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2020-02-29

2020年2月29日 坪林紀州寮山-倒吊蓮山 最近手入れされた不人気山縱走

火炎山からの下りで見る倒吊嶺から倒吊子山への稜線(2015/6攝影)
お茶の街、坪林は山に囲まれている。街の南側にある山は金瓜寮溪の谷の東と西に南北方向にそれぞれ連なっている。西側にある九芎根山芋圓尖,火炎山などは過去に訪れている。東側に連なる山は、昨年倒吊蓮山へ登ろとしたが、ほとんど歩かれていない道に往生して途中であきらめた。昨年暮、藍天隊がこの地区に入り稜線やそれから派生する枝尾根の道の草刈整備をしてくれた。そこで今回は、その稜線上にある紀州寮山から倒吊嶺へ縦走し、倒吊蓮山をへて坪林へ歩いた。もともと1月に予定したが、天気などの理由で延期、今回天気に恵まれて実行した。

南から北へ縦走
稜線上では登り下りが続く
坪林國中バス停で下車
武漢肺炎(新コロナウィルス)が現実の問題で、日本もその確認患者数がここのところ大幅に増え、台湾でも報道されている。幸い台湾は十数年前のSARSの教訓を生かし、防疫に対して積極的に対応し、それほどの増加がない。しかし、交通機関に乗る場合は多くの乗客はマスクをしている。大坪林のターミナルを7時に発車する9028番宜蘭行バスは、そうしたマスクをした乗客でほぼ満員になり発車する。高速道路経由約30分ほどで坪林國中バス停に到着する。筆者も含め14名がここで下車する。

バス停にある中国新コロナウィルス肺炎に関する防疫の広告
九芎根101登山口
登山口の金瓜寮溪の奥まった九芎根101バス停へ、F722とF723の新巴士が往復している。特に週末は一時間ごとに一便運航されている。8時過ぎのF722初便に乗り北宜公路から分かれ金瓜溪沿いに進む。乗車約20数分、8時35分に到着する。ほぼ同時に発車したF723もしばらくすると到着した。すでに別途車で来ていた二人を加え、支度をして都合16名で出発する。バス停の広場のすぐ上に登り口がある。

二つある道標
急坂が続く
228三連休中日の今日は、昨日につづいて天気がよい。しかし最近多くの登山者が歩いたと見える土の道は、湿っていてとても滑りやすい。登りが続く。15分ほどの登りの後、少し下ったところで道が分岐する。地元政府が立てたと思われる立派な二つの木製道しるべは、苔におおわれ文字がよく見えない。表示してある所要時間は、随分と大げさであてにならない。道標の柱に取り付けてある藍天隊の紙道標の所要時間が実際的だ。

稜線上の分岐、右が紀州寮山へ
紀州寮山山頂
さらに登りが続く。雑木林の間の道は、けっこうしっかりしている。気温はそれほどないが、汗はけっこう流れる。9時42分、分岐に来る。ここも立派な道しるべがある。右は紀州寮山、左は姑婆寮山(倒吊子山)へとある。右にとり登っていく。ここから道の状態は、最近草刈されたばかりのように見える。急坂を登り切り9時54分、稜線上の分岐につく。左は倒吊子山方面、右は紀州寮山だ。先に右にとって紀州寮山を往復する。小さな上り下りのあと、鳥嘴山方向への道を分け10時14分、狭い紀州寮山山頂(標高728m)に着く。樹木に囲まれた山頂は、木々の間を通してかろうじて遠くに連なる山々が見える。往路を引き返す。
鞍部分岐
稜線上の切り株
10時半過ぎ戻った分岐から、稜線を倒吊子山へ向かう。はじめに下っていくが、このセクションは道筋がもうひとつはっきりしない。15分で鞍部に下り切り、左からの道を合わせる。ここは峠で右は沢に下り姑婆寮山への道があるが、ほとんど歩かれておらず草に埋もれている。稜線上の道を登っていく。そのうちやせ尾根の上をいく。坂を登り切り、木々の間に一つピークとその左遠くに倒吊子山と思われる山頂がみえる。まだ遠い。下っていくと、周辺の木々に比べ異様に大きな切り株がある。

