようで、ネット上にも登山記録がある。暑い夏がそろそろ終わりをつげ、こうした海際の低山を歩くに良い時期になってきた。冬は季節風のせいで、天候が悪くなることが多いので、今の時期が訪れるのに最適だ。

南の武聖街から海へでて山をめぐり萬里へ下る
歩行高度プロファイル
本来はもっと簡単に終わるだろうと、正直ちょっとあまく考えていた。実際訪れると、前半の部分はまだよいが、後半萬里に近い側の山稜道はかなり大変だった。森の中の道は、最近の台風で倒木や折れた枝が邪魔するのはまだしも、廃棄産業道路上の草は勝手放題に伸びて、踏跡は全くなくなっていた。自然の力はすごいものである。そんなこんなで、予定より多く時間を要し、その後足を伸ばして北八斗山へなどと、軽く考えていた計画は出来ずじまいであった。北八斗山は、また単独で別の機会に行けばよいが。

瑪鎖山は基隆の北東に位置する
海岸へまず下る、背後は瑪鎖山山稜
今回は、出発はゆっくりである。最近萬里方向からの帰りに良く利用する953番バスを利用すると世話なしなので、このバスの時間で出発時刻を決めた。金山発は早いが、反対方向の板橋バスターミナル発は7時40分が初便である。今回の同行者Dさんは、ここから乗車し自分は台北市内の自宅近くのバス停で、8時半過ぎに乗車する。平日の高速道路はかなり混んでいるようで、板橋からは予定より遅れている。また高速道路に乗り、一路基隆方向へ向かう。高速道路を降り、基金公路を進む。9時20分、武聖街口バス停で下車する。

湖海路から見る大武崙山澳仔灣のパノラマ、海上には基隆嶼
空は高曇り、ちょうど良い天気だ。カラッと晴れてしまうと、暑くて大変だ。バス停から少し戻り濱海公路を歩く。主要幹線なので交通量は多い。左奥には、先月に歩いた三界山が望める。武聖街を歩いたほうが良かったかもしれない。ゆるい坂を上り詰めたところで、武聖街が合流し右に湖海路が分岐する。湖海路を大武崙澳仔海岸に向けて下る。正面に基隆嶼が見える。下りきったところを右に行けば外木山方向で、以前大武崙山から下りてきた登山口に行ける。左に曲がり海岸沿いに進む。海鮮料理店が並んでいるが、平日のこの時間は勿論営業はしていない。背後の山は、あとで登る瑪鎖山の稜線だ。

漁港から見る大武崙山山稜
浜辺で工事が進行中だ。海へ海水浴など遊びに来たのは、いつのことだろうか。もう何年も海水浴などしていない。湾にそって道が進む。漁港を過ぎていく。湾の向こうに見えるのは、大武崙山の山並みである。海岸にそって歩くにつれ、対岸の風景が変わっていく。そのうち基隆山が遠くに見え始める。

基隆を遠望する、基隆山や半平山、発電所の煙突などが見える
海岸歩道
車の右に登山口、県境の青い標識が近くだ
道は建物のある広場で終点だ。そこから先は工事中である。囲いを越して、工事中の道を行く。ここまで来ると、基隆山の隣の半平山も望める。発電所の三本の煙突がひときわ高く目立つ。10時半、海岸歩道はその先橋の工事中で進めないので、平行に走る濱海公路に降りて歩く。その先少しで、瑪鎖山の登山口が現れる。登山口といっても、印があるわけでなく、地図と事前の下調べがなければ気づかない。ちょうど基隆市と新北市の境界近くである。

斜面きわを登っていく
高度が上がると遠望がきく
湾を挟んで遠方に野柳が見える
山稜上のはじめのピーク
ここから山道なので、ステッキなどを取り外し支度する。土留壁のわきを登り、斜面上部の踏み跡をたどって高度を上げていく。登るに連れ、視界が広がっていく。人面蜘蛛が道に多く網をはっている。蝶々も多く飛んでいる。青い大海原が眼前に広がる。坂は急ですこしきついが、風も吹き抜けて気分は最高だ。約50分ほど登り、高度は180mを超える。海側に岩が突き出ていいて、その上がちょうどよい展望台となっている。足元には濱海公路が走る海岸線、その向こうには青い海を挟んで野柳半島がある。左を見れば、北八斗山の丘の上からパーラセルが海に向かって飛んでいる。11時33分、瑪鎖山からの稜線上突端のピークに着く。ここでしばし休憩する。

稜線上の塹壕
少し腹ごしらえをすませ、11時48分稜線を進む。稜線には溝が掘ってある。塹壕ということだ。1884年の中仏戦争で基隆戦役があったが、それに備えて基隆の近くに塹壕が掘られた。この山のその一部であったとういことである。実際、稜線にそって深さ巾数十センチの溝がずっと続く。道は低い灌木の中を進む。ちょっとした上り下りを過ぎ、竹林を抜ける。12時16分、道端に二つの石柱が転がっている。表面には灣潭斷層と記してある。確かにここには地層断層があるそうだが、それは灣潭断層ではなく、崁腳斷層というのが正しいそうだ。12時23分、廃棄産業道路に出る。

