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2018-09-17

2018年9月14日 雙溪大樟嶺古道 - 崩山坑古道 初秋の古道と厄介な草の道

後寮の蓮の花
新北市雙溪區の山谷は、筆者が好きな場所である。たおやかな山々の谷間には清流が流れ、人口密度が低く多くの自然が残っている。雙溪區の奥まった泰平や灣潭などの場所は、20数年まで自動車道がなく、この山谷の住人は歩いて往来するしかなかった。そのため、今では古道と呼ばれている山道が主要な交通手段であり、ほかの地区に比べると歩かれなくなってからの年月が少なく、そのため良い状態で残っている。美しい古道がある由縁だ。

崩山坑古道の棚田あと草原
筆者が、ここを初めて訪れたのは5年前になる。泰平地区の辭職嶺だ。ハイキングコースになっている辭職嶺(大埤山)の登山口にある説明板によると、1970年代に師範学校を卒業し、泰平國民小學へ赴任する若い先生が小学校へ向かう途中、長く山々を越えていく道を歩き、その長いこと、場所の辺鄙なことに驚いて先生を辞して戻ったということである。今でこそ雙泰公路の自動車道があり、雙溪駅から10数キロを車でくれば半時間ほどだが、歩くのであれば優に半日以上はかかる。

東側の辭職嶺から歩き、西側の柑腳へ
高い場所からスタート
辞職した先生があるいた山道は、辭職嶺古道と呼ばれている。この古道は果たして、どの道なのか。一部は雙泰公路に拡張されているが、全部ではない。大埤山を越えていったのかは、わからないがその近くを行く大樟嶺古道を経由して泰平に入ったのかもしれない。今回の登山は、大樟嶺古道を後寮仔へ向かい、そこから車道を虎豹潭にでて、溪尾寮山から東柑腳山をへて,やはり五年前にあるいた崩山坑古道を柑腳へ抜けた。

@辭職嶺古道登山口(CT Chenさん撮影)
本来は、後寮から直接後寮仔越嶺古道を進んで、峠から西に東柑腳山へ行く予定であった。ところが、一年前に藍天隊が道の整理をしたが、その後あまり歩かれていなかったようであり、またおそらく地元農民が自分の畑を登山者が歩くことを嫌って、マーカーリボンを全部取り去ってしまったのか、まったくマーカーがなく水田の最後まで行き引き返した。戻ってもう一つの道から、溪尾寮山-東柑腳山の稜線に上がることを試したが、こちらの道もほとんど廃棄状態であきらめた。そこで車道を虎豹潭へ出て、溪尾寮山の尾根にとりつき進んだ。結局、遠回りをすることになり、時間不足のため予定してた柑腳山へは行かなった。

@大埤山(辭職嶺)
平日の山行なので、参加者は少ないかと思っていたが、結局筆者も含め8名のパーティとなった。7時28分発の自強号急行で台北を出発する。8時半に雙溪駅に到着、メンバー全員がそろう。駅前から二台のタクシーに分乗、8時52分辭職嶺登山口に到着する。料金は一台400元だ。この辺りのタクシーはメーターついているものそのメーターで走るのではないので、乗る前に料金を交渉する必要がある。天気が良く、すでに高い登山口からは海岸線が左に望める。

展望台から福隆海岸の方向を望む
岩壁を削った道
支度をして9時に出発する。土地公祠わきの石段道を登る。状態のよい道を10分足らずの登りで、辭職嶺(大埤山、標高515m)頂上に着く。そのすぐ先に展望台がある。そこからは、福隆の海岸線やその切れた場所から立ち上がる雪山山脈末端の隆隆山などがよく見える。山道を下っていく。三、四分で分岐にくる。右の道をとり進む。5年前に比べると、整理されたので、草もすくなく状態はよい。前回気づかなったが、岩壁を削って道にしている場所もある。切通しを過ぎていくと、杉林になる。9時半、前方に工事中のダムがある。数名の作業者が仕事をしている。前回はなかったものだ。工事中のダム脇を下り、沢沿いに進む。コンクリ橋を渡り9時36分、車道にでる。

工事中のダム
杉林のわきを行く大樟嶺古道
右に金網の囲いをみて車道を歩く。少し進むが、大樟嶺古道の入り口がない。通り過ぎてしまったようで戻って探すと、草に埋もれた入り口がある。急な坂を上ると古道にでる。この道は雙泰公路から続いてきているようだ。右にとり進んでいく。石を敷き詰めた道は、進んでわずかで草の道になる。今はほとんど通行もない道だが、わきには電柱が並んでいる。雙溪區の古道は、この道を使って暮らしていた住民のためにこのように電柱が並んで送電をしていた(る)。幅の広い道は、峠を越えると下っていく。9時59分、小さな沢が流れるわきで休憩を取る。

野木棉花が満開だ
@傳悔禪寺
後寮に入ってくる
10分ほどの休憩後、古道をさらに進む。草がけっこう深い。左に池がある。数分歩くと、いきなり傳悔禪寺の池が現れ、古道が終わる。寺の飼い犬が勢いよく吠えている。ここからは、舗装されていないが車が通う道だ。更に数分行くと、谷が開け農園が現れる。道脇の池には蓮の花が満開だ。農夫が誇らしげに花の説明をする。天気のよいこの谷あいは、平和で桃源郷のようだ。10時28分、道は舗装路に出る。右に後寮に向けて下っていく。谷の向こうに溪尾寮山から東柑腳山へ続く尾根が見える。

