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2021-01-11

2021年1月10日 阿里山鄉脈脈山/雞子山 阿里山近くの静かな山を登る

雞子山から遠望する雪をいただいた玉山

台灣南部の山々は、筆者にとっては馴染みの薄い場所である。今まで何度か訪れているが、台北から遠くアクセスが大変なのが、その主な理由だ。冬の間南部は天気が比較的安定し、晴れの日が多い。山仲間が車を運転しシェアしてくれるので、今回の山行だ。昨日、今日のメイン登山の途中で、小百岳大湖尖山を登り阿里山鄉達邦村の民宿に投宿した。

西側の林道入口から二座を往復
往復パターンの歩行高度
台湾南部の目的地
脈脈山(標高2390m)と雞子山(標高2398m)とはともに阿里山山脈に属する山だ。阿里山山脈は、3000m超の山がないため、雪山山脈や中央山脈、すぐ東隣の玉山山脈に比べると注目度が低いが、かなりの広い範囲をカバーする一大山脈である。原住民鄒(ツォウ)族の領域でもある。今回の対象二座は、日本でも観光地として有名な阿里山の南方に位置する。その間には霞山や東水山などの山が連なる。去年のほぼ同じ時期の登った松山大凍山も阿里山山脈の山峰である。

@脈脈山山頂
脈脈山は、登山口から長い林道歩きをして初めて山道に取りつく。雞子山は、標高は脈脈山とほぼ同じだが、間に標高差200m越える鞍部がある。ルートとしては、林道の入口から往復する。朝一番で出発し、一日を要するそこそこ歩きがいのある行程である。上記の東水山や霞山を経由して縦走してくるルートもあるが、比較的取りつきやすいこの二座ですら人気のある山ではなく、東水山から雞子山の間は殆ど踏み跡がなく、またかなりの藪漕ぎも覚悟しなければならず、縦走するのはかなり大変な行程になる。

夜明け前に民宿を出発
5時に起床、朝食をとって民宿を夜明け前の6時に出発する。民宿が用意した朝飯は饅頭と豆漿である。169県道を南へ進む。途中集落を過ぎ、林道入口を曲がる。登山口になる部分は民宿や畑などを過ぎて舗装が終わる部分である。そこまでの道は、途中にいくつかの分岐がある。二カ所ほど場所を間違え、時間を費やす。7時15分、車を駐車し7時25分歩きはじめる。予定より約1時間ほど遅い出発だ。

林道の鉄製ゲート
林道に朝陽が差し込む
左に茶畑を見て林道はすぐに舗装が終わり、凸凹が大きくなる。左に回り込み、歩きはじめて5分ほどで鉄のゲートを過ぎる。ここから先は関係者以外の車は進入禁止だ。入れたとしても車高が高い四駆でないと、通行不能だ。林道の入口は標高約1540m,脈脈山の山道入口は約2300m、標高差760mは6㎞強の林道で登る。つづら折れで高度を200mほど上げる。しばらく山腹の緩やかな道を行き、また高度を上げる。8時8分、道は尾根に上がり陽光が差し込む。歩いているので体は暖かいが、日陰をずっと来たので陽光はありがたい。道はまた山稜の西側の平らな進み日陰となる。8時38分、右に道を分岐し鉄製のゲートがある。ここは開いている。8時52分、高度をあげて尾根上にあがったところで休憩をとる。左に東草山への道が分岐する。この付近は以前は何か施設があったのか、平らで石積の低い壁もある。

林道が尾根に上がる部分、筆者の背後には東草山への分岐
かなり大きな樹木がある林道を登る

林道わきの山道入口
ヤタケの間を脈脈山山頂へ
更に林道を進む。9時41分、左に山道入口がある。標高は約2310mだ。林道歩きは約2時間20分弱であった。山道を登り始める。谷状の部分をすぎ、左に山腹に取りつく。9時51分、左に脈脈山への道が分かれる。先に脈脈山へ往復する。道筋は少しはっきりしないところもある。ヤタケもすこし現れる。10時ヤタケから抜け、陽光あふれる開けた脈脈山山頂(標高2390m)に出る。山頂は左側が開けて、視界が広がる。左に見える大きな山容の山は關山だ。その先左には小關山も判別できる。關山前の低い山影は庫哈諾辛山だ。先月縦走した中央南一段の山並みだ。樹木の脇に、二つの角ばった山頂の特徴ある石山も確認できる。
脈脈山山頂から南東方向を見る