断層の石柱
右に曲がり登っていく。そのうち草深い道となり、また斜面に取り付いて山道が始まる。しばらく登りが続き、ひっこり12時37分、基石の埋まる瑪鎖山山頂(標高234m)に着く。山頂から少し海側に進むと、望洋崖という突き出た岩の上に出る。その名の通り、海も望める展望台だ。ザックから冷えたビールを取り出し、祝杯を上げる。暑い時のビールは本当に美味い。すっかり癖になってしまった。冷凍したビールを、前夜に冷凍室から冷蔵室に移し、それを保温効果のあるバッグに入れてくると、昼ごろちょうど氷が溶けきって冷えたビールが飲めるのだ。雄大な景色を見ながらしばし休憩する。これぞ登山の醍醐味だ。しかし、その後の苦労には思いが行かなかった。

瑪鎖山山頂
望洋崖の大石
萬里方向のパノラマ、左は北八斗山
基隆方向の遠望
稜線上の道
13時24分、下山を始める。道は稜線上を進む。13時36分、廃棄産業道路に下りる。道は左に下り方向に踏跡がある。右には何も見えない。すこし疑問があるものの、左に道を下っていく。数分で、また別の産業道路と出会う。地図と照らしあわせても少し違うが、右にとって進んで見る。暫く行くと、道は終点になる。そこから稜線に登っていく道も見つからない。どうやら、やはり先ほど産業道路に降りたところで、右に折れていくべきだったようだ。そこで下りてきた道を戻る。分岐でもう一度探すが、標識リボンなどもない。そこでダメ元で右におれて進む。全く踏跡がないが、そのうち標識リボンが前方に見えた。やはり、この方向が正しかったようだ。

産業道路上の草薮、踏跡はない
ガジュマロ樹がいっぱいに生えるセメント製水槽
廃棄産業道場には、草が密生し踏跡もない。しかしこの方向で間違いないので、藪漕ぎしながら進んでいく。14時10分すぎ、産業道路が終わり森のなかに細々とした踏跡が続いていく。すぐ右に大きく下る。森のなかの道は、倒木などが多い。台風通過後には誰も歩いていないのではないだろうか。概ね下りの道は、最後の小ピークで登り返す。14時29分、セメントで造った水槽あとのような構造物のある頂上を過ぎる。それ以外にも大きな穴がある。ここからは、大きな下りが始まる。

急な下りをゆく
坂はところどころかなり急だ。幸いに補助ロープが取り付けてある。ボランティに感謝だ。塹壕と思える溝を越え更に急坂を下る。途中、稜線から離れ方向を左に山腹を下っていく。15時36分、萬里國中(中学校)裏のトーチカあとを見る。そのすぐ下方が中学校の校舎だ。授業中の校舎裏に降りて、校門へ歩く。我々も中学校の中に出るとは思わなかった。校門で守衛さんに尋ねられ、経緯を話す。少し歩き、大きなガジュマロ下のベンチで休憩をとる。休憩を含め5時間の山歩きであった。予定より1時間ほど多い。道が良くなかったのが影響している。

萬里國中、背後の山から下ってきた
ベンチで休んでいた地元の人と会話する。今は萬里螃蟹の時期だそうだ。我々も帰京する前に、カニを食べていくことにする。同行のDさんは社交的だから、話が進む。下り道を進み、橋をわたって萬里の街に入る。16時7分、萬里区役所(公所)バス亭に着く。地元のおばさんに聞くと、カニを出す海鮮料理店は海に近いところだということだが、近くにも一軒あるとのこと。案内してもらってその店に行く。ここでビールを飲みながら旬のカニ(三星蟹)を食べる。1時間半ほどの食事のあと、暗くなってきた街をバス停に少しもどり、18時7分やってきた953番バスで帰途についた。

橋からみる瑪鎖山山稜
夕暮れせまる萬里の街と廟
今回の登山は、実は三度目の正直である。その前に企画したが、天気などの理由で延期していた。思っていたより、景色がよいのにかかわらず歩かれていない、不人気山である。すぐ隣の大武崙山のハイキングコースがとても良いのに比べると、まさに雲泥の差とういべきだ。この山からは基隆の港方向や野柳など、有名な場所も望めるとてもよい展望が楽しめる。天気が良い日には、よい展望コースだが、いかんせん道が良くない。今回のルートの前半、県境の登山口から瑪鎖山山頂まではよいが、もう一つ萬里へ向かう稜線道は経験者向けだ。難度はコースレベル4、体力レベル3である。今回の歩行距離は、車道部分も多いので都合9.3km、これを入れたトータルの行動時間は6時間40分である。

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