谷を挟んで連なる山々
トゲトゲ黃藤のトンネル
樹木が少しきれて、右に谷を挟んで烏來から桶後溪にそって連なる山並みが見える。この尾根は大桶山から烘爐地山へと途中落鳳山などを経て続く長い尾根だが、歩く登山者は少なく縦走は大変だろう。道にはトゲトゲの黃藤がとても多い。幸い藍天隊がすでに刈って通過できるが、注意しないとまだ残っている枝のトゲに引っ掛かる。登山者が歩かなくなると、再び黃藤が茂り通行不能となるだろう。12時28分、最低鞍部で休憩をとる。

左に龜窟山への道が分岐する
右に倒吊子山への道が分岐
12時54分、左に金瓜溪へ枝尾根伝いに下る道が分岐するが、草にふさがれている。さらに進み13時28分、また左に龜窟山をへて下る道を分岐する。分岐には地元政府による古い説明板がある。さらに10分ほど登ると、右に倒吊子山への道が分岐する。こちらを取り最高部を越え、少し下ると三角点のある倒吊子山(標高710m)が現れる。昨年12月日付の真新しい山名板や道標が取り付けられている。少し遅めの昼食休憩をとる。

@倒吊子山山頂
杉林の道を下る
30分ほどの休憩後、まだ残る縦走路を倒吊嶺に向けて歩き始める。倒吊子山からそのまま下り左に折れて縦走路に合流する道があるようだが、手持ちの地図に表示がないので先の分岐へ戻る。分岐から下り始めると、人工杉林の間を進む。この一帯は植林された杉林のようで、道もおそらく造林作業道なのだろう。先ほどまでの道に比べると状態がよく、下草や黃藤も少ない。

左に造林道を分ける鞍部分岐
滑りやすい道をトラバース
こちらも登り下りを繰り返し、倒吊子山から落差150mほどの鞍部を過ぎる。左に倒吊嶺の西側山腹をトラバースしていく道を分ける。こちらがしっかりした造林道で、右に尾根を登る道は最近藍天隊が手入れした登山道だ。かなり急な坂も強引に登る。そのうち左の山腹をトラバースするが、土がとても滑りやすい。下ってまた登り返す。大きな石に、加油快到了(頑張れ残り僅か)という文字がチョークで書いてある。そこから5分ほどで倒吊嶺山頂(標高647m)が現れる。山頂は広々としているが、周囲はすべて樹木だ。

「加油快到了」
倒吊嶺山頂
時間はすでに16時半、ただ残りは良い道で下り切れば舗装路になる。坪林の街までは遠いが、陽が暮れても大丈夫だ。メンバーが取り出して分けるビールがうまい。16時40分、下り始める。今日の歩きで一番道の状態がよい。広々とした緩い坂の道を下っていくと、左に一面ススキの開けた場所にでる。対岸の山々が黄金色にそまるススキの向こうに連なっている。16時57分、ススキの草原から右におれて林の間を下る。すぐに左から山腹をトラバースしてくる造林道と合流、そのすぐ下で茶畑に出る。

ススキの草原に出る
茶畑から坪林を囲む山々を望む.正面は獅公髻尾山,右は和山頭山
倒吊蓮山三角點
開けた茶畑からは、坪林の街やそれを囲む山々がのぞめる。すべて以前歩いことがある山々だ。また山道に入り、すぐに倒吊蓮山(標高484m)の三角点を見る。山といっても頂上ではなく、三角点がある位置だ。そこからさらに下っていき、右におれて進む。茶畑の間を進み、17時22分民家脇の登山口に着く。地図がみちわきに設けられている。

犬が吠える登山口
魚堀路に合流
残りは5㎞ぐらいの舗装路歩きだ。少し下ると、道標が左に近道を示している。これを下り、また舗装路をひたすら下る。太陽は次第に傾き、17時42分山の向こうに沈む。17時52分、F823が運行する魚堀路にでる。近くに第五產銷班バス停を見るが、最終便は17時すぎでもうバスは来ない。下っていくと、右に大きな施設の建物を見る。法務部廉政署研修センターとある。18時20分、去年北宜公路舊道を訪れたときに通過した大林橋を渡り、登って北宜公路を進む。18時35分坪林老街のバスターミナルに着いたときは、すでに暗くなっていた。

日が暮れた坪林に歩きつく
歩いた距離14㎞強、累計で900mほど登っている。休憩込みで活動時間約10時間、想定していたより少しかかった。今回はまだ経験の少ないメンバーもいたので、ペースがいつもより遅いこともある。ただ、暗い山道を歩くことなく安全に下山できた。道の状態は、現状では問題ない。縦走なので当然だが、上り下りがかなりあり時間を要する。レベルはクラス4としておく。ある程度の経験者向けだ。