脈脈山山頂
關山,手前に庫哈諾辛山
鞍部へ下る
冬のこの時期は、日なたがありがたい。30分ほど山頂で過ごし、往路を分岐へと下る。分岐から緩やかに登り、その先から鞍部への落差約220mの下りが始まる。ところどころ急な個所もある広葉樹の間の道は、道筋がはっきりしている。ただし、マーカーリボンがとても少ない。持ってきた自分のリボンをところどころつけていく。11時7分、鞍部から登り返していく。小さなこぶを乗り越えると、右に開けた場所に青いシートの獵寮がある。原住民が狩りをするときに使うもののようだ。

青いシートの獵寮脇を行く

巨木を見上げる
しばらく急坂が続き、そのうち緩やかになる。尾根の幅も広がる。この辺りにはかなりの巨木も目立つ。まったくの原生林のようだ。11時50分、森の中に陽光がさしこむ場所で、食事休憩をとる。30数分の休憩後、緩やかな道を十数分進む。稜線の道はヤタケが多くなり、勾配がきつくなる。ロープが取り付けてある急坂を登りきる。ここは、左から霞山方面からの山道の分岐点のはずだが、それらしい踏跡はヤタケに隠れているのか、まったくわからない。雞子山はしばらく緩い坂を下り、少し登り返して13時に山頂(標高2398m)に着く。

日なたで昼食休憩


ヤタケをかき分け雞子山はもうすぐだ
雞子山三角點基石
雞子山山頂の三角点はヤタケや樹木に囲まれているが、そのすぐ東側は草原が広がる。草原のへりの樹木の後ろに、白い山並みが続いている。雪をかぶった玉山山脈の主要なピークだ。左の玉山北北峰から主峰、そして南峰まですべてが聳えている。しかし、この雄大な眺めもほんの数分で上がってきた霧に隠れる。13時20分、往路を引き返し始めるころには、すっかり周囲は濃霧に包まれる。

@雞子山

山頂の東に草原が広がる

濃霧の森を下る
下山後、台北に戻る予定だ。なるべく早く下山して登山口に行かないと、台北到着がかなり遅くなる。霧が出てくると、道筋を追っていくのは労力が増す。こういう時には、マーカーリボンが方向を定めるのにとても役に立つ。やってきたときに着けたマーカーに加え、さらにところどころ追加する。14時14分、すっかり白い森の中に登りに見た獵寮が浮かぶ。下って鞍部を通過し、少し休憩する。帰りの登り返しはつらい。14時53分、220mの落差を登り切り、山腹を進んで脈脈山の分岐を過ぎる。15時5分、林道に降り立つ。

登り返しはつらい
林道はもうすぐだ
霧の第二ゲートを通過
まだまだ先は長い。基本下りの歩きだが、距離がある。かなり速いペースで進む。15時47分、第二の鉄ゲートを過ぎる。途中一度休憩をとり、16時31分一番目のゲートに着く。16時38分、駐車してある登山口に帰りつく。すこしきつかったが、雞子山から約3時間20分ほどで下ってきた。往路は都合1時間強の休憩も含み、5時間半ほどだった。距離は約20.1㎞、活動時間は都合9時間である。登坂と下降はともに約1400mである。コース定数は37である。

駐車場所の林道入口へ戻った
着替えや靴を履き替え、林道を下って169県道を右に進む。昨日泊まった達邦村を通り過ぎ、台18線阿里山公路へ登り返す。18時少し前に、阿里山公路の石槕の食事処で夕食を取る。食事後台18線をさらに下り、高速道路経由で台北には、23時前に着いた。

冬の南部の山々は、標高が高いところは当然それなりに寒いが、天気が安定しているのがよい。今回は濃霧に包まれたが、雨には見舞われなかった。阿里山山脈は、山深く魅力のある山々がある。さらに登っていきたい。


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