溪尾寮山(左)から東柑腳山への稜線が前方に見える
後寮仔嶺古道への分岐道標
舗装路をさらに進む。分岐に藍天隊の道標がある。右は後寮仔嶺古道をへて三叉坑へと記してある。歩く予定の道だ。道なりに進み、農家の前を行く。道に鎖が渡してあり、ここから先は車では入れないという意味だろう。道は曲がってその先、また左に農家を見る。そこから道は細くなり、畑の間の道となる。この道を追っていくと、水田にでる。水があり、踏み外すとかなり潜る。全くマーカーリボンが見当たらない。地図では間違っていないはずだが、古道の入り口がわからない。結局ここで引き返すことにする。戻って農家脇のあずまやで休憩を取る。

畑わきの道を戻る
車道を虎豹潭へ歩く
先ほどの分岐へ戻り、進むことを試みる。分岐が現れ左に登っていく。藍天隊の道標では道を記しているが、この溪尾寮山ー東柑腳山へ稜線に上がる道は手持ちのスマホ地図にはのっていない。見当をつけて進む。農家が現れ、そのわきの竹林に来る。そこからさらに道が続くはずだが、草が密生していてほとんど歩かれていないようだ。ここで引き返し、ネット上最近の歩行記録がある溪尾寮山から登ることに変更する。そこで、また来た道を引き返し、車道を雙泰公路へ出る。雙泰公路を下っていき、11時47分に虎豹潭に着く。昼食休憩を取る。

虎豹潭
泰平國民小學廃校
溪尾寮山への登山口
30分ほどの休憩後、雙泰公路を少し行き、泰平國小へ上がる。日本統治時代に開校されたこの小学校は1999年にすでに廃校になっている。日本と同じで過疎化老齢化が進んでいるので、子供がいないのだ。校舎の裏側から料角坑古道が始まる。しっかりした道を数分進むと、右に溪尾寮山への登山道が始まる。こちらはけっこう草深い。急な坂が続く。道にはササクサがたくさん生えており、歩くと種であるひっつき虫がズボンや手袋にたくさんついてくる。種の鉤の部分が生地の中に入り、チクチクして不快だ。12時27分、溪尾寮山(標高489m)に着く。

溪尾寮山山頂
草深い稜線道
東柑腳山まではまだ遠い。尾根上の上り下りを追っていく。相変わらずササクサは多く、先頭を歩いている筆者は衣服にドンドンついてくる。左に昨年3月日付の道標が料角坑へ下る道を示している。この道もあまり歩かれていないようだ。さらに進んでいく。右から先ほどあきらめた道を合わせるはずだが、道標も見かけなかった。ほとんど廃棄状態なのだろう。13時13分、小さなピーク上で休憩をとる。一度下りまた登っていく。13時40分に東柑腳山(標高556m)に到着する。狭い頂上は北側が少しひらけて苕谷坑山方向が見えるが、その他は樹木でふさがれ展望がない。もし先ほどの後寮仔嶺古道を通じてくれば、2時間近く前に着いていたはずだ。

東柑腳山山頂
山頂から北側を望む
ズボンについたササクサのひっつき虫(種)
風口の切通し
崩山坑古道の峠、風口にむかって稜線を進む。稜線の道は、ピークを追わずに山腹をトラバースしていく部分も多い。こちらもかなり草深い。14時25分、風口が現れる。切通しの峠は、風が吹き抜けるのでこの名付けなのだろう。5年前にはこの風口に来たが、左に稜線をおって柑腳山へ向かったので、この切通しは通っていない。風口の北側で休みを取る。

大埤古道(右)の分岐、崩山坑古道は直進
土地公石祠
時間もすでに遅く、柑腳山へは向かわずそのまま下ることにする。歩き始めててまもなく、休憩時にぱらついていた雨が降ってきた。傘を取り出す。崩山坑古道は道幅も広く、状態もいいので傘をさして歩いても問題ない。15時11分、大埤古道の分岐を過ぎる。ここはまた東山への稜線道の分岐でもあるが、この道もおそらく草深いだろう。

石壁だけが残る民家跡



古道は谷間を進む。15時17分、土地公石祠を右に見る。路面には多くの石が現れそれまでの道とは様子が異なる。雨脚が強くなる。黙々と下っていく。ズボンについたササクサの種が腿にこすれて痛い。ひっつき虫はたちが悪く、種の部分をとってもその根の部分の鉤が生地に残ったままになる。沢音が段々大きくなる。15時15分、石積民家の遺跡に着く。少し休憩を取る。

牛止めの柵



数分下ると、草原になっている棚田が現れる。先ほどの民家住民が耕していたのだろう。その下にも棚田あとの草原が現れる。牛止めの柵をすぎ16時11分、登山口に着く。左に舗装路を下っていく。16時22分、雙柑公路との分岐に着き、左に長源社區に向けて進む。16時25分、威惠廟の山門をくぐる。左の涼亭で休憩し、汗に濡れたシャツを着替える。そのうち雨が強く降り出した。16時58分、やってきた780番バスで雙溪駅へ戻った。

長源社區威惠宮山門




予定の一部は歩くことができなかったが、大樟嶺古道や東柑腳山などを歩き、雙溪の山谷の未踏部分を歩くことができた。近づいてきた山竹台風の影響で、午後遅くにわか雨にであったが、幸い歩いている間はそれほど雨脚が強くなく、長源でバスを待っている間に大降りになった。ラッキーであった。歩行距離は約17.4㎞、7時間半の行動時間である。

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