2020-02-24

2020年2月23日 雲嘉大尖山 - 獨立山縱走 茶畑の山々を歩く

梨子腳山へ茶畑の稜線を行く、左の山は大籠頂山
前日石壁山登山の後一泊し、雲嘉大尖山から独立山へ、いわゆる雲嘉連峰の縦走をした。この連峰は、雲嘉大尖山,梨子腳山そして獨立山の三峰の小百岳があり、一日の縦走で三座ともカバーできる特別な連峰でもある。雲嘉大尖山は、四年前古坑鄉華山の登山口から登頂している。その時は、いずれ近くにある残りの小百岳を訪れることを考えた。今回はそれが実現できた。

北から南へ縦走
基本下りの縦走
華山の民宿から大尖山を仰ぎ見る
6時過ぎに起床、外にでると咖啡大街から見る雲嘉大尖山が高くそびえている。大尖山と呼称されるのがうなづける。昨晩の夕食と同じに、民宿の朝食も少し離れた場所にある食堂だ。7時半前に食事を終え、昨日下ってきた149号道路を登り返す。峠近くで右側の道を取る。7時45分に大尖山東側の登山口に着く。車が二台あるので、一台を縦走の終点に駐車しておき、下山後その車で出発点まで戻る計画だ。メンバーが下車した後、二台で連なり獨立山の登山口へ向かう。山腹を行く車道を進み、太平から獨立山方面への道に入る。約30分ほどで、奉天岩下の獨立山への道入口へ着き、一台を残してまた大尖山へ9時少し前に戻る。

登山口へ車で向かう、前方に大尖山
茶畑の脇を大尖山へ登る
これから全員で縦走開始だ。四年前は反対側の華山からスタートし標高差約900mを登った。今回は約300mほどの標高差で、登りはずっと少ない。しっかりした道標や道が整備されている。登りはじめすぐに民家脇を過ぎると茶畑の間を登る。雲嘉連峰の大籠頂までは、山稜はほとんど茶畑に開墾されている。まさに茶畑を行くのが、雲嘉連峰縦走だ。腰の高さの茶の木だけなので、冬とはいえ強い南部の日差しにさらされちょっと辛い。階段道をひたすら登る。一度集落を通り過ぎ、また茶畑の間を登る。9時20分、涼亭で休憩する。茶畑の向こうに、昨日の石壁山や、その左側には阿里山山系の山々が連なる。

茶畑の向こうに昨日登った石壁山
前方に大尖山を見て最後の登りを行く
大尖山山頂、一等三角点
また少し登ると、舗装農道にでる。右に道なりに進み、また階段の登山道が現れる。ひたすら茶畑の間の急坂を登る。林の中に入り少しいくと、9時45分雲嘉大尖山山頂(標高1305m)に到着する。すでに大勢のハイカーが山頂で休んでいる。天気もよく、今日は多くのハイカーと出会うだろう。20分ほどの休憩後、縦走路を歩き始める。林の中を石段や土の道を進んでいく。10数分で二尖山山頂(標高1279m)にある茶屋に着く。茶屋のすぐ下には駐車場もあり、ここは登山というよりは観光地だ。近くには出店も多くでて農作物を販売している。
出店も多い二尖山山頂付近
コーヒー畑の脇を行く、前方左は馬鞍山
長い歓談を鞍部休憩デッキへ下る
引き続き稜線道を進む。林を抜けると開けた茶畑とコーヒー畑を過ぎる。圧倒的に茶畑が多いが、ここは台湾コーヒーの有名な産地でもある。畑の中を下る階段を降りきると休憩デッキがある。休憩をとる。風が吹きぬけ、汗が引く。四年前は、ここから華山に下山した。休憩後稜線の道を登る。標高差約100mを登り切り11時12分、馬鞍山(標高1265m)につく。山頂の周囲は竹林、展望はない。

鞍部の休憩デッキから華山を見下ろす
@馬鞍山
 茶畑の間の稜線道
下っていくと、また茶畑が延々と眼前に連なっている。霧が少し出てきた。ここまでくると、遊楽客はさすがに少なくなる。道も純朴な土の道か、茶畑にアクセスするための舗装された農道になる。たおやかな茶畑の間で小さな上り下りを繰り返す。石畳が現れ林の中に入って間もなく、11時39分梨子腳山(標高1176m)につく。ここも周囲は竹林で展望はない。ベンチで休憩をとる。

梨仔腳山山頂
太平の集落を下方に見る
三元宮、右遠くの山は梨子腳山
山頂から下る。左に太平の集落を挟んで、ほぼ同じ高さの大籠頂が座っている。今日の縦走は、雲嘉大尖山を最高点にして基本は下っていくルートだが、大籠頂の標高差約200mの登りが待っている。下っていき、右に太平山の道を分ける。太平山を入れて雲嘉大尖山から獨立山の縦走を雲嘉七峰縦走と呼んでいるが、我々は太平山をスキップしたのでさしずめ雲嘉六峰縦走というべきか。舗装路を下り、12時7分三元宮につく。太平集落を見下ろす丘に建つこの廟は、わきの駐車場も含めとても規模が大きい。廟の一角の日陰で昼食をとる。

三元宮から太平老街を見下ろす、背後は大籠頂山
太平老街
大籠頂への登りで梨子腳山など雲嘉連峰を望む
12時45分、廟から参道の階段を下り太平老街におりる。休日の今日は、遊楽客でにぎわっている。様々な食べ物の店や出店の間を進み、街はずれの竹林茶坊から孝子路步道に入る。石段道を登り、162号甲の道路を吊橋で越える。引き続き登り、平らになると13時前方に涼亭が現れる。孝子路步道から離れ、左に大籠頂への道を進む。茶畑のヘリになる稜線上の道を登っていく。左遠くには、歩いてきた梨子腳山から北に延びる連峰がある。そのうち石畳が現れる。石階段を登りきると、茶畑の先に茶屋がある。茶屋の脇を回り込み山頂と思われる平らな場所に行く。13時24分、車も停めてある広場で休憩をとる。

茶畑に囲まれた大龍頂山頂
奉天岩へ檳榔畑の中を下る
10分ほどの休憩後、獨立山に向けて下り始める。少し茶畑のヘリを進み、分岐にくる。左は石壁腳へ下る。右の稜線上の道を進む。茶畑から森の中の道になる。下る途中、多くの小さな子供連れ家族とすれ違う。台湾も子供のころから山を登る環境になってきているようだ。13時50分、雑木林から抜けて檳榔林のなる。獨立山の周辺は、大きな檳榔林だ。さらに15分下り、奉天岩の廟につく。広い境内では宴会が進行中で多くの人が食事をしている。我々はその下のフロアで休憩をとる。下方に獨立山の頭が見える。

森林鉄道の脇を進む
@獨立山
14時25分、奉天岩から下り朝に停めた車を見る。そのすぐ近くから獨立山へ向けてさらに下る。5分ほどで阿里山森林鉄道の線路に降りる。線路沿いに進み、樟腦寮駅と獨立山駅への十字路分岐から、階段道を登る。14時39分、獨立山山頂(標高840m)につく。涼亭があり休憩をとる。獨立山は、阿里山森林鉄道の線路がとぐろを巻くように山をぐるぐると巡り高度を上げていく山だ。阿里山森林鉄道自体が、世界でも珍しい高山鉄道だが、獨立山のループもとても珍しいものだ。休んでいるうちに、下ってくる列車がトンネルに入る前の警告汽笛を数回聞く。休日には、列車が嘉義-十字路(奮起湖)の間を三往復している。

獨立山ループの説明板
獨立山駅
20分ほどの休憩後、往路の階段道を下り右に獨立山駅(標高743m)へ行く。今を去ること40年前、初めて森林鉄道で阿里山を訪れたとき、獨立山駅を通り過ぎたことを覚えている。本日最終便が来るので、まだ駅員が待機している。しばらく駅で過ごした後、車を停めてある場所へ登り返す。15時半前に駐車場へ戻り、今日の歩きを終了する。停めてある車に乗り、約30分で大尖山の登山口に戻り、二台の車で台北に帰る。途中第三高速が混雑し、台北に戻りついたときは22時を回っていた。

朝に歩き始めた大尖山登山口、左に大尖山
縦走は、休憩も含め約6時間半、距離は10㎞強である。下りがメインだが、それでも最初の大尖山への部分も含め累計で830mほど登っている。下りは約980mだ。このルートは、縦走するには交通の便をどうするかの問題があるが、道の状態は問題なく広い景色を満喫しながら歩ける、良いコースだ。勿論天気が悪ければ、雨風にさらされるので避けたほうがよい。レベルとしてはクラス3である。一度の小百岳三座をカバーでき、茶畑の間を行く、特別なルートでもある。